(1) |
宇宙開発委員会における重要政策の企画立案機能及び関係行政機関の行う関連施策の調整機能の充実強化を図るとともに、宇宙開発活動の内容及び進捗状況に対する評価活動の強化を図る。
また、関係行政機関における必要な行政事務の遂行機能の充実強化を図る。 |
(2) |
人工衛星(宇宙ステーションを含む。)の「研究」は、利用機関及び利用機関の要請や利用の実態を踏まえて宇宙開発事業団が行う。「開発」段階に達したときには、宇宙開発事業団において行う。ただし、観測センサ等のミッション機器及びこれを搭載する衛星バスのうちミッション機器に関連する要素機器の「開発」(インテグレーションを含む。)については、利用機関の要望を踏まえて、その技術的能力が妥当であると判断される場合には、利用機関においても「開発」を行う。宇宙開発事業団は、関係機関の要請に十分に応えるよう技術能力を一層高めるとともに、開放された試験研究体制を含め、所要の体制の充実強化を図る。また、上記の「開発」を行う機関は、我が国の人工衛星の製造に係わる産業が健全に発展することが重要であることに配慮し、「開発」期間の短縮、コストの低減、プロジェクト管理手法の簡素化等を図るとともに、「開発」により得られた成果の普及に努める。
なお、宇宙科学の分野の人工衛星の「開発」については、宇宙科学の研究に密接に関連して行われることに鑑み、原則として宇宙科学研究所において行うこととし、最先端の科学目的を達成すべく開発体制の充実強化を図る。 |
(3) |
人工衛星打上げ用ロケットの「開発」は、宇宙開発事業団において行うこととし、関係機関の要請に十分応えられるよう宇宙開発事業団の技術能力を一層高めるとともに、その機能の充実強化を図る。
なお、宇宙科学研究所において「開発」が進められているM系ロケットについては、同研究所鹿児島宇宙空間観測所の射場における打上げ可能範囲及び全段固体ロケット技術の最適な維持発展等の観点を考慮しつつ、M-Vロケットの「開発」を同研究所において引き続き行う。
また、宇宙開発事業団の「開発」に係る各種ロケットは、我が国が保有する貴重な宇宙輸送手段として、宇宙科学の分野のミッションにも活用していくことが適当であることから、M-Vロケットの規模を越える宇宙科学の分野の人工衛星の打上げについては、国際協力によるものを除き、宇宙開発事業団の「開発」に係るロケットにより対応していく。 |
(4) |
地球観測・地球科学については、宇宙開発事業団と利用機関が、共同研究等により共同して、或いは自ら利用分野の拡大や利用の高度化を進める。また、宇宙環境利用については、大学、国立試験研究機関及び民間等が幅広く研究を進めるとともに、宇宙開発事業団がこれらの関連機関と共同して、或いは自ら研究を進める。さらに、JEMの効率的利用や利用拡大に資するため、宇宙開発事業団は、研究者のニーズに応えるべく支援体制を充実する。 |
(5) |
人工衛星等の軌道決定のための追跡は、宇宙開発事業団が行う。この場合、打上げ時の追跡管制及び深宇宙探査機の追跡等、各利用機関が設ける特殊な追跡との密接な連携を保つ必要があるので、これらの追跡について宇宙開発事業団を中心とした密接な連絡通信体制を整備する。
また、運用段階の人工衛星の管制については、人工衛星を用いて事業を行うものが管制を行うことが適当な場合は自ら行い、当該事業者が適当な手段を有していない場合は、宇宙開発事業団の追跡管制部門を活用して効率的に行う。 |
(6) |
宇宙開発に関係のある国立試験研究機関等は、それぞれの所掌に応じて、人工衛星、ロケット等の「研究」、並びに利用技術等の研究及び開発を進め、宇宙開発事業団の行う「開発」に積極的に協力するとともに、これらに必要な施設の整備を行う。また、これら国立試験研究機関等における特別研究等の強化に努める。 |
(7) |
大学(宇宙科学研究所を含む。)においては、人工衛星、ロケット等に関し、幅広く研究が行われることを期待するとともに、宇宙開発事業団の行う開発に協力することを期待する。 |
(8) |
なお、宇宙開発を行うに当たり、民間の果たす役割が今後ますます大きくなってくることに鑑み、民間における研究開発活動の充実強化を図るとともに、研究者及び技術者を充実して、自己の技術基盤の確立と向上を図り、国のプロジェクトに対して積極的に参加することを期待する。
特に、今後の商業べースによるロケットの打上げ、人工衛星の開発・製作、宇宙環境利用等に対応し、メーカー及びユーザーにおいて、その技術能力の向上に積極的に取り組むことを期待する。 |