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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第8条 プロジェクト情報の開示及び使用

1.概略

 すべての参加者は、共同研究の成功がプロジェクトを実施するために必要な情報の完全かつ迅速な交換に依存していることを確認する。参加者は、十分なプロジェクト情報及びこの情報をSARデータの応用アルゴリズムの開発と検証を可能にするために使用する権利の取得を意図する。取得されるべきプロジェクト情報の性質と量は、第2条(目的)に掲げる目的に合致しなければならない。


2.政府のプロジェクト前景情報

a. 開示:全部又は一部を政府が所有する施設によって作成されたプロジェクト前景情報は、すべての参加者に提供される。
b. 使用:各参加者は、自己の政府の目的のために、無料で政府のすべての前景情報を使用することができる。ただし参加者が、政府の前景情報を第三者に対して販売するか又は移転するために使用しようとする場合、このMOUの第12条(第三者への販売及び移転)の規定が適用される。


3.政府のプロジェクト背景情報

a. 開示:各参加者は、自らが所有するが、プロジェクトの実施にあたって作成したものではない関連プロジェクト情報を、要請に応じて、次の条件でプロジェクトに対して開示する。
(1) プロジェクト背景情報がプロジェクトにとり必要又は有用であること。情報を所有する参加者は、それがプロジェクトにとり「必要」又は「有用」かどうかについて決定する。
(2) プロジェクト背景情報は、所有権保有者に対する賠償責任を負うことなく提供することができること。
(3) 開示は、情報を提供する側の参加者の国内開示政策及び規則に合致すること。
b. 利用:参加者により提供された政府のプロジェクト背景情報は、プロジェクトの目的のためにのみ、他の参加者が無料で使用することができる。ただし、情報を提供する側の参加者は、この政府のプロジェクト背景情報に関するすべての権利を保持する。


4.契約者のプロジェクト前景情報

a. 開示:契約者により作成され引渡されたプロジェクト前景情報は、すべての参加者によって使用される。
b. 利用:各参加者は、自己の政府の目的のために、無料で契約者のすべてのプロジェクト前景情報を利用することができる。契約する各参加者は、他の参加者を代表して、契約者の前景情報を第三者に対して販売するか又は移転するために使用する権利を取得する。ただし、参加者が契約者の前景情報を第三者に対して販売するか又は移転するために使用する場合、MOUの第12条(第三者への販売及び移転)の規定が適用される。


5.契約者のプロジェクト背景情報

a. 開示:このMOUの範囲外で契約者によって作成され、かつ、契約に基いて引渡されたプロジェクト背景情報は、次の事項に適合することを条件として参加者に対して提供される。
(1) プロジェクト背景情報がプロジェクトに必要か又は有用であること。情報を所有する参加者は、それがプロジェクトに「必要」又は「有用」かどうかについて決定する。
(2) プロジェクト背景情報は、所有権保有者に対する賠償責任を負うことなく提供することができること。
(3) 開示は、情報を提供する参加者の国内開示政策及び規則に合致すること。
b. 利用:参加者の契約者により提供された契約者のプロジェクト背景情報は、プロジェクトの目的のためにのみ、他の参加者が使用することができる。また、当該情報は、所有権保有者又は所有権による制限に従う。ただし情報を提供する参加者は、その契約者のプロジェクト背景情報に関するすべての権利を保持する。


6.所有権が設定されたプロジェクト情報

a. 所有権が設定されたすべてのプロジェクト情報は、第9条(管理された非機密情報)に定める規定に従って識別され、表示され及び取り扱われる。
b. 1970年10月19日にブリュッセルにおいて署名された「防衛のための技術情報通信に関する北大西洋条約機構協定」及び1971年1月1日に北大西洋委員会により承認された「防衛のための技術情報通信に関する北大西洋条約機構協定実施手続」の規定は、このMOUに関連する所有権が設定されたプロジェクト情報に適用される。


7.特許

a. 各参加者は、すべての契約中に、プロジェクト発明に関する権利及びこれらに関連する特許権の譲渡を規律する次のいずれか一の規定を含める。
(1) 参加者が、契約者の側の負担なしに、すべてのプロジェクト発明について特許申請を行う権利と共に、この発明に対する権限を保有することを規定する。又は、
(2) プロジェクト発明の認可及びこの発明の特許権を次項の規定に従うことを条件として参加者に確保すると同時に、契約者が、プロジェクト発明についての権限を保有する(又は権限を保留することを選択することができる。)ことを規定する。
b. 契約者がプロジェクト発明のための権限を保有する(又は権限を保留することを選択する)場合、契約を締結する参加者は、政府の目的のために全世界において特許を受けたプロジェクト発明を実施するために、この発明を保護するためのすべての特許に基づいて、非独占的、変更不可能かつ特許使用料無料の許可を他の各参加者のために確保する。
c. d.からg.の規定は、政府所有の施設内の者を含め、参加者の軍人又は文民の使用人によって行われた、すべてのプロジェクト発明、及び、契約者によって行われ、契約を締結する参加者が権限を有するか又は権限を取得する権利を有するすべてのプロジェクト発明についての特許権に関して適用される。
d. 参加者がプロジェクト発明に関する特許出願を提出する権利を有するか又は当該権利を確保することができる場合、当該参加者は、この特許出願に関して他の参加者と協議しなければならない。他の参加者の国家において特許出願を提出するか又は提出する結果となった参加者が出願の実行中止を決定する場合、当該参加者は他の参加者に対してこの決定を通知し、かつ、他の参加者が実行を継続することを、許可する。
e. 各参加者は、提出された特許出願の写し及びプロジェクト発明に関して付与された特許の写しを提供される。
f. 各参加者は、プロジェクト発明の特許に基づき、政府の目的のために全世界で特許を受けたプロジェクト発明を実施し又は実施していくために非独占的、変更不可能かつ特許使用料無料の許可を他の各参加者に与える。
g. このMOUに基づき提出されるべき、機密情報を含む特許出願は、パリにおいて1960年9月21日に署名された「防衛に関連する、特許出願が行われた発明の相互の秘密保護についての北大西洋条約機構協定」及びその実施手続に含まれる要件に従い、保護され及び保全される。
h. 各参加者は、可能な限り、プロジェクトの下で実施される作業中に生ずる特許権侵害の請求の救済を他の参加者に及ぼさなければならない。参加者は、国内法と慣行に従って、それぞれの国によって認可された特許に含まれる発明が、プロジェクトの下で実施される作業の過程において使用され及び製造されるように許可と同意を与える。各参加者は、自らの領域において行われたすべての特許侵害請求の取扱いについて責任を有し、他の参加者に対してこの請求を通知し、かつ、この請求の取扱い中及び解決以前に他の参加者と協議する。

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