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 Q.国際宇宙ステーション建設における、国際パートナーの重要性とは何でしょうか?


ソーラーセイルの想像図
JAXAが行ったソーラーセイル用の薄膜帆の展開実験/展開後のクローバー型薄膜
 国際宇宙ステーションを建設し、月へ行き、続いて火星に行くというプロジェクトに、各国が参加する意義はどのようにしたら生まれてくるのか? 参加各国の宇宙飛行士を火星への最終飛行へ搭乗させることができるのか? あるいは各国に何億ドル分ものロケットや設備を提供するよう依頼できるのか?
 もし、プロジェクトによる意義が明確に提示され、その結果得たものをすぐに利用できるという保証があれば、いくつかの国が協力するでしょう。ですから、私は将来的な国際協力のためにも、国際宇宙ステーションの建設を達成するべきだと思います。
 これはあくまでも個人的な意見ですが、何らかの国際運営会議を発足させ、国際宇宙ステーションの協力関係に基づいた高いレベルの会合を開き、各国がこういった宇宙プロジェクトに何を求めているのか話し合うことができればと思います。その上で、各国がプロジェクトに何を提供し、試験し、均衡を保つことができるのかを判断するのです。各国の意見が一致しないことも多々あると思いますが、少なくともお互いに話し合いの場を設けることには合意するでしょう。また、宇宙船のドッキングシステムの仕組みを各国共通にすることに合意すれば、ある国のロケットを別の国のロケットが援助することも可能になるかもしれません。もしロシアとアメリカが同じシステムのロケットを作れば、火星や月に行く際、お互いに助け合うことができるでしょう。
 日本は、ソーラーセイル(大きな帆により太陽光を反射して推力を得る太陽帆船)などの高度な宇宙推進力の研究を行っていますが、その方向性は非常に正しいものだと思います。火星飛行をする際に必要なのは、救命艇や有人宇宙船だけではありません。宇宙船は放射線を多く浴びないために、かなり速く進まなければなりません。しかし、海上輸送に速度の早い大洋定期船と、速度の遅い貨物タンカーがあるように、火星飛行には、必需品を運ぶための貨物タンカーのような役割を果たすものが必要なのです。JAXAが今年の8月に実験を行ったようなソーラーセイルを使えば、貨物をゆっくり火星に運ぶことができると思います。実現すれば素晴らしい貢献になり、日本の宇宙飛行士を火星へ送る交渉をする際にも非常に価値あるものになるでしょう。


 Q.日本の実験モジュール「きぼう」に期待することは何でしょうか?

日本実験棟「きぼう」の外観
  「きぼう」は、ロボット工学、宇宙の真空空間で機械を操作するという分野において、アメリカの実験モジュールより進んだ施設であると理解しています。また、それが多岐にわたる実験を提供するための各種機能を取り揃えたものになるということも知っていますが、私にはそれ以上の詳細が分かりません。
 宇宙飛行士の観点から見て、「きぼう」が国際宇宙ステーションに加わることは大歓迎です。そのモジュールが、宇宙ステーションにやってくる日本人宇宙飛行士の活動の拠点となり、興味深い実験が数多く行われるに違いありません。日本から来た仲間が、宇宙で一緒に作業することはとても素晴らしいことです。私は日本のモジュールだけでなく、日本の宇宙飛行士にも期待をしています。




 Q.また宇宙に戻りたいですか?


2004年4月30日、国際宇宙ステーションでの長期滞在後に帰還したフォール宇宙飛行士
 はい。しかし私の次の目標は新しい宇宙船で飛行することですから、10〜15年後となると、実現するには高齢かもしれません。もし飛行できなければ、大規模な国際チームの一員としてプロジェクトにかかわりたいと思っています。

[インタビュー収録:2004年8月19日]


 
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