4. 厳格責任
アパラチアン社は、第7及び第14条が厳格責任についての請求を禁止しようとする限度において実施不可能であると主張した。なぜなら厳格責任は、契約によって破棄できないからである。この点について、裁判所は次の見解を示した。「我々は、厳格な不法行為責任が契約によって放棄できないことを支持する判例があるということについてアパラチアン社に同意するが、本件において放棄が実施不可能であるというアパラチアン社の結論には同意しない。……厳格責任の理論に基づき、『製造者は、欠陥の検査なしに製品が使用されることを知りながら市場に出した製品が損害を生じさせる欠陥を有すると判明した場合には、不法行為における厳格責任を有する。』(Greenman v.Yuba Power Products,Inc.(1963)59 Cal.2d 57,62.)、商業取引の必要を満たすために発達し、当事者間の相互関係を示すことを必要とする販売の保証の理論が消費者を保護するために不適当であったために、厳格責任の理論が採用された。(Kaiser Steel Corp.v.Westinghouse Elec.Corp.(1976)55 Cal.App.3d 737,746)『不法行為における製造者及び供給者の厳格責任の理論は、まず第一に個人消費者、利用者、そして、ある程度まで』、商業団体を保護するよりもむしろ『欠陥製品から自分自身を保護することができない局外者を保護するために発達させられた。』(U.S.Financial v.Sullivian (1974)37 Cal.App.3d 5,18、強調は付加した。)厳格責任の理論の基礎的な目的(契約の理論が不適当な場合に、欠陥品によって損害を被った消費者に対する損害の救済方法を提供すること。)に従って、厳格責任は、消費者の文脈において契約によって放棄され得ないと主張された。最高裁判所がSeely v.White Motor Co.((1965)63 Cal.App.2 d9,17.)事件において説明したように、『〔厳格〕責任は、不法行為における厳格責任の一つの目的が、製造者が自己の生産物によって引き起こされた損害に対する責任の範囲を定めるのを妨げることにあるから放棄する〔ことはできない〕』。[Vandermark v.Ford Motor Co.(((1964))61 Cal.2d 256.)事件の、『契約によって同社が負う義務とは係わりなく、同社は、自動車販売業に従事し、同社の販売する一台が欠陥品であることが判明しかつ人に損害を与えたのであるので、不法行為における厳格責任に服するのである。』をもまた参照]……反対に、欠陥品に対する訴訟が商業上の環境の中で生じ、事業上での損失のみを含む場合には、裁判所は、厳格責任の理論が利用できないと主張した。当事者は、通常の商業上の救済方法(例えば、カリフォルニア統一商法典又は当事者の契約)に限定されるのである。諸事例は、厳格責任の理論は、商業団体が消費者のような『弱い立場』にないので(Sumitomo Bank v.Taurus Developpers, Inc.(1986)185 Cal.App.3 d 221, 227 ; U.S.Financial v.Sullivian,supra, 37 Cal.App.3d 5,18-19)、商業取引に適用すべきではないと論じている。商業団体は在庫があって提供できるものではなく仕様書を協定できる製品を安く入手しようとすることができる。(Kaiser Steel Corp.v.Westinghouse Elec.Corp.,Supra,55 Cal.App.3d 737,743参照) 『なぜなら厳格責任の理論の適用は、カリフォルニア統一商法典が明示又は黙示の保証に基づく欠陥についての賠償責任を含む原告による被告からの〔製品〕の購入の様々な面を取り締まる場合に、カリフォルニア統一商法典において立法者により採択された法規則を不当に侵害するからである。』(Sacramento Regional Transit Dist.V.Grumman Fleiver (1984)158 Cal.App.3d 289,294-295) 欠陥商品についての厳格責任は、商業団体とビジネス上の損失が関係する場合には、保証の放棄を認めているカリフォルニア統一商法典(Cal.U.Com.Code,§2316)及び当事者間の協定によって規律されるので、欠陥についての賠償責任は放棄することができる。厳格責任に関する不法行為の理論は適用されず、従って、放棄を禁止しないのである。上訴裁判所はまさに、ウエスターン・ユニオン社/マクドネル・ダグラス社間の契約が有効であると判決する。」
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