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「2015年宇宙の旅」は夢じゃない
			スケールドコンポジット社最高責任者
			バート・ルータン
			プロフィール
			Burt Rutan
			航空機エンジニア。1982年、スケールドコンポジット社を創設。同社社長兼最高責任者。
			2001年、民間初の有人宇宙飛行を実現させるために、ポール・G・アレンとチームを組み、スペースシップワンの製作に取り掛かった。
			熟練したパイロットでもあり、エドワーズ空軍基地に勤務していた時代(1965〜72年)には、飛行テストのエンジニアとしてアメリカ空軍の15の飛行実験計画に携わった経験を持つ。
			カリフォルニア・ポリテクニック大学で航空工学を学び、その後、カリフォルニア工科大学宇宙技術研究所とエドワーズ空軍基地航空宇宙研究パイロット学校に進んだ。カリフォルニア州立ポリテクニック大学、ダニエル・ウェブスター大学、ルイス大学、デルフト工科大学から名誉博士号を受けている。
 
スケールドコンポジット社
カリフォルニア州モハベ砂漠にある航空宇宙開発および特殊複合材料の開発を行う企業。数々の革新的な航空機設計やプロジェクトを成し遂げており、中でも、無着陸・無給油世界一周を達成した航空機「ボイジャー」は、世界を驚かせた。また、政府機関、民間企業を問わず、有人および無人航空機の設計、開発、組み立て、試験の支援を行っており、クライアントには、NASAや米海軍、ビーチ・エアクラフト社、マクドネル・ダグラス社、ノースロップ・グラマン社など多数。過去にはNASDAや富士重工との共同開発も行った。現在はトヨタ自動車とのプロジェクトが進行中である。
—— スペースシップワンの成功が、既存の宇宙産業に与えた影響をどのようにお考えですか?

スペースシップワンは、これまでの宇宙産業になかった偉業を成し遂げました。それは将来、商業的な有人弾道宇宙飛行につながっていくものです。私たちは、先駆者的な役割を果たし、可能性を模索し始めたわけですが、これからは非常に高度な安全性が求められることになります。
ですが、私は、今回の成功がいわゆる既存の宇宙産業に影響を及ぼすものだとは思いません。なぜなら、弾道飛行はこれまでに1962年と63年に行われただけで、40年間も無視され続けた試みで、前例がないものだからです。


※ 地上から高度100kmの高さは、地球と宇宙の境界とされている。「弾道飛行」は、地球を周回しない飛行のこと。



—— 技術的に最も難しかったことは何でしょう?

私たちは、わざわざ挑戦しなくてもいいような新しいことに挑んだわけですが、それは、「私たちが挑戦して成功させなければ、今後の宇宙旅行産業が目標とする安全性に達することはできない」という点で重要だったからなのです。私たちが目指す安全なシステムにとって、余裕のあるリラックスした状態で大気圏に再突入することは非常に重要な課題だったわけですが、結果的には恐れていたほど難しいものではありませんでした。
一番難しかったのは、新型のハイブリッドロケットモーターだと思います。まったく新しいものでしたからね。


—— 成功するまでには、数々の失敗があったと思いますが、どのように解決されたのですか?

それは、どのように安全性の問題を克服したのかということになるでしょう。
私たちは、非常に素晴らしい解決法を持っています。とりわけ新しいことでははなく、現在の飛行機と同様の基本的な安定性と操縦性を備えていればいいのです。商業機なら非常に安定した飛行が可能なはずです。現在開発中のスペースシップツーには、より安定した飛行を実現するための修正が施されています。

スペースシップワン
						スケールドコンポジット社が開発した有人宇宙船。2004年6月21日、民間企業による有人宇宙飛行として世界で初めて高度100kmに到達した。その後、同年9月29日と10月4日に、アンサーリ・エックス・プライズの受賞条件を達成し、賞金1000万ドルを獲得。
						スペースシップワン本体は高度約15kmまで上昇したところで母機「ホワイトナイト」から切り離され、ロケットエンジンを点火し、一気に宇宙空間(高度100km以上)を目指す。 母機「ホワイトナイト」に取り付けられて飛行する
						スペースシップワン


 
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