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——JAXAは、組織統合によりNASAのような宇宙航空開発の政府組織を発足させました。航空と宇宙開発が協力していくことにメリットはあるのでしょうか。

大きなメリットがあると思います。
NASAとドライデン飛行研究センターでは、幾年にもわたってそれを実践してきました。多くの宇宙技術のプロジェクトには、地上からの離陸と着陸という重要な局面がありますから、高度な航空機の技術が必要となります。また、新型の宇宙船の開発を行う際には、たいてい大気中の飛行がかかわってきますし、大気飛行の技術が宇宙技術のコンセプトの一部となる場合は、特に相乗効果を発揮します。航空技術と宇宙技術を融合させて機能させるという点で、JAXAやNASAのような機関は非常に重要なのです。


 
パスファインダー・プラス 写真

2002年6月24日、ハワイ上空を飛行するパスファインダー・プラス

——日本と国際協力を行ったことはありますか?

日本とは過去数年にわたって協力してきました。2002年の夏には、高高度の無人航空機を使用した通信実験を希望していた通信総合研究所と通信・放送機構(現在、両機関が統合し情報通信研究機構)に協力し、私たちが開発した無人航空機「パスファインダー・プラス」に彼らの機器を搭載して実験を行いました。パスファインダーは、高度およそ6万から7万フィートまで(約18〜21km)飛行可能な、太陽エネルギーを動力にした航空機で、この実験は、通信中継機器の携帯電話や映像通信への利用と、地上の建造物の代わりに高高度の飛翔体をプラットフォームにした通信が可能なことを実証することでした。非常にうまくいった実験でしたので、今後もこうした形で協力していくことができればいいと思っています。

——ドライデン飛行研究センターの研究および資金において、軍事関係が占める割合はどれくらいなのでしょうか。

NASAは文民組織ですから、その作業は民間航空機の分野を支援するものがほとんどです。確かに、国防総省などの政府機関と協力し、後に軍事目的で応用される可能性のあるものを開発する手助けをすることもありますが、一般には民間航空業界との協力がメインです。国防総省とそれに関連する支援の割合は、恐らく2割ほどでしょう。私たちの業務は、あくまでも非軍事的な宇宙・航空分野を支援することです。


——国防高等研究計画局(DARPA)とドライデン飛行研究センターの役割の違いとは?

国防高等研究計画局(DARPA)は国防総省を支援する機関で、軍事的な政府機関の一部です。ドライデン飛行研究センターはNASAの支援機関なので、それほど軍事的な要素は濃くありませんが、時折DARPAと協力して作業を行うこともありますし、私たちのプログラムの中にはDARPAの活動を支援するものもあります。DARPAが国防総省関連の組織として先端技術の開発を行う中で、ドライデン飛行研究センターが技術実証試験の手を貸すこともあるわけです。

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