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輸送系
1.M系ロケット
国際的に評価の高い我が国の宇宙科学を安定的にかつ高度に推進していくために、M-Vロケットの開発及び高度化を進め、宇宙科学の分野の中型科学衛星・探査機計画にこれを使用していく。
2.H系ロケット
H-IIロケットについて、さらに信頼性の向上と高度化開発を進めつつ、打上げ需要に対応してこれを使用していく。
この成果を的確に反映し、宇宙ステーションヘの補給等、21世紀に向けて多様な需要に応えられる輪送手段として、低軌道に20トン(静止軌道に4トン)までの打上げ能力を持ち、大幅なコストの低減が可能なH-IIAロケットの開発を行い、これを使用していく。
3.小型ロケット
コストの低減を図りつつJ-1ロケット等の開発を進め、小型衛星等の打上げにこれを使用していく。
4.宇宙往還技術試験機(HOPE-X)
従来のロケット技術による輸送コストと比べ、大幅なコスト低減が可能な再使用型輸送系の技術基盤育成の一環として、HOPE-Xの開発を進め、飛行実験を実施する。これにより、無人有翼往還機の主要技術の確立を図るとともに、将来の再使用型輸送機の研究に必要な技術蓄積を図る。
5.宇宙ステーション補給システム(HTV)
宇宙ステーションヘの物資の補給需要の一部を我が国が担うことを目的として、ランデブ・ドッキング機能を有する宇宙ステーション補給システム(HTV)の開発・運用を進める。
6.将来輪送系
将来の輪送需要に対応して、宇宙環境保全にも配慮しつつ、輸送コストを大幅に低減するためには、革新的な設計思想を採用した再使用型の輪送系の実現が不可欠である。このため、H-IIAロケット、HOPE-X等の成果を踏まえ、無人有翼往還機を含む再使用型輪送機の実現を目指す研究を進め、国際動向、需要動向を踏まえて、必要に応じ開発に着手する。また、将来において期待される水平離着陸能力等を有する完全再使用型宇宙航空機(スペースプレーン)に関する研究を関係機関が連携して進める。
さらに、将来の有人宇宙活動の展開に備えて、有人宇宙往還機に関する研究を進める。また、月探査活動の展開等に備えて、異なる軌道間の物資輸送を行う軌道間輸送機に関する研究を進める。
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拠点系
1.無人システム
宇宙環境利用の分野の実験を効率的に行うため、国際共同開発の可能性を十分に念頭に置きつつ、軌道上で実験機器の交換等が出来る無人の低中高度プラットフォーム型衛星等の開発を進める。また、将来、プラットフォーム型衛星等の開発・運用を行う場合には、各種の軌道上サービスを提供する軌道上作業機が必要となることから、プラットフォーム型衛星に関する技術開発の進捗状況等との整合性に留意しつつ、軌道上作業機に関する研究を進める。
2.有人システム
JEMの開発・運用を行うとともに、この経験と実績を踏まえ、将来の有人システムの高度化、省力化等に向けた研究を進める。
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支援系
1.射場等の整備
宇宙活動の高度化と拡大に応じて、H-IIAロケットの射場整備を行うとともに、HOPE-Xの開発に対応してその着陸場を確保する。また、21世紀の宇宙開発の発展、人工衛星打上げ需要の拡大によって、これらの射場等の整備・運用について新たな方策が必要となる可能性があり、安全確保、国際協力等の幅広い見地に立って所要の検討を行う。
2.データ中継・追跡管制システム
低中軌道上の人工衛星等で取得した大容量の観測データ、実験データを地上に伝送し、これらの人工衛星を常時追跡管制するためのデータ中継技術衛星(DRTS)システムの開発を進める。また、将来の追跡管制システムの構成要素と考えられる衛星間光通信技術について、その要素技術の軌道上実験を行う。
さらに、追跡管制システムの一層の高度化を目指し、その自動化・自律化のための開発を着実に進める。
3.スペース・デブリの観測等
21世紀に本格化していく有人宇宙活動の支援、無人活動の量的拡大と質的高度化を円滑に実現するため、増加傾向にあるスペース・デブリの観測システムや、宇宙放射線量等を予測する宇宙天気予報システム等の研究を進める。また、宇宙情報通信基盤を整備するための大容量情報伝送システム等の開発を進める。
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