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いまさら聞けない「あかつき」Q&A

金星探査機「あかつき」へのよくある質問(その2!)を、きんせいちゃんがみんなに代わって、あかつきくんに直接聞いてみたよ。 
9問目「あかつきくん」が、金星に到着するまでに、一番大変なことってどんなこと?
答え
  • 僕が金星を回り始めるときが一番緊張する瞬間だよ。金星を回り始めるためには、ブレーキをかけて、金星の重力にちょうど良い速度で捕まえてもらわないといけないんだ。ブレーキが足りなくて速度が速すぎると、重力に捕まえられなくて通り過ぎていっちゃう! 逆にブレーキをかけすぎると、金星の重力に引っ張られて、金星に落っこちちゃうんだよ。
  • 応援してるから、がんばってね!


  • (右図)セラミックスラスタ:ブレーキをかけるためのエンジン。打ち上げ時の重さのほとんど半分を、軌道投入の際にブレーキをかけるときに使う燃料が占めています。
10問目 「あかつきくん」は、なぜ金星の周りを楕円に回るの? 円ではダメなのかな?
答え
  • いろんな種類の写真を撮るために、近くも遠くも通る楕円軌道で回るんだ。 近いところだと高度が数百km、遠いところでだいたい8万kmの細長い楕円軌道だよ。

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「あかつき」の軌道は「スーパーローテーション」という東から西への強い風が吹く金星大気の観測に適しています。この楕円軌道は、一周にかかる時間が30時間ですが、そのうち金星から遠いところを飛ぶ20時間はスーパーローテーションによって流されている雲の同じ場所を真下に見下ろしながら観測することができます。残りの10時間では、近傍からクローズアップの観測を行います。
11問目 「あかつきくん」は、金星の周りをどのくらいのスピードで飛ぶの?
答え
  • 金星に一番近づくところでは秒速10km、一番遠いところでは秒速1kmくらいだよ。
  • 近くを回るときは速く、遠いところではゆっくり回るのね。
12問目 「あかつきくん」は金星をどのぐらいの期間、観測するの? その後「あかつきくん」はどうなってしまうの?
答え
  • 僕の「あかつき」のミッション期間は少なくとも2年を予定しているよ。
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2年を超えても、故障せず充電池の容量が大きく劣化しないうちは観測を続ける予定です。充電池は「あかつき」が金星の影の中を通過する間の電力を賄うのに使われるものです。観測を停止したあともしばらくは金星の周りを回っていますが、いつかは金星大気へ突入するものと考えられます。

コラム:衛星専用として開発されたリチウムイオンバッテリ
「あかつき」は、光が当たらない夜の期間、内部に搭載したリチウムイオン電池で動きます。この電池は満充電に近いほど劣化が速く進んでしまいます。そこで、できるだけ充電をしないようにしながら運用を続けています。例えば地球から金星へ向かう軌道では夜の期間はありませんので、緊急時に対応できる40%程度の充電状態にとどめます。金星に到着すると、今度は昼と夜が交互にやってきますが、夜の期間を維持できる電力しか充電しません。電池は探査機の生命線ですから、こうしてできるだけ長持ちするように使っていきます。

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13問目 金星に着いた「あかつきくん」を、地球から見ることができるのかな?
答え
  • 金星はとっても遠くて、僕も小さいから、望遠鏡でも肉眼でも観測は不可能みたい。
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以前、月周回衛星「かぐや」のときにも観測できるか?という質問がありました。「あかつき」や「かぐや」のサイズは軽自動車から普通自動車程度の大きさです。たとえば、地球観測衛星が地球周回軌道から高性能のカメラで撮影しても、自動車はかなり小さく写ります。これが月まで距離が離れていたとしたら、見えるわけがありませんよね。さらに地球上ではポツリとしか見えない金星となると、観測は不可能に近いでしょう。反射が見える可能性も、地球上から金星の雷が見えた見えないと論争が巻き起こっていることを考えると、ほとんどゼロでしょう。
14問目 金星に着いた「あかつきくん」から、太陽や地球などの星はどう見えるの?
答え
  • 金星は地球より太陽に近いから、太陽は地球上で見るよりも大きく見えるよ(直径が4割増しくらい)。 地球は金星より反射率が小さくて、太陽から届く光が弱いんだ。だから、金星から見る地球は地球から見た金星に比べて暗く見えるんだよ。金星と地球の間の距離や、太陽の光が当たる方向によって変わるけど、だいたい1/5くらいの明るさで見えるよ。


太陽からの距離
〜太陽から地球までの距離を1とした場合〜
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15問目 じゃあ、最後は僕から質問!金星は自転がものすごくゆっくりと聞いたけど、金星から日の出や日の入りってどう見えるのかな?
答え
  • 金星は分厚い雲におおわれていて、金星の地表から太陽の姿を見ることはできないの。見えたとすると、金星は、地球とは自転の方向が逆なので、太陽は西からのぼって東へ沈みます。

もっと詳しく:
金星の自転は周期が243地球日という大変ゆっくりとしたものであり、この自転と公転(周期225地球日)を合わせた効果により、金星での日の出から次の日の出までの時間は117地球日となります。

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