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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

III. 本件に関する決定

D. アラスカ、ハワイ及びプエルトリコ
35. 我々は、国内衛星施設を経由しての業務の出現が、アラスカ、ハワイ及びプエルトリコと大陸48州との間の業務、特に、この業務についての料金の国内料率方式への統合を伴うべきであるという職員勧告を完全に是認する。これまで、距離、価格及びトラヒック量の考慮はすべて一致して、国内よりむしろ国外の料率及び業務の基準を適用すべきであることを示していた。これらの物理的要因及び原価の考慮から生じる比較的高い料金水準は大陸諸州とこれらの地点との通信の自由な流れを阻害してしまい合衆国のすべての市民に不利益を与える。公益は、特に料金水準及び料率方式に関して、区別を削除することを必要としているというのが熟考の上での見解である。次に示されたように、その距離に無関係な特徴を有する国内衛星通信の出現は、この結論の確かな経済的基礎を提供する。
36. 国内通信に適用される衛星技術の主たる長所の一つは、料率作成にあたっての価格の要素としての距離を重視しないという特性である。距離は、本土とアラスカ、ハワイ、及びプエルトリコの間の通信用の国内衛星の利用可能性と共に、これらの業務に認められてきた歴史的に高い料率での扱いのための口実又は弁明としては劇的に縮まるはずである。我々は、現在、大陸諸州間での通信に比較してこれらの地点への通信における区別を最小限にすることを期待することができる。従って、合衆国全体の国内通信の要件に適う衛星システムの開始と共に、アラスカ、ハワイ、及びプエルトリコを本土に適用可能な通信業務についての既定料率体系に統合することが正当化されるであろう。
37. 従って、これらの地点に業務提供する通信事業者への国内衛星の許可を、許可から6カ月以内に、当該事業者が業務の開始の許可に先立ち委員会の再検討及び承認のために改定料率についての特別な提案を提出するという要件によって条件付けることが我々の政策である。この提案は、メッセージ電話業務(MTT)の場合には、主要な価格の要素としての総体的な距離を削除するために最大限の効果を与え、かつ、必要な場合には明示された時間的な段階毎に、当該アプローチが州際料率作成のための国家的規模での価格平均化及び均等化の見地から含むその他の種々のものと共に、合衆国のこれら三つの地点を現在大陸諸州について行われている統一マイルあたり料率方式に統合するように設定すべきである。我々は、このアプローチからの逸脱を認可し得る又は統合方式の段階的な実施を正当化することができる、例えば地球局の経費及びトラヒック・ローディングのような、特別の技術的又は経済的な要素があり得ることを認める。ただし、関係事業者が、大陸諸州に比較して関係地点にのみ関連する条件によるこの逸脱又は段階化の必要を十分に論証し、証拠により立証すること並びに最終的な履行の時期と共に十分な計画を提示することを期待するであろう。
38. 我々は、記録業務の場合に、異なる通信事業者が海外及び国内業務を提供するという点で問題はより複雑であると認める。我々は、この点で、この業務の方式を妨げることを企図しない。ただし、我々は、現在業務を提供する通信事業者が上記の提案に示された予定表の範囲内で、上記に示されたのと同一の枠内、即ち、いずれかの企図された逸脱又は段階化についての経済的及び技術的基礎の詳細な説明の範囲内で、テレックスの民間回線その他の特殊な業務の料金の国内方式への統合についての提案を提出することを要求する。記録通信事業者がこれを行うことを怠たった場合には、我々は、ここに宣言された政策が実施されることを確保するように大陸諸州とこれら三つの地点間の記録業務に関する我々の現在の政策を再検討する必要があるであろう。我々は、実施を可能とするために、これらの海外諸地点に業務提供することを許可された宇宙部分及び地球局の免許人が国内業務の供給のための関連国際記録通信事業者が当該施設の適切な使用を可能にすることを期待するであろう。
39. 我々は、更に、前記の政策決定に照らして、AT&Tが、適当な地方事業者(例えば、ハワイ電話会社、RCAアラスコム)と共同して、国内衛星を経由してこれらの三つの地点にMTT業務を提供すべきであると考える。GTEの国内衛星の提案が許可され、その施設の使用価格がハワイと大陸諸州の間で当該業務を提供するためのAT&Tの施設の使用価格以下またはほぼ同価格である場合に、我々は、GTEがハワイについては指定事業体であるという可能性を排除しない。ただし、国家的規模での価格平均化の構造及び統一マイルあたり料率方式により、これらの三つの地点を統合するために必要である以上の大規模な費用を負担すべきではなく、また実質的な当初のローディングを達成する能力がない申請者により企図された国内衛星システム施設の経費を吸収することを要求すべきではない。
40. 更に、我々のこの分野における最も重要な目標は、大陸諸州間での通信に比較してこれらの地点への料率及び業務において今まで存在していた区別を最小限にすることであるから、我々は、アラスカ、ハワイ、及びプエルトリコがこれらの地点へのMTT業務の提供のために使用される同一の地球局のアンテナ及び衛星を経由するその他の業務を得る機会を持つべきであると考える。従って、我々は、AT&Tが自社が所有する国内衛星システムを経由して又は卸売事業者を通じて業務を行うかどうかについては、関連免許人が、MTT業務のために使用されるものに加えて他の地球局のアンテナを必要としないようにこれらの地点に特殊業務を提供することを許可された他の事業者への賃貸用の適切なトランスポンダー及び地球局の容量を保有していることを要求するであろう。同一の要件は、国内衛星施設によってハワイにMTT業務を提供することが許可される場合には、GTEに係わってくる。我々は、これらの三つの地点をすべての業務について国内料率方式に統合するという我々の目標を達成するために必要であると認定される場合には、AT&T及び/又はGTEにMTT以外の業務をこれらのうち一以上の地点へ提供することを許可するであろう。我々は、アラスカ、ハワイ、及びプエルトリコの公衆がMTTのために使用される同一の衛星システム施設による特殊業務の獲得にあたって潜在的な経費節減の利益を得る機会を有する限り、他の免許人に許可された個別の国内衛星施設によるこれらの地点への特殊業務の提供を妨げない。
41. 最後に、我々は、前記の政策の実施が、アラスカにとっての利益に関する限り、改良された州際通信についての当該州の緊急の必要を満たさないであろうということを認める。この必要の調節は重要でありかつ衛星技術はこの目的に向けての特別な約束を与えるように思われるけれども、委員会又は継続中の事業者申請人にとっては、少なくとも衛星の第一世代においては、この問題を軽減するために多くを行うことができないことが多分明らかであろう。我々は、RCAアラスコム及びアラスカの地球局を企図する他の申請人に対して州際業務についての詳細な計画の提出を要求するであろう。委員会はまた、AT&T又はAT&Tに業務を提供するいずれかの卸売事業者に対して、希望する場合には、アラスカ内業務のためのトランスポンダーの容量の使用を可能にするよう要求する。我々は、更に、我々の職員に対して我々が審議し、申請人その他の国内衛星免許人に合理的に要求し得る、州内の必要性に適合するのを助ける補足的な措置に関してアラスカ州の代表と協議するよう指示するであろう。
42. 小型の安価な地球局を容易にするために、50州に業務を提供できる衛星を配置することができる軌道弧の有限で貴重な位置における4/6GHzでの6度の分割についてのアラスカ州の要求に関して、我々は、地球局の技術における進歩は短期間に30フィート(約9.144m)以下の直径の地球局のアンテナで3度の分割に必要な性能仕様書への適合を可能にすることができることに留意する。更に、我々は、1971年世界無線主管庁会議(WARC)によって特別に割り当てられた2GHzの周波数帯の教育テレビ及び州の遠隔地におけるデマンド・アサインメント方式(訳者注:通信の必要が生ずる度に回線を割り当てる方式)による電話業務への利用可能性に留意する。最後に、より幅広い間隔を置いた4/6GHzの衛星のための軌道上の位置は、この衛星位置の需要が少ない、50州を視界に入れることができる以上にそれらの西で利用可能である。従って、この時点でこの件を最終的に決定することは必要ない。ただし、我々は、後日、すべての状況を考慮して、アラスカにおいて小型の安価な地球局を公益のために使用することが必要であると認定する場合には、6度の分割を許可する可能性を除外しないことを強調する。軌道弧の位置の割当に関する職員勧告の第152節aは別段に採用される。
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