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宇宙教育センターの始動
この他にも昨年は、宇宙教育センターが宇宙科学研究本部相模原キャンパスで始動しました。このセンターは、小・中・高校の学生だけを対象にするのではなく、先生たちにも宇宙を理解してもらおうという目的で設立されました。その始動によって、例えば、理科教育の中で、先生方が子どもたちに宇宙のことをもっと話してくださるようになればと思います。
野口宇宙飛行士も、「宇宙に行くことは子どもの時の夢だった」と言っていましたが、きっと同じような夢を持っている子どもたちはたくさんいるでしょう。その夢を大事にしてもらうためにも、宇宙について勉強する機会を子どもたちに与えることが重要ではないかと思います。
私は、「JAXAの職員は全員が先生だ」と言っています。一線級の科学者や技術者がいるのですから、そういう人たちを教育現場にも派遣できればと思います。
また、子どもだけでなく、大人になって宇宙への関心を持つ人もいるでしょうから、熟年といわれる方々も含めて、宇宙に興味のある人たちを集める場を作りたいとも思っています。そうすることによって、国民全体の宇宙への関心が高まって、それこそ、「日本もそろそろ有人飛行をやろうじゃないか」という声が出てくるかもしれません。そのためにも、国民的に盛り上げるという努力をスタートさせたいと思っています。



有人宇宙飛行
昨年、中国が2度目の有人宇宙飛行を成功させましたが、大変立派だと思いました。
中国の打ち上げが成功した直後に開催された国際宇宙会議(IAC)には、中国の方も出席していて、参加国のみんなでお祝いを申し上げ、中国の努力を高く評価しました。中国は、着実にロケットの打ち上げの成功率、信頼性を上げてきました。だからこそ、成功したのだと思います。
人間が宇宙へ行くためには、さまざまな面での充実が必要です。例えば、生命維持装置一つをとっても、確実に動かなければなりません。そういう意味でも、中国は幅広く技術を進歩させたのだなという印象を受けました。中国はよくやったと思います。
その一方で、資金さえあれば、日本の技術力で有人宇宙飛行も可能だとは思っていますが、日本がいつそれを決断できるかが重要だと思います。私としては、国民的コンセンサス(合意)を得て、日本もやはり有人ロケットを打ち上げようという動きにもっていきたいと思っています。そのためにも、私たち自身が技術力をさらに高め、人間が乗っても大丈夫と思われるように、ロケットの信頼性をあげていかなければなりません。特に日本では、命に対する関心が強く、その中で有人飛行を実現させるのは相当の覚悟が必要であり、それだけ意義も大きいと思います。

  


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