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世界の研究者が、日本の科学衛星に期待
リカルド・ジャッコーニ  1931年イタリア生まれ。1956年にアメリカに移住し、マサチューセッツ工科大学(MIT)のブルーノ・ロッシ教授のもとX線観測装置をロケットに乗せて打ち上げ、1962年、世界で初めて強いX線を発する太陽系外の天体を発見し、2002年のノーベル物理学賞を受賞した。
JAXAでは、天文学の分野で多くの巨大プロジェクトに関わり、2002年にノーベル物理学賞も受賞したリカルド・ジャッコーニ博士を招いた講演会を、2004年2月27日に東京国際交流館(江東区青海)で開催しました。ここでは、多忙なスケジュールの合間を縫って行われたプレス向けの共同インタビューの模様を、講演当日の写真や博士の業績を伝える資料などを交えながらご紹介します。(JAXAウェブサイト編集部)
ノーベル賞授賞式の模様写真
写真はノーベル賞授賞式の模様
(左から2番目がジャコーニ博士)
(c)The Nobel Foundation
Photo: Hans Mehlin, Nobel e-Museum

ノーベル財団からジャッコーニ博士に送られた表彰状には、ブラックホールに落ちていくガスがX線を放つ様子が、アーティスティックに表現されています。小柴昌俊博士や田中耕一氏の賞状も描いた、画家のNils G.Stenqvist氏の作品を、ここではリンクでご紹介しています

http://www.nobel.se/physics/
laureates/2002/giacconi-
diploma.html



Q.1 X線天文学の魅力、面白さは何でしょうか?

 私たちは長年にわたりX線天文学をはじめとする天文学の研究に取り組み、激しい爆発現象がさまざまな天体の誕生につながっていることを明らかにしてきました。
 ビッグバンに代表される大爆発は、星の誕生と死につきものであり、さらには銀河や銀河星団といった宇宙の大構造を創り出します。このような激しい現象が起きると、ガスは非常に高温に熱せられ、粒子は加速されて高エネルギーをもつようになり、結果的にX線を放射することになります。
 銀河と銀河の間の空間には何も存在しないわけではなく、非常に薄い高温のガスが存在しています。このガスの中には、銀河団を構成する銀河よりも多くの物質が含まれています。そして、この高温のガスはX線でのみ輝き、見つけることができます。この物質の存在は、私たちが初めて発見したものです。
 いっぽう、星は寿命の終わりに「超新星爆発」を起こし、たくさんのX線を放射するため、X線観測は宇宙の高エネルギー現象を発見し研究するための有効な手段となっています。これらの高エネルギー現象は、星や銀河、銀河団などが誕生したり終わりを迎えるとき、そしてその進化の上で非常に重要な位置(エポック)を占めています。そこがX線天文学のおもしろさなのです。



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