打ち上げの業務は、ロケット機体の整備・打ち上げだけではなく、飛行後の追跡管制・飛行安全監視、整備期間中や打ち上げ時の地上安全確保、それら打ち上げ関連設備の維持、電力・水(打ち上げ時は冷却水として大量の水を使用します)の供給、広報・渉外等と多岐にわたっています。
実施責任者である遠藤理事の下、これらの業務を漏れなく見据え、打ち上げ完遂に向け、準備・調整し万全を期していく事にあります。実施責任者はこれらの結果から最終打ち上げの判断をします。
業務が非常に多岐にわたる事と、打ち上げという非日常的超大イベント(打ち上げにより世の中に影響する大きさやコスト的にも超大イベントと言えるでしょう)に、それらの調和した進行に気を配っています。鹿児島宇宙センターはEMS(環境管理システム)の方針の第1番目に、『ロケット打ち上げ関連施設・設備の適切な運用・保全により、確実なロケットの打ち上げを実施し、資源・エネルギーの使用量削減に努めます。』という事を挙げていますが、これは打ち上げ期間以外でも設備の適切な保全業務が重要である事を表しています。打ち上げ時期とは離れた時期に、これらの業務を打ち上げを目指して着実に行っていく事で、打ち上げの成功に繋がると考えています。
やはり打ち上げに成功した時の感激はひとしおです。また、私は鹿児島宇宙センターの所長として細かい技術的な事は今は行いませんが、若い人が自ら考え、我々年寄りが開発してきたロケットやエンジン、それらの設備の技術改良を提案して来た時には、若手職員がこれからのJAXAに必要な人材として育ってきた事を感じます。人を育てる事が重要と日ごろから言ってきている私にとって、若手職員の成長を感じたときには、ちょっと変な表現かもしれませんが、やりがいというか所長としての生きがいを感じます。
こうのとり2号機(HTV2)は、スペースシャトル退役後には国際宇宙ステーション(ISS)に大きな物を運べる唯一の輸送機です。今回食料や水も運ぶ事になり、ISSの乗員にとっても必要不可欠な輸送機となります。国際社会に対し大きな貢献をするとともに、責任も重くなってきているわけです。また打ち上げ後、補給キャリア与圧部は1気圧を保ったままISSに結合されますが、こうのとり1号機(HTV技術実証機)でこの機能を確認することができました。いわばここに日本人が乗っていれば、ISSに密航できた!(笑)。実際の計画を行うには、更なる信頼性の向上や、非常時も含め帰還技術の開発が必要ですが、将来性もあり働き者の「こうのとり」とH-IIBロケットです。応援してください。関係者一同、その成功と将来のために頑張ります。