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地元の支援というのはとても重要です。私の場合は種子島に生活基盤がありますから大丈夫ですが、打ち上げのために来る多くのスタッフは、地元の旅館の方などに大変お世話になっています。作業で夜遅くなった場合に暖かい食事とお風呂に入れるだけでも、とてもリラックスできて感情が和みます。仕事から帰ってきても、冷たいご飯を食べて寝るだけということになりますと、人間の感情は無機質なものを感じ、ストレスがたまってきます。一つの例ですがこのように、地元の方たちには多くのことをケアしていただいています。
また、宇宙センターで働く職員たちも、スポーツ大会に参加するなどして地元の方たちと交流を深めています。私も最初に種子島に赴任した頃は、よく家族と一緒に参加していました。
地元の方たちからよく聞くのは、「やっぱり打ち上げがなければ種子島全体が生き生きしない」という声です。H-IIAロケット6号機の失敗の後、次の7号機の打ち上げが行われるまでは、地元に全然元気がなかった、静かだったと皆さんおっしゃいます。今回の連続打ち上げの成功も、地元の方が大変喜んでくださいました。これからは地元の方たちに心配をかけないようにしなければと思います。
種子島を初めて見たのは、17歳の時に屋久島に登山に来た時で、海の向こうにある島を見て、すいぶん平らな大地だなあと感じました。実際にその大地を踏んだのは、宇宙開発事業団に入社してからで、1971年のことでした。当時は飛行機に乗れる身分ではなく、東京から列車と船で1日半かけてやっと辿り着いていました。現在のように道路は整備されていなく、何もないなあ、大変な田舎に来たなあというのがその時の正直な気持ちです。でもその後何度か打ち上げを経験するうちに、種子島に来るのがだんだん楽しくなってきて、ここは何もないからいいんだと思うようになってきました。
昨春から4度目の種子島勤務で、計12年間を種子島で過ごしていますが、私はここでの生活を気に入っています。種子島は自然が豊かで、夏の海の青さは最高です。冬も海に貝を採りにいったり、魚釣りに行くほか、タケノコを採りにいったりと自然に触れて楽しんでいます。退職後は都会の喧噪から離れて、種子島に住めればと思っています。 |

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すべての打ち上げを成功させる。決められた予定日時に打ち上げをおこなう、というのが私の目標です。
多くの方々がロケットの打ち上げを見たいと思っていらっしゃるはずです。予定通りに打ち上がるようになると、たくさんの方に見にきていただけると思います。そうなると観光客も増え、地元にとってもよい結果になるのではないでしょうか。最近、打ち上げはインターネットでも中継されていますが、やはり発射場で、生で見るのとは、感動がぜんぜん違います。
また、これから多くの検討、調整が必要ですが、1年365日いつでもロケットを打てるような環境が作れたらと思います。車でも数ヶ月動かさないとエンジンがかかりにくくなったり、運転しにくくなったりしますが、打ち上げ設備の場合も、使わない状態が続くのはよくありません。2ヶ月、3ヶ月ごとというように、定常的な打ち上げが行われるようになれば、設備の維持・管理がより効率的にできると思いますし、作業員の習熟も上がります。それが、決められた日時に打ち上げることにもつながると思います。
この後、2006年度には、H-IIAロケット3機、M-Vロケット1機の打ち上げを予定しています。設備の問題で打ち上げを遅らせるようなことがないように、維持・管理をきちんとしていきたいと思います。
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<プロフィール>
園田昭眞(そのだ しょうしん)
鹿児島宇宙センター所長
熊本県八代市生まれ。有明高専機械工学科卒業。1971年に旧宇宙開業団に入社し、打上管制部、種子島宇宙センター、計画管理部、広報部等を歴任。2000年に種子島宇宙センター次長、2003年に射場運用室長。2005年4月から現職に就く。 |
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ロケットの丘展望台からの眺め |

宇宙科学技術館とその前の公園で遊ぶ子供たち |

全長50mのH-IIA ロケット実物大模型 |

種子島宇宙センターの前にはきれいな海が広がる |
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