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3億キロの小窓「はやぶさ運用室」からの報告
第4話 「いん石は小惑星起源」の動かぬ証拠を持ち帰る
 小惑星はもう1つ、いん石と重要な関係があります。
 地球に落ちてくるいん石のうちある類のものには、あるタイプの小惑星と似ているといわれています。なぜ、行ったこともないのに「似ている」と言えるのか。これは「スペクトル」というものから推測をしています。
 プリズムに光を導き、七色に分解する理科実験のご記憶があるかもしれません。自然光はいろいろな色が混じり合ったものです。
 ところで、物質にはいろいろな色があります。これは、ある特定の波長の光(色)をその物質が吸収するため、色がついて見えるわけです。あらかじめ、ある物質がどの波長の光を吸収するか調べておけば、行ったこともない遠い星の物質が分かる、というからくりです。
 とはいっても、スペクトルで知ることができるのは表面の様子だけ。それに、小さな小惑星から得られるスペクトルは、その星まるごとの情報だけです。正確にどのような物質でできているかを知ることは難しいのです。
 そのためにも、サンプルを持ち帰るということは重要です。サンプルがあれば、地球上でじっくりと調べることもできます。
 「はやぶさ」は、まさにそのためにサンプルを持ち帰ろうとしています。火星由来と思われる隕石や、もともとは小惑星だったらしい隕石は存在しますが、宇宙から地上に持ち帰られた、起源の明らかな物質は、今のところ「月の石」だけです。小惑星からは世界ではじめて。日本の技術者と科学者の手によるチャレンジになるわけです。

(第5話 はやぶさ運用室の「白板の役割」と「お天気の心配」 へつづく)


+ 第1話
「SSSミーティング」、またの名を「最先端惑星科学ワークショップ」

+ 第2話
19世紀とともに始まった「小惑星科学」への招待
+ 第3話
3億km彼方のはやぶさに、手書きのコマンド(命令文)で語りかける
+ 第4話
「いん石は小惑星起源」の動かぬ証拠を持ち帰る
+ 第5話
はやぶさ運用室の「白板の役割」と「お天気の心配」


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