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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

III. 本件に関する決定

B. 政策上の理由に基づくシステム申請者に対する条件
19. 我々は、職員が手続継続中の申請人のいずれも現在我々の下にある情報に基づいて不適格であるとすべきではないと勧告する限りにおいては、職員の見解その他の多くの論拠に(職員勧告、第82-119節)に一般的に同意する。ただし、我々は、政策上の条件及び/又はより一層の証明が特殊な申請人の場合にいかに必要であるかという問題を提起する。
20. 上記に示されたように、この問題における我々の政策目標の実現のためには、他のシステムを設定しようと試みている特に重大な当初の段階で、我々が、申請人がこれらの目標を没却しないように目的に向けて適切な措置を講ずることを必要とする。我々は、この問題に関連する複雑さと不確実性のために、いかなる種類の措置を講ずるかという問題により、若干の困難な決定に直面する。我々は多くの代案及び変更を検討した。そのいずれもがすべての点に関して委員会全体を完全に満足させるものではないように思われ、かつ、対立する見解があるけれども、次の行動の方針が我々が現在の状況において到達し得る最も合理的かつ適切に調整された見解であるという我々としての最善の裁定である。

1. AT&T及びコムサット
21. 我々は、基本的に、AT&Tがその基本的な電話交換業務を提供する効率的及び経済的手段としてその実施可能性を決定するため、並びに、18-30GHzの周波数の潜在的な使用を調査するための衛星技術の使用を許可されるべきであると結論した。我々は、我々の政策の陳述において表明された関心事のために、AT&Tによる国内衛星の当初の使用をMTT、WATS、AUTOVON、地上での業務の中断の場合の緊急復旧(委員会に提案され、承認された復旧案に基づきかつ関係業務に係わらない。)、かつ、以下の第35-41節に論議された考慮に照らして必要と認定する場合には、アラスカ、ハワイ及びプエルトリコ-バージン諸島におけるその他の業務に限定するであろう。ただし、委員会は次のうちの最も早い時期に大陸諸州内での追加業務を供給する権限についてのAT&Tによる申立を受理するであろう。(a)特殊通信事業者の業務を提供することを許可された国内衛星免許人がその衛星容量の実質的な使用を達成した場合。又は、(b)いずれにしても、AT&Tによる国内衛星の運用の開始の3年後。我々は、この申立によって、当初の制限がまだ正当化されるかどうか、又は同時点での競争の状況及び反対補助金の問題の解決への影響といった関連要素を含む、その時に関係する状況に照らして変更若しくは削除されるべきかどうかを決定するために、この制限を再検討するであろう。
22. 我々は、更に、委員会の政策表明に示される考慮(第13-14節)に照らして、契約上の取極に基づくコムサット/AT&Tの提案を許可することは公益及び我々の政策目標の実現に反することであるだろうという結論に達した。これらの業務について、国内衛星を経由して提供することが許可される(上記第21節)。AT&Tは、衛星施設を所有しかつ運用する権限を申請するか、又はコムサット若しくはコムサットについて次に明記したものと同一の条件に基づく事業者向け事業者としてのみ業務を行うために選定されたその他の通信事業者から料金基準に基づきトランスポンダーを賃借するかのどちらかを選択できる。
23. コムサットがAT&Tに業務提供を行うことを選ぶ場合に、次のことが必要とされる。(a)事業者向け事業者としてのみ活動を行うこと。(b)トランスポンダーを賃貸するその他の事業者に適用可能な同一の料金の条件に基づきトランスポンダーをAT&Tに賃貸する。(c)委員会によって希望されかつ許可された場合には、AT&T及びその他の通信事業者に自社が所有する地球局を通じて賃貸されるトランスポンダーを使用することを許可すること。(d)委員会のその後の命令によって定められるべき、いずれか一の事業者(以下の第25節参照)に賃貸することができるシステムの容量の最大限度率に関する形式に従うこと。この事業者向け事業者としての活動には、トランスポンダーを賃貸する通信事業者によって希望されかつ既存の又は潜在的トラヒック量によって正当化される場合に、コムサットによる地球局施設の提供を含めることができる。他方、コムサットがAT&T以外の事業体にのみ業務を提供することを選ぶ場合には、コムサットは、料金基準に基づき、端末間業務を提供し、AT&T以外の事業者にトランスポンダーを賃貸し、かつ多目的システムについての申請において企図されたその他の業務(職員勧告、第22節)を提供することができる。
24. 我々は、卸売事業者がトランスポンダーの賃貸を希望するその他の事業者の要求を満たすための適切な能力を保持している限り、AT&Tが許可済国内衛星業務についての事業者向け事業者から料金基準に基づき衛星のトランスポンダーを賃借させないようにする公共政策上の強制的な理由はないと考える。卸売事業者は公衆に対して特殊通信業務を小売りすることに従事しないだろうから、AT&Tに対するトランスポンダーの賃貸は、その他の者による特殊市場に業務提供するための競争的参入を妨げないであろう。更に、この取極は、宇宙部分施設の所有に必要な投資を保証するのに十分な既存の又は潜在的なトラヒックがない小売り業者による衛星技術の使用についての機会を与えるであろう。更に、AT&Tが提供する事業の誘因に基づき運用を開始する卸売事業者は、その他の通信事業者からの事業の発展の機会を有し、かつ、この範囲内で、AT&Tが、将来、宇宙部分施設を所有しかつ運用する権限の申請を選ぶべき場合にもあまり影響されることはないであろう。
25. 我々は、他の通信事業者による使用のために適切な容量を留保するために料金基準に基づきAT&Tが先買権で獲得することができる卸売事業者の宇宙部分容量の割合を制限することが必要であると考えるけれども、我々は、現在、方式を案出する立場にはない。一方では、AT&Tが当初多くのトランスポンダーを占有する能力を有し、これによって、システムの容量の多くを先買権で獲得することができるのに対して、他の業者が利用できる容量は徐々に増大する経費で使用することになるという考え方がある。他方では、衛星の比較的短い寿命を考慮すると、卸売事業者は、特に他の事業者が卸売料金基準に基づく提供を利用するのに妥当な時間が経過した後は、AT&Tが他の方法で賃貸する実質的に未使用の容量を負担させられるべきではない。従って、AT&Tがコムサット(又はその他の卸売事業者)から料金基準に基づきトランスポンダーを賃貸することを選定する場合に、我々は、この卸売事業者が、AT&Tその他の通信事業者の使用のために自己の宇宙部分の容量を割り当てる適切な方式を、委員会の再検討のために、提出することを要求するであろう。この割当の審議に基づき、委員会は、施設の許可に先立ち、当該方式を承認し又は指示するであろう。
26. コムサットは、その多目的システム案を継続するか又はAT&Tその他の通信事業者に対して衛星施設の卸売提供者としてのみ活動するかの選定にかかわらず、国内衛星事業に従事する別個の補助会社を設立することが要求される。1972年4月19日に提出されたコムサットの見解は職員勧告の第116節に反対していないが、我々は、この国内補助会社がいかに組織され又は資金運営されるべきかに関していかなる事前の制限も課していない。これはその提案に関する最終的な委員会の承認を条件として、まず第一にコムサット自身が判断を行うのに適当な領域である。事業者向け事業者として業務以外のことを選択する場合には、コムサットは、インテルサットの施設が業務提供する海外の地点で国内衛星施設を所有し又は運用することを禁止されるであろう(職員勧告、第114節)。

2. GTE
27. 職員は、GTEが許可を求める、衛星施設を経由しての州際MTT業務の提供に関するGTEの提案について様々な関心を表明した(職員勧告、第97-99節)。複数の事業体の参入及び国内通信の提供における競争の展開を奨励するにあたって、我々は、現在AT&Tによって提供されているいわゆる独占的な交換電話業務と他のすべての既存の及び潜在的な特殊業務の部門との間の区別を維持した。我々は、AT&TがMTT分野において占有する確立された地位を保護するためにではなく、この区別を行った。むしろ、公衆に効果的かつ経済的なMTT業務の利用可能性、この統合業務に必要な施設の立案及び提供についての責任を不必要に細分することによって不利な影響を受けるに違いない利益を保護することが委員会の政策及び関心事であった。他方、我々は、実施可能でありかつ公衆に対して利益を与えることが明らかな提案を拒否しない。なぜなら当該提案は確立された計画からの出発を意味しているからである。これは、当該提案が、基本的に長距離通信施設の供給におけるよりむしろ大規模なMTTトラヒック量を発信し、着信させ、かつ交換する事業者ではあるけれども、既にMTT施設及び業務の提供における重要な参加者であるGTEのような事業体により行われている場合は特にそうである。
28. GTEの提案は、少なくとも潜在的には、いくつかの利点を有している。当該提案は、限られた規模においてではあるが、今まで、AT&Tの単独の責任であった州際MTT網の立案及び運用への他の責任を有する事業体の見通し及び経験をより直接的に導入するであろう。当該提案はAT&T案及びGTE案によって提示される異なる技術の相対的な効率及び経費上の利点を規程上比較する基礎を提供することができる。当該提案は又国内通信分野におけるAT&Tの支配及び経済的な影響を弱めることに結果的につながる。
29. これらの潜在的な公共の利益にかかわらず、GTEの提案が公益に役立つであろうという所要の法律上の認定を行う前に解決されなければならない、我々のもとにある記録に含まれる情報によっては拭いきれない若干の不確実性がある。従って、我々は、ヒューズ社/GTEの申請のこの部分が許可されるべきであるかどうかを決定する以前に、いかに潜在的な利益がこの目的のための衛星技術の使用をGTEに認めることによって達成されるか、この提案が経費及び将来の十分な供給における公衆の観点から経済的に正当化されるかどうか、GTEのAT&Tとの精算についての現在の契約に関する効果、一時的な業務停止又は災害時の衛星システム施設の不足の場合のGTEのトラヒック処理案、これらの施設の費用がいかに料金作成及び算定の目的上扱われるか、及び委員会がAT&Tの州際交換電話施設に関する継続した独占的な信頼に比較した場合の許可済の運用の効果及び経済性の評価を助けるためにGTEが収集し、委員会に報告するであろうデータの種類に関する職員が記述する性質の証明(第98-99節)を要求するであろう。
30. 我々が、これらの証明の審議の後に、すべてを考慮して、当該提案が公共の利益に役立つであろうと決定する場合には、GTEに対する許可は、AT&Tの場合のように、当初は、MTT業務(必要と認定される場合には、GTEがハワイに業務提供することを許可されている場合においてのみ(第39-40節参照)当該州の場合にその他の業務が加えられる。)の供給に限定されるであろう。GTEは、また当該業務に従事する別の補助会社を設立することを要求されるであろう。

3. その他のシステム申請者
31. 我々は、更に、国内衛星システムを許可された他の地上通信事業者が通信法第203条及び委員会の関係規則及び規定に基づき提出された料金表に従ってその業務を提供することを要求するであろう。地上通信事業者が他の通信事業者(事業者向け事業者)に業務及び施設を提供しようとする場合に、この卸売事業の提供は、―トランスポンダーの使用のみか又は地球局の使用を含む衛星システム業務についてかにかかわらず―、提供の各部門に関するすべての条件を定める料金基準に基づくものとする。更に、通信事業者が端末間業務を提供することを意図する場合には、小売の提供には適切な料金基準を適用する。卸売及び小売活動との間の原価と収益を最小限に混ぜ合わせるよう確保するために、我々は、通信事業者に対して各々に関連した原価及び収益を明瞭に識別するように帳簿を保持することを要求する。委員会による特殊な帳簿規則の規定は、この産業及びその運営の構造に関するより明瞭な実態を把握する場合に考慮される。我々は、これらの措置をトランスポンダー又は衛星システム施設を賃借する他の通信事業者が供給側の通信事業者の小売提供に適用可能な収益の要件のいずれかの部分を負担させられないよう確保するために、最小限、基本的であるとみなす。
32.

最後に、我々は、衛星の設備の提供者に対するいずれの許可も衛星通信の運用に従事する別個の事業体の存在又は設立の要件によって条件づけられなければならないとする職員の提案(職員勧告、第86節)を採用する。ヒューズ社に対する許可は、同社がそのCATVの顧客に自社の番組提供を得るための受信専用の地球局を所有することを選択するか又は自社のシステム施設によって提供された他のCATVの番組配給元を選択するかを可能にするというより一層の条件に基づいている。ヒューズ社はまた、他のCATV番組配給元が公平かつ非差別的な基礎に基づき、自社のシステムに関連する受信専用地球局を合理的に使用することができるようにするための計画(そのために必要な場合には、ヒューズ社の送受信地球局及び宇宙部分施設の使用によるものを含む。)を、当該許可に先立つ委員会による承認のために提出するよう要求されよう。

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