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日本人初めての宇宙長期滞在を達成して 〜若田宇宙飛行士による国際宇宙ステーション長期滞在〜

人類の探究心は永遠に

Q. もし宇宙に好きなだけ滞在できるとしたら、どれくらい長く滞在できると思いますか?

米国実験棟「デスティニー」で作業するフィンク宇宙飛行士(提供:NASA)
米国実験棟「デスティニー」で作業するフィンク宇宙飛行士(提供:NASA

今のところ、アメリカ人宇宙飛行士の最長滞在期間は6ヵ月ちょっとですが、1年間は人体に悪影響を被ることなくISSに滞在できると思います。ISSにはとてもいいエクササイズ装置もあって、よく使いこなされています。ですから、宇宙に1年間滞在することは可能だと思います。ただ、1年間家を不在にすることは、小さい子供をはじめ、家族にとってたやすいことではありませんから、地球に残っている家族のためのサポートは不可欠でしょう。家族へのサポートがある限り、1年の宇宙滞在は可能だと思いますね。私はまたチャンスがあったら、すぐにでも宇宙ステーションに戻りたいです。

Q. 人類が宇宙の長期滞在に挑戦する意味と大切さは何でしょうか?

2008年12月25日にクリスマスクッキーを手に取るフィンク宇宙飛行士とマグナス宇宙飛行士(提供:NASA)
2008年12月25日にクリスマスクッキーを手に取るフィンク宇宙飛行士とマグナス宇宙飛行士(提供:NASA)

ミッションが短期の場合、すでに宇宙への行き方と帰還方法が分かっているので問題はありません。一方、長期で行く場合、あるいは長期で「訪問」する場合とでもいいましょうか、実際に宇宙に「住む」ことになります。私たち人間が宇宙に長く留まるにつれ、おそらくいずれは、月や火星に居住するようになるでしょう。そのために必要な技術を開発し、どうしたら人間が長く宇宙に滞在できるかを研究しなければならないと思います。
そういう意味で、ISSは、人間が宇宙をただ「訪問する」だけでなく、宇宙に「住む」ことができることを証明してくれました。ISSには、水のリサイクルシステムや太陽エネルギーの技術もあります。私たちはまだ月や火星に実際に住むレベルには達していませんが、技術はどんどん発展しています。宇宙の対処の仕方や、どうしたら宇宙で生存できるかも分かっていますが、これらのことがとても大切だと思います。

Q. 今後のアメリカの宇宙政策についてはどう思われますか?

アメリカを含む各国が、どのようなプログラムを支援していくか決める必要があります。宇宙計画は、私たちの未来への素晴らしい投資です。私たちの子供のため、また、最先端技術への素晴らしい投資でもあります。さらに、アメリカや日本だけでなく、各国の思想や伝統、文化を育むことにも貢献します。アメリカ経済はいま芳しくない状態にありますが、国にはぜひ宇宙プログラムの価値を認めてもらいたいですし、宇宙プログラムの将来への強力な投資を続けてくれることを強く望んでいます。

Q. フィンクさんの目標をお聞かせ下さい。

米国実験棟「デスティニー」で作業するフィンク宇宙飛行士(提供:NASA)
米国実験棟「デスティニー」で作業するフィンク宇宙飛行士(提供:NASA)

これまでの2度のISS長期滞在ミッションは、ロシアのソユーズ宇宙船で打ち上げられて宇宙へ行きました。来年には、ミッションスペシャリストとしてスペースシャトルSTS-134に搭乗する予定なので、初めてのスペースシャトル打ち上げがとても楽しみです。このミッションを成功させることが、私の近い未来の目標です。
また、私の長期的な目標は、地球低軌道より先へ行くためのプログラムを支援し、遠く先にある世界を探検することです。私は本当に心から、人類は月へ、またそれより遠くへ行くべきだと思っています。私たちはこの地球を離れ、ほかの星へ住み始めるべきです。これはいろいろな面で有益だと思います。また、人間は絶えず地平線を広げてきた探検家ですから、これからも広げ続けていくべきだと思うのです。月は地球から3日ほどで到達できそれほど遠くないので、とてもいい場所になると思います。私もぜひ月へ行ってみたいです。

マイケル・フィンク(E. Michael Fincke)

NASA宇宙飛行士

1989年、マサチューセッツ工科大学にて航空宇宙工学および地球大気惑星科学学士取得。1990年、スタンフォード大学航空宇宙工学修士課程修了。2001年、ヒューストン大学物理科学(惑星地質学)修士課程修了。1990年にアメリカ空軍に入隊し、戦闘機のフライトテストエンジニアなどに従事。1996年には日本の航空自衛隊岐阜基地にて、日米共同のXF-2支援戦闘機の開発に務める。空軍時代の総飛行時間は、30種以上の航空機で825時間以上にのぼった。1996年に、NASAに宇宙飛行士として任命され、第9次長期滞在クルーとして2004年4月より約6ヵ月間、第18次長期滞在クルーとして2008年10月より約6ヵ月間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在。第18次長期滞在クルーではISSコマンダーを務める。また、2010年打ち上げのスペースシャトルSTS-134にミッションスペシャリストとして搭乗する予定である。ロシアの宇宙船、ソユーズTMとTMAの副操縦士の資格を持つ。

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