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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第1章 認識、目的及び原則の宣言

認定

第101条 議会は次のように認定し、宣言する。
(1) 宇宙からのランド・リモートセンシング・データの継続的な民事用の収集及び使用は、主として地球の天然資源を管理しその他の多くの経済的に重要な活動を立案し、行うことに役立つ。
(2) 合衆国は、合衆国政府の実験用ランドサット・システムによって、ランド・リモートセンシング技術における世界の指導国としての地位を確立した。
(3) 合衆国の国益は、民事リモートセンシングにおける国際的な指導力を保持すること及びリモートセンシング・データの有益な利用を幅広く促進することにある。
(4)合衆国政府又は合衆国の民間当事者によるランド・リモートセンシングは、合衆国の国際的な誓約及び政策並びに国家安全保障に係る事項に影響する。
(5) ランド・リモートセンシング・データの幅広いかつ最も有益な利用は、データの非差別的な入手の政策を維持することから生ずる。
(6) 競争的な、市場操作される民間部門をランド・リモートセンシングに含めることは合衆国の国益となる。
(7) ランド・リモートセンシング・データの利用は、緩慢な市場の発達及びデータの継続性の保証がないことよって妨げられている。
(8) 民間部門、及び、特に、付加価値産業は、ランド・リモートセンシング・データの市場を開発するのに最も適している。
(9) 高度の危険と大規模な資本経費が含まれるために、民間部門だけで、現在、ランド・リモートセンシング・システム全体を開発することができるということは疑わしい。
(10) 連邦政府と民間産業の間の協力は、データの継続性及び合衆国の指導力の両方を確保するのに役立ち得る。
(11) 完全な商業的方式への段階的な移行によって、この協力を開始するのは今が時宜を得ている。
(12) この協力は、一方でランド・リモートセンシング・データの連邦政府への継続的提供を確保するとともに、連邦政府による実行可能な最小限度での支援と規制及び民間部門による実行可能な最大限度での競争を含めるように組織するべきである。
(13) 民間部門の活動が国益に適合し、かつ、合衆国の国際的な誓約及び政策が遵守されることを確保するために、政府による一定の監督を維持しなければならない。
(14) 現在のところ、気象衛星を商業化する逼迫した理由はない。


目的

第102条 この法律の目的は、次のとおりである。
(1) ランド・リモートセンシングの段階的商業化のための枠組を与えること及び連邦政府への継続的データ供給を確保することによって、民間部門を適切に包含するように連邦政府に指示すること。
(2) 民事リモートセンシングにおける合衆国の世界的な指導的地位を維持し、国家の安全を維持し、かつ、その国際的な義務を履行すること。
(3) 民事ランド・リモートセンシングの商業化の達成にあたって、データの継続性を確保するのに必要な今後の連邦による投資の期間と額を最小限にすること。
(4) 合衆国の宇宙からのリモートセンシングについての能力及びこの能力の応用及び利用の双方を向上させるために包括的な民事用研究、開発及び実証計画の措置を講ずること。
(5) 現在のところ気象衛星の商業化を禁止すること。


政策

第103条
(a) 価値の付加されていないリモートセンシング・データを取得しかつ配布する権利を留保することが合衆国の政策である。
(b) 民事用の価値の付加されていないリモートセンシング・データは、非差別的な基礎に基づいてかつ関係反トラスト法に基づき、すべての潜在的利用者に提供することが合衆国の政策である。
(c) 国家の安全を維持し、国際的な義務を履行し、かつ、政府が基本的に公役務の性質を有するようなリモートセンシングの機能を保持し続ける一方で、民間部門の運用に適切に役立つリモートセンシング宇宙システムを商業化し、かつ、政府が当該商業活動との競争を避けることが合衆国の政策である。


定義

第104条 この法律の適用上、
(1) 「ランドサット・システム」とは、ランドサット1、2、3、4及び5号、及び関連地上設備、システム、及び施設、及び第3章に定める6年の期間の開始に先立ち、合衆国政府によって運用される後続の民事ランド・リモートセンシング宇宙システムをいう。
(2) 「長官」とは、商務長官をいう。
(3)
(A) 「非差別的基礎」とは、一の購入者又は一部門の購入者を他の購入者以上に優遇する、引渡し、フォーマット、融資、又は技術上の考慮に関する優先権、偏見その他の特別な取極(第607条の規定に基づく国家の安全保障に係る事項に基づくものを除く。)のないことをいう。
(B) データの販売は、次の場合にのみ非差別的な基礎に基づき行われる。
(i) データ販売又は引渡しの申出が、将来のすべての購入者に均等に行われることを確保するように事前に公表される場合。
(ii) システム運用者は、一の購入者又は一部門の購入者が事実上優先的にデータを入手できるように価格、方針、手続その他の条件を定め又は変更してはならない。
(iii) システム運用者は、独占的な基礎に基づき、いずれかの購入者に価値の付加されていないデータを提供してはならない。
(iv) システム運用者が従量割引を提供する場合に、この割引は、従量販売価格における立証可能な割引率以上であってはならない。非差別的な基礎に基づくデータの販売は、システム運用者が従量割引以外の割引を本項の規定に適合する限度まで提供することを妨げるものではない。
(C) 非差別的な基礎に基づくデータの販売は、次のことを必要としない。
(i) システム運用者が購入者の名前又はその購入を公表すること。
(ii) システム運用者が、すべての又はいずれかの特定の小さな一組のデータを作業目録の上で保持すること。
(iii) システム運用者が市場のすべての部分を開発するにあたって等しく努力すること。
(4) 「価値の付加されていないデータ」とは、未処理の又は最小限に処理された、民事リモートセンシング宇宙システムによって収集された信号又はフィルム製品をいう。この最小限の処理とは、歪みの偏位修正、地球の形状に関する位置合わせ及びスペクトル反応の校正を含む。この最小限の処理は、結論、操作、又はこれらの信号又はフィルム製品から派生した計算若しくはこれらの信号又はフィルム製品と他のデータ又は情報の組合せを含まない。
(5) 「システム運用者」とは、第2章及び第3章の規定に基づく契約者又は第5章の規定に基づく免許人をいう。

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