本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. 報告事項
平成15年10月16日(日本時間)に、米国航空宇宙局(NASA)が公表した「NASAスペースシャトル飛行再開実施計画書(以下「実施計画書」)」(NASA's Implementation Plan for Space Shuttle Return to Flight and Beyond)の第1回改訂(以下「改訂版1」)の概要を報告する。
2. 第1回改訂の内容
実施計画書改訂版1には、シャトル飛行再開に向けNASAが実施・検討中の活動の進展が、下記のとおり反映されている。なお、同文書においてNASAは、シャトル飛行再開時期を2004年9月12日から10月10日と想定している。
改訂版1の目次を添付1に示す。
(1)「改訂版1概要」(仮訳:添付2)
主な進展状況として、次の4項目を「改訂版1概要(Revision 1 Summary)」としてまとめている。要旨を以下に示す。
- 外部燃料タンクの断熱材剥離の最小化
- 根本原因究明の為の忠実度の高い再現試験の実施。
- 液水タンク/タンク間構造の設計見直し/試験の実施。
- 非破壊検査装置試作。
- 翼への断熱材等の衝突試験
- 強化炭素複合材への追加の衝撃試験実施(非破壊検査待ち)。
- 強化炭素複合材及びタイルの耐性を規定するためのパラメータを振った試験を今後数ヶ月で実施予定。
- 熱防護システム(耐熱タイル及び強化炭素複合材)の検査と修理
- 修理タイルへの再突入模擬の過熱試験を実施し、良好な結果を取得(非破壊検査及び破壊検査待ち)。
- 軌道上修理手順と使用工具について、航空機による無重力飛行試験を実施。
- 最終段階として、損傷耐性の明確化、軌道上検査のためのロボットアームブーム及びレーザ/カメラ設置に向けての作業に移行。
- NASAの組織と文化
- 独立評価機関設置、並びに安全及びミッション保証独立性に対する二つの勧告について、安全及びミッション保証局長を長とするチームを発足。
- ゴダ―ド宇宙飛行センター所長を長とするシャトルプログラム外への反映検討チームを発足。
- NASA技術及び安全センターをラングレー研究センターに設置し、11月から活動予定。
- 外部専門家の助言を含め、文化的傷害の特定作業中、結果を見て対応する予定。
(2)「NASAの対応概要」第1部(仮訳:添付3)
- 初版ではCAIBの飛行再開に向けての勧告事項(Recommendation)15件全てに対応内容が記述されていたが、内5件に対応内容が追記された。
- 初版ではCAIBのその他勧告事項14件全てに対応内容が記述されていたが、内4件に対応内容が追記された。
(3)「NASAの対応概要」第2部(仮訳:添付4)
- 初版では勧告事項以外に対するNASAの措置事項(Space Shuttle Program: SSP)10件が挙げられ、それぞれに対応内容が記述されていたが、内1件に対応内容が追記された。また、新たな措置事項として以下の5件が識別・記述された。
- SSP-11 ラダー スピード ブレーキ・アクチュエータ
- SSP-12 レーダの可視範囲及び要求
- SSP-13 ハードウェアの認定範囲内での使用の検証
- SSP-14 重要な衝撃個所と損傷寸法の決定
- SSP-15 問題追跡・処置システムの改善と実行
- CAIBの気付き事項(Observation)27件全てに初めて対応内容が記述された。気付き事項は、以下のように分類されている。
- O10.1 公共の安全
- O10.2 クルーの脱出と生存
- O10.4 労働安全及び品質の保証
- O10.5 保全文書
- O10.6 機体の整備休止期間と機体の大改修
- O10.7〜O10.11 個別技術事項
- O10.12 リーダーシップ/管理の訓練