

今回の「おじゃりもうせ!種子島」は、種子島宇宙センター広報担当の湯地由子(ゆぢゆうこ)が、種子島宇宙センターの歴史を紹介します!
今は使用されていない様々な設備を、過去実際に使用していた時代の記録と共に振り返ります。今回打ち上げる「いぶき」まで連綿と続いてきたロケット開発の歴史を感じてください!
第5回 射座点検棟
最後の紹介は、H-IIAロケットの発射点である第1射点にそびえる設備「射座点検棟(Pat Service Tower)」、通称「PST」です。
「PST」は、1世代前のロケット「H-IIロケット」の打ち上げ用に設けられた設備です。現在打ち上げている「H-IIAロケット」は大型ロケット組立棟(VAB)という設備内でロケットの組み立てから衛星の搭載、最終チェックまでの全てを行った上で射点に移動し、打ち上げられます。
一方、「H-IIロケット」はVABではロケットの組み立てだけを行い、衛星搭載や最終チェックはせず、射点に移動してから行います。そのため、射点に移動してから長期間に渡っての作業を行う必要があり、PSTが設けられました。PSTは観音開き型の扉で機体をすっぽり覆う構造になっており、打ち上げ時には扉が開かれ、打ち上げが行われました。
現在のH-IIAロケットは打ち上げ準備が全て整ってから射点に移動するため、PSTは必要ありません。そのため観音扉構造の設備は撤去し、H-IIAロケット用に改修した名残が現在のPSTです。
もう1つの発射台である第二射点には、実はこの「PST」がありません。
しかし、第1射点のこの「PST」は、ロケット発射点のシンボルとして、今もなお燦然(さんぜん)とそびえています。
[2009年1月8日 更新]
第4回 液体エンジン燃焼試験場
今回ご紹介するのは、H-IIロケットの第一段メインエンジン「LE-7」、H-IIAロケットの第一段メインエンジン「LE-7A」の開発を支えてきた「液体エンジン燃焼試験場」です。
「液体エンジン燃焼試験場」は、1985年に設計が開始され、1989年5月に第1回目のLE-7エンジンの燃焼試験を開始しました。
以来、LE-7エンジン、LE-7Aエンジン合わせて、255回、3万秒以上の試験を実施してきました。
現在、LE-7Aエンジンの開発試験は終了しており、この「液体エンジン燃焼試験場」は休止状態です。
将来、新型のエンジンを使用することになったら、この「液体エンジン燃焼試験場」の勇姿を見られる日がまた来るかもしれません。
[2008年12月22日 更新]
第3回 竹崎地上燃焼試験場
「竹崎地上燃焼試験場」通称「竹崎地燃」は、固体燃料を使用しているエンジン、ブースターの試験場です。
「竹崎地燃」では、ロケットの第一段部分に取り付けられている固体燃料のブースターの燃焼試験場として使用されてきました。
N-IロケットからH-Iロケットまではアメリカの技術を導入した「SOB(固体補助ブースター)」。H-IIロケットでは純国産の「SRB(固体ロケットブースター)」。そしてH-IIAロケットでは「SRB-A」が使用されています。
ここ最近のH-IIAロケットは「竹崎地燃」で燃焼試験を行っていません。またいつか、力強く火を噴く燃焼試験の轟音を聞きたいものです。
[2008年12月4日 更新]
第2回 大崎射点(中型ロケット発射場)
日本初の静止衛星「きく2号」は、1976年2月、ここ大崎射点からN-Iロケットで打ち上げられました。
その後、N-IIロケット、H-Iロケット、J-Iロケットと、ここ大崎射点から合計25機ものロケットが打ち上げられました。
現在はご覧の通り、直面する大崎海岸からの潮風によって傷んでいます。通路や壁などは錆びがひどいですが、基礎部分の鉄骨は非常に頑丈で、50年は使用できるように設計されているそうです。いつか使用する日が来るかもしれません。
[2008年11月19日 更新]
第1回 竹崎射点(小型ロケット発射場)
種子島宇宙センターのロケット打ち上げの歴史は、ここ竹崎射点から始まりました。
そのロケットは、「気象観測用SBロケット」。昭和43年9月の打ち上げでした。
そして、その後のロケット開発に大きく貢献した実験ロケット、「LS-Cロケット」「JCRロケット」「TR-Iロケット」「TR-IAロケット」を、ここ竹崎射点から合計94機も打ち上げました。
現在、竹崎射点はその役目を終え、使用されていません。小型ロケットのランチャー(打ち上げ設備)は厳重に格納されています。
海岸に面しているため、現在の竹崎射点はかなり錆びてしまっていますが、そこからロケット開発の歴史の重みも感じることができます。

TR-IAロケットの打ち上げ
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同じ場所から、現在の竹崎射場
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ランチャーに取付けられた
TR-IAロケット
この場所から打ち上げられました |
 
現在の竹崎射点 |
ここまでは誰でも立ち入ることができます。
この中にランチャーが格納されています。ランチャーは見ることはできませんが、このシャッター、年季を感じますね。
[2008年11月7日 更新]
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