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日本初の赤外線天文衛星  あかり(ASTRO-F) トップページへ
20年ぶりに宇宙の地図を作り直す「あかり(ASTRO-F)」
村上 浩 あかり(ASTRO-F)プロジェクトマネージャー

「あかり(ASTRO-F)」は、赤外線を使って20年ぶりに宇宙の地図を作り直すのが目的です。1983年に打ち上げられた世界初の赤外線天文衛星 IRAS(アイラス)が、宇宙をスキャンして世界初の宇宙の地図を作りました。そのデータは当時、宇宙や銀河、星の誕生や進化を考える上で画期的なものでした。その後さらに宇宙の謎を解明するために、もっと高感度、高解像度のデータが、世界の天文学者から求められているのです。「あかり」は、感度も解像度もIRASの数倍から数10倍なので、これまで10000分の1スケールしかなかった地図が、1000分の1になるような1桁上の詳しい宇宙の地図ができるといえるでしょう。
Brad Whitmore (STScI)/NASA
ESA/ISOGAL team

ASTR0-Fは、IRASに比べて
約10倍高い解像度と数倍良い感度で観測できる

IRAS(1983)

「あかり」(シミュレーション画像)
IRAS(1983) 「あかり」
(シミュレーション画像)

赤外線で銀河の全体像を見る
天文観測で最も一般的な可視光線(光学望遠鏡)は、星(恒星)自身はよく見えるのですが、星の間にある塵やガスなどが見えません。逆に電波望遠鏡は、ガスを見るのが一番得意で、星そのものは見えません。赤外線は、星や塵(固体)を一緒に見ることができるのが特徴です。またX線は、超新星爆発やブラックホールなど、宇宙でおこる極限状態(高温)を見るのが得意です。一方、赤外線は、銀河の中で最も多い、温度の低いところを観測できるのが特徴です。ですから宇宙の広い範囲を調べて、宇宙の地図を作ることができるのです。
では実際に赤外線で何が見えるかと言うと、例えば銀河の中で星がすごい勢いで誕生している時には、星は雲(暗黒星雲)の中に埋もれてしまって可視光線ではそれほど明るく見えませんが、赤外線で見るととても明るくて、星が生まれているのがよく分かります。実際にほとんどのエネルギーを赤外線で出しているような銀河もあるのです。また、暗黒星雲の中には塵が散らばっていて、星が誕生すると、塵が出す赤外線が強くなってすぐに分かります。さらに1つ1つの星の誕生だけでなく、銀河ができて、星が一度にたくさん誕生した時には、赤外線ではとても明るく見えるのです。

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