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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第3章 宇宙活動の経済的条件

第12条 宇宙活動への出資及び外国の投資


1. 科学的かつ国家経済的目的での宇宙活動への出資は、ロシアの連邦宇宙計画に従って、ロシア連邦の共和国予算により実施され、かつ、別個の項目としてロシア連邦の共和国予算に計上される。
ロシア連邦の国家安全保障の目的での宇宙活動は国防経費の一部としてロシア連邦の共和国予算により出資される。
2. 宇宙活動は、宇宙技術を開発し及び使用する作業の顧客たる国家機関を通じて、目的優先の方法でロシア連邦の共和国予算により出資され、国家による契約に基づき契約者間で配分される。
顧客たる国家機関及び契約者は自己資金を含む出資に関して予算外の財源を援用する権利を有する。ただし、これが宇宙プロジェクトの目的に反する場合はこの限りではない。
3. 宇宙プロジェクトの履行に含まれる組織及び市民は、定められた手続に従い、国家の保証、長期低利子の貸付、免税その他の必要な特権を与えられる。
4. ロシアの連邦宇宙計画の枠内に該当する宇宙活動への外国の投資はロシア連邦の予算並びにロシア連邦の資産その他の財産により保障される。
ロシア連邦の組織及び市民による宇宙活動への外国の投資は彼らの資産又は彼らの知的財産その他の財産により保証される。


第13条 ロシア宇宙基金

1. ロシア宇宙基金は宇宙科学及び産業を支援し及び促進するために設立されるものとする。
2. ロシア宇宙基金の資産は次のものにより提供される。
ロシアの連邦宇宙計画の出資の一部として、目的を優先した、ロシア連邦の共和国予算からの配当。
宇宙技術を開発し及び使用する作業の顧客たる国家機関により創出された予算外基金。
宇宙活動に関連して与えられた免税と引き換えに組織及び市民が受領した利益の一部。
ロシア宇宙基金により出資される宇宙プロジェクトの実現から生ずる利益。
強制的又は任意の保険の形態で宇宙活動に関係する組織及び市民により行われた保険料の払込み。
ロシア及び外国の組織及び市民の任意の出資。
ロシア宇宙基金の資金の積立と支出の規模はロシア宇宙基金に関する法令により定められる。
3. ロシア宇宙基金の資金は、ロシア宇宙庁及び宇宙技術を開発し及び使用する作業の顧客たるその他の者との調整の上で、ロシアの連邦宇宙計画の出資、技術革新と軍事への転換を含む宇宙プロジェクト支援、並びに宇宙活動の成果、特に、科学、教育及び文化を促進するための宇宙活動の成果を利用するためのプロジェクトに充当される。
ロシア宇宙基金の資金の配分にあたっては、地上で開始される研究プロジェクト及び高い経済的、社会的その他の効果を有するプロジェクトに優先権が与えられる。
ロシア宇宙基金の資金はまた、宇宙活動に関連する危険を保証し、かつ、この活動から生ずる可能性のある事故の事後の影響を除去するために使用される。
4. ロシア宇宙基金は、ロシア連邦最高会議との調整の上で、閣僚会議―ロシア連邦政府により承認される法令に従い運用される。


第14条 宇宙技術の開発

1. 宇宙技術の開発についての国家による購入予定は、ロシアの連邦宇宙計画、長期計画及び軍事宇宙技術を開発し及び使用する作業の年次計画に基づいて作成され及び発注される。
2. 国家による購入予定に基づく作業は、その顧客たる国家機関と契約者の間の国家契約の締結の基礎をなす、顧客たる国家機関により承認された技術上の作業割当に従い実施されるものとする。
当該契約者は、国家による購入予定に基づき、自己の共同契約者(契約者は、この契約者に対して、顧客たる国家機関として行動する。)による技術上の作業割当の要件の履行につき責任を有する。
当該契約者は、国家による購入予定に基づき、契約に基づく宇宙技術の開発及び使用のすべての段階で、発明者としての監督権を行使しなければならない。
3. 宇宙技術に対する所有権は、請負書の署名の時点から利用者に移転される。ただし、関連協定により別段に定められる場合にはこの限りではない。
宇宙技術の開発に関係する組織及び市民の当該技術を更に利用する権利は当該組織及び市民により作業の顧客と締結される協定に定められる。
4. 混合企業は国家の注文に基づく契約者として行動することを認められる。ただし、その法令に基づく資金における外国資本の比率が49%を越えないことを条件とする。
国家の注文に基づく契約者は、共同契約者として外国の組織及び市民を含めることが認められ、かつこれらの者が自己の義務を履行することにつき責任を有するものとする。


第15条 宇宙技術の使用及び移転

1. 宇宙技術は、その活用実施を未定にしたまま、その目的に応じて使用することが認められる。
試験のための宇宙技術の使用に係る発注及び活用実施の発注はロシア連邦の法律により定められる。
2. 宇宙技術の使用はこの技術の所有者又は当該所有者との合意により組織及び市民により実施される。
3. 宇宙技術の構成部分は複数の組織及び市民に帰属することがある。ただし、このことがこの宇宙技術の機能運用制度を混乱させない場合に限る。
その構成部分が複数の組織及び市民に属する宇宙技術の使用の手続は、当該組織及び市民の間での契約により規律される。
4. 連邦の所有権に属する宇宙技術を活用する組織は、契約に基づき、関係組織及び市民によるこの技術の使用の機会を提供するものとする。
連邦の所有権に属する宇宙技術の使用の協定を締結するにあたって、ロシアの連邦宇宙計画に基づくプロジェクト、及びまた、この使用のより有益な条件を提示するロシア連邦の組織及び市民に優先権が与えられるものとする。
5. 運用から取得する宇宙技術はその主たる活動の方針が教育及び文化の目的での宇宙活動の成果の使用に向けられている組織に移転することができる。この技術もまた契約に基づき組織及び市民に移転することができる。


第16条 宇宙工学技術及び宇宙活動の成果の使用

1. 宇宙技術の使用及び移転はロシア連邦の法律により保護される知的所有権に関して実施される。
2. 国家の発注に基づく作業を含む宇宙技術を開発する作業の履行は、契約者が工業技術を顧客に移転するよう義務づけるものではない。ただし、契約者及び顧客の間の協定により別段に定められる場合を除く。
3. 宇宙技術を開発し及び使用する作業を履行する際に開発された工業技術で、ロシア連邦の法律により法律上の保護が定められていないものの使用の手続及び条件は、関係組織及び市民の間の合意に基づき定められる。
4. 宇宙空間で開発される物理的な製品に対する所有権は、これらの製品の開発に使用される宇宙技術の構成要素に対する所有権を有する組織及び市民に帰属するものとする。ただし、関連協定により別段に定める場合にはこの限りではない。
宇宙技術の成果として開発される情報としての製品に対する所有権は、これらの情報としての製品を開発した組織及び市民に帰属するものとする。ただし、関連協定により別段に定める場合はこの限りではない。
特に輸送その他の業務供給により宇宙活動に参加するその他の組織及び市民は関連協定により規定される。

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