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現代の観天望気〜気象衛星は天気予報のかなめ
気象予報士 森田正光
プロフィール もりたまさみつ 気象予報士。お天気キャスター。(株)ウェザーマップ代表取締役。1969年、日本気象協会東海本部に入る。'74年、東京本部に移り、'92年3月に同協会を退職。同年4月より初のフリーお天気キャスターとして独立し、9月に(株)ウェザーマップを設立する。わかりやすく楽しい解説で、これまで多数のテレビ番組に出演。現在は、「ウォッチ!」(TBS)、「ニュースの森」(TBS)などの天気予報を担当する一方、ウェブサイトでの天気解説や、講演、執筆活動も積極的に取り組んでいる。
今年、日本の新しい気象衛星として「ひまわり」のあとを継ぐ「運輸多目的衛星新1号(MTSAT1-R)」が打ち上げられますが、どんな期待をお持ちですか。
これまでは赤外衛星画像の画質があまりよくなかったんです。今度の衛星には新しい赤外線チャンネルが付けられると聞いていますから、精度のいい赤外線画像と可視画像を合わせて、もっと正確で立体的な構造が把握できるようになればと期待しています。
観測の間隔が1時間から30分に短くなれば、精度が上がるわけですから、天気予報にとってはいいことだと思います。
<MTSAT-1R)>の写真 運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R:Multi-functional Transport Satellite 1 Replacement)
国土交通省が計画している、航空管制と気象観測の機能を持つ運輸多目的衛星。気象衛星「ひまわり5号」の後継機として期待されている。「ひまわり5号」と比較すると、1時間に1回だった観測が30分に1回になるほか、画像の解像度が向上。赤外線センサーを増やしたことで、夜間の下層雲を識別しやすくなる。
気象衛星は、どの程度天気予報に役立っているのでしょうか。
天気予報で最も重要なのは、気象衛星のデータです。雨が降った時のレーダーの情報は重宝しますが、気象衛星で写した雲の形を見た方が雨の状態をより想像することができます。気象衛星だけでも、天気予報の7割くらいは可能なんじゃないでしょうか。気象衛星がなくなったら、天気予報や天気解説はありえません。
昔の人は、「漁師は天気を当てるのがうまい」と言ったりしたものですが、かつては、空を見て、雲の形を見て、天気を予報していたんですね。人が空を見渡せる範囲はせいぜい20〜30kmですが、「ひまわり」のような気象衛星は数千kmを捉えることができます。人の数百倍の範囲を見ることができるわけですから、その精度も格段にいい。気象衛星の画像は、それを見ただけで天気を当てることができる、現代の観天望気だと思っています。

※雲や風や空の色などを観察して、経験的に天気を予想すること。
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