Q. これまでの代表的な成果は何でしょうか?
全天を観測したのが一番大きいですが、その他にも、特定の領域や天体をねらった観測を5000回以上行っています。膨大なデータの分析には時間がかかりますので、まだ初期の観測成果しか発表できていませんが、その中からいくつか紹介しましょう。
「あかり」は星が生まれる現場をとらえました。質量の大きな星は、最後に死ぬときに超新星爆発を起こしたり、また吹き出すガスや強烈な紫外線によって、その周りの星間ガスを吹き払って空洞をつくります。空洞の周囲にかたまったガスは圧縮されて濃度が濃く、そこで新しい星が生まれます。質量の重い星が誕生すると、それがまたガスを吹き払って周りに掃き寄せ、そこから星ができます。このように連鎖反応が起きて、星の誕生と死は繰り返されます。
天の川にあるはくちょう座には、赤外線で輝く明るい領域があります。この領域では、太陽系から3000〜10000光年程度の範囲にある天体が重なって見えています。数多く見られる明るく輝いている天体は、大質量の星が生まれている場所です。「あかり」の画像を見ると、大きく空洞になったような暗い部分が見えます。これは、高温の星団が成長し、強い光で周囲のガスと塵を吹き払ったものです。ここでもきっと将来新しい星が誕生するのだと思います。
オリオン座周辺でも、掃き寄せられた星間ガスの分布や、星が生まれた場所、または生まれつつあるようすをとらえました。ひときわ明るく輝いている場所では、大量の星が生まれ続けていて、その星の光で温められた塵が強い赤外線を放っています。オリオン座周辺の広い領域を、赤外線でこれほど詳しく観測したのは「あかり」が初めてです。このように、「あかり」は、星が活発に誕生するさまざまな場所をとらえました。