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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第19条 データ及び物品の交換

1 この1に別段の定めがある場合を除くほか、協力機関を通じて行動する各参加主体は、関連の了解覚書及び実施取決めに基づく自己の協力機関の責任を果たすために(移転に係る双方の当事者によって)必要と認められるすべての技術データ及び物品を移転する。各参加主体は、宇宙基地協力のために他の参加主体の協力機関が行う技術データ又は物品についての要請を迅速に処理することを約束する。この条の規定は、参加国に対し、自国の国内法令に反して技術データ及び物品を移転することを要求するものではない。
2. 参加主体は、参加主体及びその協力機関以外の者による技術データ及び物品の移転(例えば、将来増加が見込まれる企業間の技術データ及び物品の交換)に係る許可の要請を迅速に処理するよう最善の努力を払うものとし、また、この協定に基づく宇宙基地協力に関連して行われるそのような移転を奨励し、及び容易にする。当該移転には、この2の規定を除くほか、この条の規定を適用しない。当該移転には、国内法令を適用する。
3. 参加主体は、この協定の下での技術データ及び物品の移転がこの3に規定する制限に従うことに合意する。技術データは、インタフェース、統合及び安全に関する参加主体の責任を遂行する目的のために移転される場合には、通常、この3に規定する制限の対象とはならない。詳細設計、製造及び加工に関するデータ及び関連のソフトウエアは、インタフェース、統合及び安全のために必要である場合には、1の規定に従って移転される。ただし、これらのデータ及びソフトウエアについては、(a)から(c)までに定めるところにより、適切に表示が行われることがある。この3の規定する制限の対象とならない技術データ及び物品は、国内法令によって別段の制限を受ける場合を除くほか、制限を受けることなく移転される。
(a) 提供側の協力機関は、輸出管理上保護されるべき技術データ又は物品については、表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。このような表示等による指定においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データ及び物品を利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データ又は物品が、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用されること。
(2) 当該技術データ及び物品が、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(b) 提供側の協力機関は、所有権的権利上保護されるべき技術データについては、表示を行う。この表示においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データを利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データが、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用され、複写され又は開示されること。
(2) 当該技術データが、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(c) この協定の下で移転されるいずれかの技術データ又は物品が秘密の指定を受けている場合には、提供側の協力機関は、当該技術データ又は物品について表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。要請される側の参加国は、秘密の指定を受けている技術データ又は物品の移転及び保護に係る条件について定める情報保護のための取極又は取決めに基づいて、当該技術データ又は物品の移転が行われることを要求することができる。受領側の参加国が、国家安全保障上の目的のために秘密の指定を受け又は他の方法により秘密に保持されている情報を含む特許出願の秘密に対し保護を与えていない場合には、移転を行うことを必要としない。
双方の当事者が移転に合意しない限り、秘密の指定を受けているいかなる技術データ又は物品も、この協定の下で移転されてはならない。
4. 参加国は、3の(a)から(c)までの規定の下で自国が受領する技術データ又は物品が、受領側の参加国、その協力機関及び当該技術データ又は物品の二次的な移転を受ける他の者(契約者及び下請契約者を含む。)により、表示等による指定において示されている条件に従って取り扱われることを確保するため、すべての必要な措置をとる。参加国及び協力機関は、当該技術データ又は物品の認められていない利用、開示又は再移転を防ぐため及び当該技術データ又は物品に対する認められていないアクセスを防ぐため、合理的に判断して必要と認められるすべての措置(自己の契約及び下請契約において適当な契約条件を確保する措置を含む。)をとる。3(c)の規定の下で受領する技術データ又は物品については、受領側の参加国又は協力機関は、当該技術データ又は物品に対して提供側の参加国又は協力機関が与える保護の水準と少なくとも同等の水準の保護を与える。
5. 参加主体は、受領者に対し、受領した技術データ又は物品をこの条の規定の下で課される条件に従って利用し、開示し及び再移転する権利を超えるいかなる権利もこの協定又は関連の了解覚書を通じて与えることを意図しない。
6. 第28条の規定による脱退の取極で別段の合意がされる場合を除くほか、参加国によるこの協定からの脱退は、当該脱退に先立ってこの協定の下で移転された技術データ及び物品の保護に関する権利又は義務に影響を及ぼすものではない。
7. この条の規定の適用上、協力機関からESAへの技術データ及び物品の移転は、当該移転の時に特段の条件が付されない限り、ESA及びすべての欧州参加国並びに宇宙基地に関連してESAが指定する契約者及び下請契約者に対して行われるものとみなす。
8. 参加主体は、その協力機関を通じて、情報保護のための指針を作成する。

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