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さて、現在活躍中、または計画中のミッションにはどんなものがあるのでしょうか。(※図7)
水星は、日本とヨーロッパの共同ミッション「ベピ・コロンボ」が2013年に打ち上げられる予定です。金星には、ヨーロッパの「ビーナス・エクスプレス」(2006年4月金星に到達)、日本の「プラネットC」(2010年打上げ)、木星には、アメリカの「ジュノー」が2010年に打ち上げられる予定です。土星には、2004年7月に「カッシーニ・ホイヘンス」が到達しています。現在、「カッシーニ」は土星や土星の衛星を観測し、非常に素晴らしい写真を撮っています。冥王星探査機「ニューホライズン」は来年2007年に木星を通過しますので、きっと新しい木星の写真が届くと思います。そして、彗星に関しては、「ディープインパクト」、2004年2月に打ち上げられたヨーロッパの「ロゼッタ」(2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到達する予定)、また、小惑星探査は皆さんご存知の「はやぶさ」、そして、小惑星「ベスタ」と「ケレス」を観測するアメリカの「ドーン」が2007年に打ち上げられる予定です。

火星にはさまざまなミッションがあります。(※図8)アメリカの「グローバル・サーベイヤー」「オデッセイ」「スピリット」「オポチュニティー」「リコナイサイス・オービター」、ヨーロッパの「マーズ・エクスプレス」が現在観測中です。こんなに探査機を送って多すぎだと思いますか? いいえ、決してそんなことはないと思います。また、アメリカの「フェニックス」が2008年、「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」は2010年に火星に到達する予定です。
さて、今後の火星探査の展望ですが、もしかしたら、火星は唯一人類が住むことができる可能性があるのではと考えられています。だからこそ、今さまざまな試みが行われているのです。火星のコロニー化ということも言われていますが、これは人類にとって重要なプロジェクトになるかもしれません。アメリカは既に火星探査計画を進めていますが、ここ数十年のうちに間違いなく火星探査を実現できるのではないかと思います。

今国際的には、月探査に関する関心が高まっています。 これまでアメリカと旧ソ連はたくさんの探査機を月に送ってきましたが、中国やインドといった国も新しい探査機を考えています。(※図9)
ヨーロッパの「スマート1」は2005年に月に到達して現在月の観測を行っています。中国は「嫦娥」(Chang'e:じょうが:中国語読みでは「チャンア」)、インドは「チャンドラヤーン」を計画中で、共に2007年から2008年に打ち上げられる予定です。そして、日本の「セレーネ」。これは、主衛星と2機の副衛星で構成されていて、中国やインドと同じタイミング、2007年に打ち上げられる予定と聞いています。イタリアは可能性について議論中で、独自のオービターを考えているようです。アメリカは、「ルナー・リコナイサンス・オービター」という月周回探査機を2008年に打ち上げる予定です。
こうして各国が月に対して非常に高い関心をもっているわけですが、それぞれの国がどのような貢献ができるかも重要ですが、それを超えて、どのような国際協力が可能なのかを今後真剣に考える必要があると思います。特に、月に関しては、国際協調が非常に重要だと思います。

私どもの米国惑星協会について紹介させてください。(※図10) この協会は、25年の歴史を持っていて、1980年にカール・セーガンを中心に設立されました。彼はアメリカの宇宙プログラムのリーダーとして活躍しました。私も創設者の1人です。会員は120カ国、10万人で、日本にも日本惑星協会があります。
重要な目的は「この地球以外に生命体を見つけよう」ということですが、特に「教育」に力を入れています。惑星探査というプロジェクトをただ傍観するのではなく、参加することも重要であると考えています。そのため、一般の市民を対象として、さまざまな情報を提供しています。先程、川口先生から88万人の署名入りの「はやぶさ」のターゲットマーカーについてのお話がありましたが、市民参加型という意味で素晴らしいアイデアだと思いますし、一般の方が自分もミッションに参加しているという意識が高まってくると思います。
惑星協会としては、ぜひ国際的に情報を共有したいと考えていますが、まずは、月、火星の探査を中心として、各国の宇宙機関と協力しながら啓蒙活動をしていきたいと思っています。

最後に、なぜ太陽系の探査をするのかということですが、何かを発見する航海というのは、ただ単に新しい場所、風景を見るだけではありません。それを理解する、新しい理解の目を持つということです。これは有名なフランスの小説家マルセル・プルーストの言葉です。
こちらの写真は火星探査機「バイキング」が1976年に撮影した写真です。(※図11)30年たった今見ても、素晴らしい写真だと思います。私はこの写真を見た時、地球上でもありそうな地形だなあと思いました。このように、他の世界を探ることによって、皆さんが何かを感じたり、考えてくれたらいいなと思います。

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図7



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図8



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図10



図11




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