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ロケット連続打ち上げ成功 〜今後とも確実な打上げを〜
鹿児島宇宙センター所長 園田昭眞
JAXAでは、2006年に入ってすでに人工衛星を搭載した3機のロケット打ち上げに成功しています。1月24日に、陸域観測技術衛星「だいち」を搭載したH-IIAロケット8号機。翌月の2月18日に、運輸多目的衛星2号機を搭載したH-IIAロケット9号機。その4日後の2月22日には、赤外線天文衛星「あかり」を搭載したM-Vロケット8号機を打ち上げました。このように短期間で続けて打ち上げを実施したのは日本の宇宙開発史上、初めてです。
			私の役目は、ロケットの打ち上げに向けたすべての作業が安全かつ円滑に進行するように調整することですが、その責任を果たすことができ、ほっとしたというのが今の正直な気持ちです。これからも現場のまとめ役として、ロケット打ち上げの信頼性向上に取り組んでいきたいと思います。
     
現場のまとめ役として
打ち上げにむけた業務が円滑に進むよう支援するのが私の役目です。実際に現場に出るのは各部門の責任者で、私は報告を受け、彼らが判断しやすいような情報を提供します。ロケット打ち上げ実施責任者が常時種子島にいて指揮することができませんので、私はその代理として現場をまとめます。
ロケットと衛星は別々の場所で、各々の組立てスケジュールで作業を進めます。ロケットの場合は、第1段、第2段、固体ロケットの取り付けと、組立てが終わった後で配管にゆるみがないか、ガスの漏れがないか、コンピュータが正常に動くかなど全てをチェックします。
一方衛星は、1つ1つの仕様が違いますし、作っている人も違いますから、作業内容も変わってきます。衛星側で打ち上げ日から逆算してスケジュールを決め、宇宙センター(射場)側としては、その作業に対して安全上の問題がないか、私たちの支援に問題がないかを確認します。
例えば、ある部門で何か問題がおきた時は、その担当部門と議論をして解決策をみつけ、その方法で他の部門に問題がないか確認をします。そして、「これだったらいける」と固まったところで、打上げ実施責任者に最終的な判断をしていただきます。このように、各部門との調整をしてまとめるのが私の任務です。

私は、入社してから長い期間、「設備の維持・管理」を中心とした仕事をしてきました。ロケットの組立てや点検を行う機械設備の担当、衛星の作業を支援する担当など。衛星の計画段階から参加して、種子島での射場作業やロケット、衛星の合同作業手順を調整することもありました。ロケットも衛星も一通り経験したおかげで、その知識がとても役立っています。今は統括する立場ですが、現場のことも理解しているつもりです。
ただ、私はもともと現場に出て作業するのが好きでしたから、今は自分が出られないというもどかしさがありますね。つい自分でやってしまいたいと思うこともありますが、それでは若い人が育たないので、なるべく人に任せるようにしています。ここはおかしいとか、こういう方法もあるのではと、議論をした末に問題なく進んでいるようであれば、私が口を出す必要はありません。
打ち上げを絶対に成功させなければならないという緊張感の中で作業をしていますし、皆やる気満々で仕事しています。私は、このような雰囲気の射場での仕事がとても好きです。皆ができるだけ働きやすい環境をつくるように、これからも心がけていきたいと思います。
  
     
大型ロケット組立棟
大型ロケット組立棟
  
H-IIAロケット、第1段ロケットの起立(大型ロケット組立棟)
H-IIAロケット、第1段ロケットの起立
(大型ロケット組立棟)
  
大型ロケット組立棟から見た8号機<br>(手前)と第1射点の9号機(奥)提供:RSC/JAXA
大型ロケット組立棟から見た8号機(手前)と第1射点の9号機(奥)
  
  
  
  
所長が案内する種子島宇宙センター

種子島宇宙センターの主要な施設を、園田センター所長が案内します。   
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