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  Q.JAXAは産学官の連携を推進していますが、民間の研究機関からご覧になってどう思われますか?

中村先生 写真 さまざまな能力を持つ部門が、一体となって力を合わせるのは良いに決まっています。しかし、それによって何がしたいのか、日本の社会をどういう社会にしたいのか、10年後にどんな社会を夢見ているか?という構想が大切だと思います。
 研究もそうですが、いくら素晴らしい構想があっても手段がないとできませんし、いくら技術があってもきちんとした目的がないと成り立ちません。その両方があって初めて動くものだと私は思います。
 私は、生きているということを基盤に社会システムを作りたい、生命を基本にした社会を作りたいと思っていますので、その気持ちを若い人たちに伝えるようにしていますし、そのような目的をもって自分の仕事をしています。日本の研究には、どのような社会へ向けてのものなのかというところが見えないものがあり、それがどんどん進んでいくのは恐いと思っています。特に、近視眼的に経済効果のある成果を出すようにという圧力が強く出ているのは好ましいことではないと思います。


Q. 日本の宇宙開発を進めていく上で必要なことは何だと思われますか?

中村先生 写真 宇宙は誰もが夢を抱いているところですが、宇宙開発となると、単なるロマンでは通用しません。何のために宇宙開発をし、それを行うとどうなるのかということを示さなければなりません。他の分野との関係、時にはプライオリティの問題など、大型の研究開発であるだけに明確にする必要があるでしょう。
 日本の宇宙開発を進めて行くうえで大切なのは、開発をしている人たちが、宇宙開発で何をし、どんな時代、どんな社会を作りたいと思っているかということであり、それをいかに皆に伝えていくかということではないでしょうか。

[インタビュー収録:2004年6月28日]

 
 
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