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宇宙の姿を共有すること
——なぜ、「ホーキング、宇宙を語る(原題“Brief History Of Time”)」から20年近く経って、「ホーキング、宇宙のすべてを語る(原題“Briefer History Of Time”)」を執筆しようと思ったのですか?
※Brief…簡潔な、Briefer…より簡潔な


私が書いた初の一般書「ホーキング、宇宙を語る」は大反響を呼びましたが、理解しにくいと感じた人も多くいました。そこで、さらにわかりやすいものを新しく執筆することにしたのです。「ホーキング、宇宙を語る」が出版されたあとの成果を加筆し、専門的な要素が強いものは割愛して、一般の読者にとって敷居が低い、読みやすい本が完成しました。一作目を難しく感じた人には、この新作「ホーキング、宇宙のすべてを語る」にトライしていただき、楽しく驚いてもらえれば幸いですね。

ホーキング宇宙の全てを語る 写真
「ホーキング、宇宙のすべてを語る」
ランダムハウス講談社
——一般の読者が理解できるように、すべてを簡単な言葉に言い換えることに、挫折してしまいそうになることはありませんか?

“簡単にすること”は必要です。ほとんどの人が、理論物理学の非常に数学的な詳細までを習得する時間なんて持ち合わせていませんからね。でも、宇宙の仕組みと、その中における人類の位置付けについての全体像を捉えることは、誰にでも可能ですし、また、そうあるべきだと思っています。私は、この本を通じて、そのことを伝えようとしているのです。

ホーキング 写真 ——どうすれば、若い人たちが科学に興味を持つようになるでしょうか。

今、娘のルーシーと一緒に、子ども向けの本を執筆する計画を立てています。物語形式で相対論と宇宙論について説明するものになるでしょう。
子どもというのは、いろんな意味で最高の聞き手だと思っています。ためらわずに理由を聞こうとしますし、ごく自然に宇宙に興味を持っている。早い段階で興味を引きつければ、そういった子どもたちが、将来、科学者になるかもしれません。

インタビューを終えて 平林久 JAXA宇宙科学研究本部宇宙情報・エネルギー工学研究系教授

私たち人間は小さくて、その世界はとても狭い。その狭い中で広い宇宙を探っています。ホーキング博士は身体にハンディキャップを抱え、さらに制限された中で広大な宇宙の根源的な謎に取り組んでいらっしゃいます。それが非常に印象的でした。博士の研究室に入って特にそう感じましたし、人類に対しても大きな希望を与えるという気がしました。でも、インタビューさせてもらうためにお邪魔してしまい、その分、研究が遅れてしまったかもしれないと思うと、ちょっと申し訳ない気がしました。
博士の言葉を読んだ子どもたちが奮起してくれれば、日本のためにも大変いいことだと思います。

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イラスト/平林久 プロフィール
平林久
ひらばやし・ひさし
JAXA宇宙科学研究本部宇宙情報・エネルギー工学研究系教授

東京大学理学部物理学科(天文学)卒業後、同大学大学院へ進み、博士号を取得。その後、野辺山太陽電波観測所、野辺山宇宙電波観測所に勤務し、宇宙科学研究所(現JAXA)客員助教授などを経て現職。電波天文衛星「はるか」を使ってスペースVLBI計画(VSOP計画)を実現するなど、観測的な宇宙科学研究を進めながら、宇宙の生命、未来などにも興味を持つ。
剣道六段の高段者で、イラストの創作も得意とする。
ピサの斜塔から落ちたガリレオが、虫食い穴を通じてホーキング博士となって現れる不思議なリンゴ(ホーキング博士は、ガリレオの死からちょうど300年後に生まれた!)。そしてそれを見るニュートン

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