光衛星間通信実験衛星「きらり」

運用終了

プロジェクトトピックス


2009年9月24日 更新

「きらり」停波。運用を終了

光衛星間通信実験衛星「きらり」は、2009年9月24日14時48分に停波作業を実施し、当初予定されていた運用期間を大幅に上回る4年を超える運用を終了しました。
「きらり」は、2005年8月24日にバイコヌール宇宙基地からドニエプルロケットにより打ち上げられ、世界で初めて双方向の光衛星間通信や低軌道周回衛星と光地上局を結ぶ通信の実験に成功するなど、光宇宙通信に関する多くの成果をあげてきました。

プロジェクト概要


プリント

衛星と衛星を光を使った通信で結ぶ
光衛星間通信実験衛星「きらり」

「きらり」(OICETS)は、数万キロメートルを隔てた衛星と衛星の間で、レーザ光を使った光通信(光衛星間通信)実験を行うための技術試験衛星です。また非常に絞ったビームを使用するため、干渉が起きる可能性が少ない、安定した通信ができることや、衛星に搭載される機器が小型軽量化できること、なおかつ伝送速度が向上するため、大容量のデータをスムーズにやりとりできるなどのメリットがあるからです。この実験によって、地球観測衛星からの全地球的なデータの取得や有人宇宙ステーションとの通信回線の確保など、宇宙開発と宇宙利用を支える基盤技術の開発を目指します。
「OICETS」はESA(欧州宇宙機関)の先端型データ中継技術衛星「ARTEMIS」との間で、実証実験を行うことを目的として、2005年8月24日にドニエプルロケットによりバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、「きらり」と命名されました。


レーザ光を使った通信実験はこのように行われます

静止衛星である「ARTEMIS」と低高度で地球を周回する「きらり」との間の距離は最大4万5千キロメートル程度もあります。したがって、光衛星間通信を行うには、高出力レーザ素子や高利得光アンテナ、高感度信号検出器といった機器が必要となります。それらによって、入力レーザ光のビームをとらえる「捕捉」、入力レーザ光の角度を検出・制御する「追尾」、相手衛星の位置の誤差などを計算に入れながらレーザ光を正確な位置に放射するための「指向」といった実験を実施しました。
また、高精度なレベルで衛星姿勢を制御する技術や、光衛星間通信機器の性能評価のための地上試験設備も重要な課題として含まれています。


主要諸元

国際標識番号 2005-031A
打ち上げ日時 2005(平成17)年8月24日 6:10(JST)
打ち上げロケット ドニエプルロケット
打ち上げ場所 カザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地
形状 本体:1.1m×0.78m×1.5m
展開型太陽電池パドルを有する箱型
質量 約570kg
軌道 円軌道
軌道高度 約610km
軌道傾斜角 約98度
軌道周期 約97分
姿勢制御方式 三軸姿勢制御方式