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宇宙開発自体は、世界のどこを見ても国家が行っています。国の事業は、ビジネスとして成り立たなければ意味がないという民間企業とは価値観が違います。直接的な利益があるかどうかではなく、国民あるいは世界のために役立つかどうかという判断で行われるべきなのです。
ただし今後は、プライム制を取り入れ、標準型ロケットの打ち上げを民間に移行する方向で進めていくなど、JAXAと民間企業の役割は変化していきます。
かつて私が携わっていた通信事業も、国の事業としてはじまったものです。当初は多額の投資が必要で、国家主導で行わなければ困難でしたが、インフラや設備投資のコストが減り、1980年代になって民間でもできる状況になりました。そして市場が拡大し、競争原理を導入することになったのです。ただし、通信政策については、いまでも国の一元性を維持しています。
今後の宇宙開発も、研究は一元的に行い、実用化して利用する点については、民間の競争原理が必要になってくると思います。
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