(1) |
合衆国は、科学、対外政策、経済、又は国家安全保障上の国益を達成するような国際協力による宇宙関連活動に従事し及び実施する。宇宙活動に関連する国際協力は、関係法令に従い、通常の省庁間の調整手続に従うものとする。国際的な民事宇宙活動における合衆国の協力は、次のことを行う。
(a) |
衡平な経費の分担を促進し、外国の科学・技術データ及び専門知識並びに外国の研究・開発施設へのアクセスの増大により合衆国に利益をもたらすこと。 |
(b) |
旧ソビエト連邦のその他の国及び新興宇宙活動国との計画を支援しつつ、合衆国の同盟国及びロシアとの関係を向上させること。 |
(c) |
合衆国の技術移転及び核不拡散の目標を支援すること。 |
(d) |
合衆国の商業宇宙活動のために新しい機会を作り出すこと。 |
(e) |
連邦の支援により開発される知的所有物の商業的価値を保護し、かつ、協力から生ずる技術移転が合衆国の競争力及び国家の安全保障を阻害しないことを確保すること。 |
(f) |
これらの目標を支援するにあたって、
(i) |
NASA及び国務省は、合衆国、欧州、日本、及びカナダとの計画にロシアを含めるために国際宇宙基地に係る協力の既存の法律上の枠組みの変更を協議する。 |
(ii) |
NASAは、合衆国政府機関と調整の上、外国の宇宙機関及び国際機関と共に民事用研究宇宙機の通信及び管制施設の共同利用の可能性のための国際標準を採択することができるかどうか調査する。 |
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(2) |
宇宙輸送
(a) |
合衆国の宇宙輸送能力を通じて信頼性を有するかつ適切な価格で宇宙空間へのアクセスを確保することは、国家の宇宙政策の目標を達成するために基本的である。従って、合衆国政府は以下のことを行う。
(i) |
将来的な能力の改良に係る開発への投資の必要性と既存の宇宙輸送能力を現代化する作業との間の均衡を図ること。 |
(ii) |
人及び搭載物の宇宙輸送の国家的な必要に適合するための強固な輸送能力及び技術的な基盤を維持すること。 |
(iii) |
自己の信頼性、運用可能性、即応性、及び安全性を改良しつつ、既存の宇宙輸送システムの経費削減を促進すること。 |
(iv) |
宇宙空間へのアクセスの経費を大幅に削減する次世代の再利用可能な宇宙輸送システムの開発に関する将来の決定を支援するための技術の開発及び実証を促進すること。 |
(v) |
ミッション要求に適合する、商業的に提供される合衆国の製品及び業務の費用効果的な使用を実行可能な最大限度で促進すること。 |
(vi) |
商業的な必要を積極的に考慮し、かつ、これらを打上げ施設及び打上げ機の改良に関する決定の要因としながら、合衆国の商業宇宙輸送産業の国際的な競争性を強化すること。 |
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(b) |
運輸省(DOT)は、49 U.S.C.§701(訳者注:商業宇宙打上げ法)他、及び大統領令12465号(訳者注:商業上の使い捨て型打上げ機の活動を規律する。)に定めるように、商業宇宙輸送活動に関する規制指針について連邦政府内における先導的な機関である。合衆国政府は、合衆国の民間部門及び州並びに地方政府の宇宙打上げ及び回収活動を奨励し、かつ、今後も容易にする。 |
(c) |
合衆国の省庁により行われる宇宙輸送に関連するすべての活動は大統領決定指令・国家科学技術会議第4号(PDD/NSTC-4)(訳者注:国家宇宙輸送政策を表明する。)に従うものとする。 |
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(3) |
宇宙からの地球観測
(a) |
合衆国は、公衆衛生、安全性及び国家安全保障の保護にとり有用な情報を提供するための宇宙からの地球観測の能力を引き続き必要とする。この能力は、経済的な成長に資するのであり、かつ、教育的、科学的及び技術的な進歩を刺激する。合衆国政府は以下のことを行う。
(i) |
衛星、機器、データ管理及び配給活動を含む、宇宙からの地球観測のシステムを継続して開発し及び運用すること。 |
(ii) |
地球観測の質を改善し及び経費を削減するための先端的な宇宙からの地球観測技術の研究及び開発を継続すること。 |
(iii) |
以下の方策により、合衆国の商業的な地球観測能力の開発を支援すること。
― |
産業界とのパートナーシップを含む技術開発計画に従事すること。 |
― |
既存の政策に適合する民間地球観測システム及び技術の運用及び、適当な場合には、輸出に関する免許状交付。 |
― |
付加価値データの質の向上に係わる産業の成長を促すために合衆国政府の民事上のデータを営利企業に非差別的な基礎に立って提供すること。 |
― |
この政策を実施するにあたって、適切な場合には、関連民間部門の能力、データ及び情報製品を活用すること。 |
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(iv) |
長期的な環境データ・セットを生産し及び保存する。 |
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(b) |
合衆国政府は、地球環境データを収集するための地球観測システムを継続して使用し、行政管理予算局(OMB)回報A-130号、関係法令及びこの指令に含まれる指針に従い、合衆国政府のすべての民事上の環境データ及びデータ製品を提供すること。 |
(c) |
合衆国政府は、以下のために、合衆国の営利的な及びその他の国の又は国際的な地球観測システムの開発者又は運用者との相互に利益となる協力を求めるものとする。
(i) |
民事上の応用のための統合地球観測戦略を定めること。 |
(ii) |
他の国の又は国際的なシステムとの調整の上、可能な限り広範囲の環境測定データのセットの効率的な収集及び配給を確保するための合衆国政府の民事地球観測システムを開発すること。 |
(iii) |
合衆国以外の出所からの地球観測データを取得すること、及び行政管理局回報A-130号、国家安全保障上の要件、及び国家宇宙政策に含まれる商業部門の指針に従い、当該データを利用者に提供するよう努めること。 |
(iv) |
適切な場合には、連邦の民事システムのデータの公開の、非差別的な直接的読出しを支援すること。 |
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(d) |
合衆国政府の宇宙部門は、費用効果的でかつ合衆国の宇宙に関する目標に適合する場合に、開発、計測、情報処理及び資料保管における重複を削減するために地球観測活動を調整し、実行可能な場合には、統合するよう努める。
(i) |
大統領決定指令・国家科学技術会議第2号(PDD/NSTC-2)(訳者注:米国の極軌道環境衛星システムの行政上の収集システムに関係する。)に従い、商務省国家海洋大気庁(DOC/NOAA)、国防省及びNASAは、民事上及び国家安全保障上の要件を満たすために単一の、収束する国家極軌道環境衛星システム(NPOESS)を確立する。 |
(ii) |
NASA、商務省海洋大気庁(DOC/NOAA)、国防省(DOD)、諜報機関、及びエネルギー省(DOE)は、合衆国観測衛星システムのための先端技術の確認、開発、実証、及び移行を行うように協力して作業する。 |
(iii) |
大統領決定指令・国家科学技術会議第3号(PDD/NSTC-3)(訳者注:ランドサット・リモートセンシング戦略を策定する。)に従い、NASA、商務省海洋大気庁(DOC/NOAA)、及び内務省米国地質調査所(DOI/USGS)は、宇宙から地球の地表面を計測し、かつ、ランドサットタイプのデータ・セットの継続性を確保するために進行中の計画を発展させ及び運用する。 |
(iv) |
国家安全保障に従い、合衆国政府の宇宙部門は、地球環境変動の研究及び民事的な環境監視に貢献し得る、国家安全保障に係る製品及び役務を引き続き確認し、かつ技術、製品及び役務をこれらの使用のために民事機関に提供するように努めるものとする。国家安全保障計画において取得された非機密データ、及び、適当な場合には、機密データをも確立される仕組みを通じて提供する。 |
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(4) |
核拡散防止、輸出管理、及び技術移転
(a) |
ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)の指針は、国家宇宙計画が大量破壊兵器用の輸送システムに寄与し得るものでない限り、同計画又は同計画における国際的な協力を妨げるように企図されていない。合衆国は、核拡散に係わるミサイル計画に引き続き反対し、ミサイル関連の協力を特に阻止する。合衆国は、合衆国の核拡散防止政策に従い、完全な宇宙打上げ機その他のミサイル関連技術輸出規制の第1のカテゴリーに該当するコンポーネントの輸出に対する否認についての強い推定を引き続き維持する。 |
(b) |
合衆国は、ミサイル関連技術輸出規制の非加盟国における宇宙打上げ機システムの開発及び入手を支援しないという自国の一般的な政策を保持する。 |
(c) |
合衆国は、ミサイル関連技術輸出規制の加盟国に対して、核拡散防止及び経済的な観点から疑問を生じさせるような新しい宇宙打上げ機計画を奨励しない。ただし、合衆国は、ミサイル関連技術輸出規制の規制品の同規制加盟国への輸出を検討する。適当な場合には、追加の安全対策もまた当該輸出について検討し得る。輸出は、中距離核兵器全廃条約(INF)及び戦略核兵器削減条約の非移転条項に引き続き従う。 |
(d) |
合衆国は、許可されていない仕向け先への先端宇宙技術の流出を阻止するよう努める。行政機関は、自己の計画の実施における不利益な移転の防止について完全に責任を有する。 |
(e) |
行政機関は、宇宙関連技術開発及び移転に関する協定を他の国と締結するにあたって、当該国が、商業宇宙活動において、自由かつ公平な貿易を実践しかつ奨励しているかどうかを検討する。 |
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(5) |
軍備管理
合衆国は、軍備管理及び宇宙空間における活動を律する関連措置に関する政策的な立場を検討し、かつ、適当な場合には、策定し、当該措置に関する協定が衡平かつ効果的に検証可能で、合衆国及びその同盟国の安全保障を向上させる場合にのみ、当該協定を締結する。軍備管理軍縮局(ACDA)は、軍備管理の問題についての連邦政府内の主たる機関である。軍備管理軍縮局は、国防省、中央情報局、国務省、エネルギー省、その他の関係連邦機関と協力の上、宇宙活動に関連する軍備管理の問題及び機会を確認し、国家の安全保障上の目標を支援する措置の概念を検討する。
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(6) |
宇宙原子力電力
エネルギー省は、宇宙原子力電力システムの使用を必要とし得る宇宙ミッションを支援するために必要な能力を保持する。合衆国政府機関の宇宙原子力電力に関係する国際的な協力についての提案は、通常の省庁間の審査手続に従う。宇宙核動力炉は大統領又はその代理任命者による承認なしに地球軌道上で使用してはならない。この承認の要求は、公共の安全、経済的な考慮、国際条約上の義務、及び合衆国の国家安全保障上並びに外交政策上の利益を考慮する。科学・技術政策室は、国家宇宙会議(NSC)のスタッフと調整して、宇宙原子力システムの可能な商業的な利用に取り組むための措置を含む、既存の承認課程を検討する。 |
(7) |
宇宙残骸(スペース・デブリ)
(a) |
合衆国は、宇宙残骸の生成を最小限に抑さえるよう努める。NASA、諜報機関、及び国防省は、民間部門と協力して、宇宙機、打上げ機、及び役務の将来の政府調達のための設計指針を作成する。宇宙での試験、実験及びシステムの設計及び運用は、ミッション要求及び費用効果性に基づき、宇宙残骸の蓄積を最小限にとどめ、又は低減する。 |
(b) |
宇宙残骸を最小限にするという慣行が他の宇宙活動国及び国際組織により適用されるよう確保することが合衆国の利益となる。合衆国政府は、宇宙残骸を最小限にすることを目指した政策及び慣行を採択するために国際的な場で指導的役割を果たし、宇宙残骸の研究に関する情報の交換及び宇宙残骸の緩和策の選択肢の確認において国際的に協力する。 |
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(8) |
政府の価格設定
合衆国政府の施設、装備、及び役務の利用について課される経費は、以下の原則に基づく。
(a) |
民間部門、州及び地方政府の宇宙活動において合衆国の施設、装備及び役務を使用する場合に課される経費は、連邦の指針、関係法令及び本政策に含まれる商業上の指針に適合する経費に基づく。合衆国政府は、合衆国政府の必要に適合するために必要なかつ合衆国政府が所有権を保持する既存の施設又は新しい施設に関連する設計及び開発費又は投資を回収することを求めない。 |
(b) |
ミッション要求に従い、NASA及び国防省は、施設、装備及び役務についての一貫した価格設定の慣行を用いるよう努める。 |
(c) |
合衆国政府の計画の終了時に手持ちの工具、装備、及び残余のハードウエアは、合衆国の商業宇宙部門の継続的な発展を排除し又は阻止しないと同時に、合衆国に最善の全体的な利益をもたらすような基礎に立って価格設定され及び処分される。 |
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