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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

1. 契約上の諸規定

 アパラチアン社によると、第14条が実施可能な場合でも、同規定はマクドネル・ダグラス社を賠償責任から保護するのみで、同社の下請契約会社までも保護しない。第14条第3項は、「購入者と購入者の他の契約者又は下請契約者との間の請求及びマクドネル・ダグラス社と同社の契約者又は下請契約者との間の請求を除いて」と規定しており、アパラチアン社は、自己が提起した訴訟はこの除外規定によって合法とされると主張した。裁判所はこの点について次のような判断を示した。「我々の意見は異なる。この条項は、〔ウエスターン・ユニオン社〕と同社の他の契約者及び下請契約者との間の請求を除外している。Morton Thiokol社及びHitco社の両社は、ウエスターン・ユニオン社の『他の』契約者又は下請契約者ではなかった。彼らは、マクドネル・ダグラス社の契約者又は下請契約者であった。そういう資格で、彼らは、第14条第3項の次のような表現により、特に保護を拡大される。(1)当事者間の賠償責任の放棄は、『各当事者の契約者又は下請契約者』に拡大される。及び(2)当事者の意思は、『これらの契約者又は下請け契約者を他の手段では当事者によって提訴されるに違いない製造物責任を含む請求から』保護することであった。」
 アパラチアン社によると、第14条はまた、NASAとウエスターン・ユニオン社との間の打上げ業務協定に含まれる賠償責任の相互放棄に照らして解釈されなければならない。第14条は、スペースシャトルの顧客は打上げ業務協定に含まれる当事者間の賠償責任の放棄をその主要な契約者又は下請契約者に適用するというNASAの条件に適合するために挿入されたのであり、当該放棄は、スペースシャトルの顧客にNASA又は他の顧客若しくは彼らの契約者又は下請契約者に対して、スペースシャトルの運用中に生じる滅失について訴訟を起こさないことに同意するよう要求するものである。打上げ業務協定の免訴条項は、賠償責任の当事者間の一般的な放棄から「顧客とその契約者又は下請け契約者との間の請求」を除外している。従って、アパラチアン社は打上げ業務協定の賠償責任の当事者間の放棄がスペースシャトルの顧客と顧客自身の契約者又は下請契約者の間の訴訟を妨げることを意図していないと主張した。この点についての裁判所の見解は次のとおりである。「この論議に伴う問題は、打上げ業務協定とマクドネル・ダグラス/ウエスターン・ユニオン社間の契約の表現法が類似しているにもかかわらず、同じではないということである。この二つの文書の表現においては重要な差異がある。マクドネル・ダグラス/ウエスターン・ユニオン社間の契約は、ウエスターン・ユニオン社と同社の『他の』契約者の間の請求及びマクドネル・ダグラス社と同社の契約者又は下請契約者の間の請求のみを除いて、当事者によるお互いの各々の契約者及び下請契約者に対する訴訟を禁じている。反対に、打上げ業務協定、つまりウエスターン・ユニオン社とNASAとの間の協定は、NASAとスペースシャトルの顧客の間の(及び彼らの契約者又は下請契約者との間の)請求並びにスペースシャトルの顧客の間の(及び彼らの契約者及び下請契約者との間の)請求を禁じているが、特別に顧客と顧客自身の契約者又は下請契約者の間の請求並びに合衆国政府とその契約者及び下請契約者との間の請求を除外している。……マクドネル・ダグラス/ウエスターン・ユニオン社間の契約の用語は明瞭であり、ウエスターン・ユニオン社によるマクドネル・ダグラス社の各契約者及び下請契約者、つまり、Morton Thiokol社及びHitco社に対する訴訟を明瞭に禁じている。打上げ業務協定が異なる意思を反映しているという事実は、マクドネル・ダグラス社/ウエスターン・ユニオン社間の契約を曖昧なものとしない。」

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