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「2007年の新年にあたって」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長 立川敬二
			今年の宇宙開発にも大いに期待していただきたいと思います。昨年は6機のロケットの打ち上げを行いましたが、今年も引き続いてロケット2機の打ち上げを自国で行い、その他に国際宇宙ステーションの日本実験棟の打ち上げをスペースシャトルで行います。
			これらイベントがたくさんありますので、ぜひ関心をもって見ていただきたいと思います。我々もすべて成功するように頑張ります。
日本の宇宙開発の信頼性が高まった2006年

Q.昨年はどのような年でしたか?


赤外線天文衛星「あかり」


太陽観測衛星「ひので」


技術試験衛星「きく8号」


昨年はH-IIA、M-Vロケットの合計6回もの打ち上げ成功で、JAXAにとっても画期的な年だったと思います。特にH-IIAは4機成功したわけですが、それには3つの意味があります。まず、1月から2月にかけての1ヵ月間に2機打ち上げましたが、これによって短期間で連続打ち上げできることを証明しました。2つ目は、固体ロケットブースタが4本になったH-IIAロケット「204」型の初めての打ち上げに成功したことにより、4種類あるH-IIAロケットのラインナップすべてが整ったことになります。これは昨年12月のH-IIAロケット11号機によって実証されました。3つ目は、日本で初めて同一機種で10機を越えたことです。打ち上げた11機のH-IIAロケットのうち、1機が失敗しましたが、成功率は90%超えたことになります。また、M-Vロケットも10年間で6機の打ち上げに成功し、有終の美を飾ってくれました。そういう意味で、ロケットの信頼性も世界レベルに達しつつあるのではないかと思います。
宇宙科学の分野でも、X線天文衛星「すざく」、赤外線天文衛星「あかり」、太陽観測衛星「ひので」など、日本の特長を活かした衛星が成果を挙げ、国際的にも高い評価を得ました。これは、X線など、日本の得意とする分野に焦点を絞っているのが特徴です。解像度もこれまでの衛星と比べて格段にいいですから、これからも新しい発見ができるのではないかと期待しています。
昨年末には、H-IIAロケット11号機で打ち上げられた技術試験衛星「きく8号」の2つの大型アンテナの展開にも成功しました。「きく8号」は、携帯電話と同程度の小型端末を用いて、移動通信を可能にします。迅速に情報が伝達できますから、将来的には災害対策のほか、山間部や海上など地上交換局のない場所での利用など、私たちの生活に役立ついろいろな使い方ができると思います。
このように昨年は日本の宇宙開発の信頼性が高まった年であった一方で、国際宇宙ステーションの建設が軌道に乗ったことも大変喜ばしいことでした。一昨年の夏に野口宇宙飛行士がスペースシャトル復活のフライトに搭乗しましたが、その打ち上げの時にスペースシャトルに問題が発生して、再び打ち上げが中断されました。そのため国際宇宙ステーションの建設が遅れるのではないかと心配しましたが、昨年ようやくスペースシャトルが順調に飛ぶようになり、建設も再開されました。国際プロジェクトにはいろいろな問題が生じますが、それを1つ1つ解決して再開にこぎつけたことは、とても印象的でした。


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