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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第11条 宇宙基地搭乗員

1. 各参加機関は、システム運用に共通の責任の分担を開始する時から、宇宙基地搭乗員として従事する人員を提供する権利を有する。搭乗員が3人の期間中は、3人の搭乗員の飛行の機会の50%は、NASA及びRSAにそれぞれ配分する。この配分は、他の参加機関に対する搭乗員の飛行の機会の配分が開始されるときにNASA及びRSAの配分を均等に維持しつつ調整する。その調整により、3人の搭乗員の飛行の機会の12.8%は、GOJに配分する。組立期間中は、NASA及びRSAの宇宙基地搭乗員に対する飛行の機会は、一定の期間を通じて達成されるものとし、必ずしも搭乗員の搭乗周期毎に達成される必要はない。ただし、調整後も、各搭乗周期のための搭乗員には、NASA及びRSAからの少なくとも各1人の搭乗員を含む。NASA提供の居住棟が装備され及びNASA提供の搭乗員救助機の初期の運用上の検証が行われた後宇宙基地が7人の搭乗員を有するときは、3人の搭乗員の飛行の機会は、RSAに配分する。残余の4人の搭乗員の飛行の機会は、第8条3.bに定める利用用の資源の配分に相応して、NASA、GOJ、ESA及びCSAに配分する。この配分は、一定の期間を通じて達成されるものとし、必ずしも搭乗員の搭乗周期毎に達成される必要はない。SOPは、毎年又はいずれかの参加機関が要求する時は、この1の規定の実施状況を検討し、及びその結論をMCBに提出する。
2. 組立及び検証の間、十分に訓練されたGOJの1人の搭乗員は、JEMの軌道上の組立及びシステム検証に参加し、並びに他の割り当てられた飛行要素の組立及びシステム検証の任務であって、NASAとの合意により及び第6条に規定する検証計画に定めるところによりJEMの軌道上の組立及び検証の期間中に計画されているものに参加する。NASAは、GOJがその搭乗員を、適用のある搭乗員の割当手続に従うことを条件として、JEMの組立のための各飛行に割り当てるよう並びに宇宙基地の運用及び利用のために宇宙基地に短期間滞在するスペース・シャトルの搭乗員として割り当てるよう要請していることに留意する。
3. MCBは、すべての参加機関に影響を与える宇宙基地搭乗員の問題(宇宙基地搭乗員の選抜、認証、割当て及び訓練に関する手続及び基準を含む。)を調整し及び解決するための最上位の主要な場であるMCOPを設立する。MCBは、このパネルの具体的な責任を定めるMCOP設立規則を作成する。この設立規則のいかなる修正も、MCBが承認する。MCOPの議長は、順番に務めるものとし、MCOPのすべての決定は、コンセンサス方式によって行う。参加機関は、目的達成のための要求を考慮の上及び割り当てられた飛行の機会に基づき、自己の宇宙基地搭乗員の候補をMCOPに提案する。MCOPは、宇宙基地搭乗員の基準を満たしていると決定した場合には、その候補を、参加機関の内部手続による承認を条件として、特定の搭乗周期のための搭乗員として割り当てる。そのようにして割り当てられたすべての搭乗員は、宇宙基地の運用及び利用を実施する上で必要な技能を修得するため、当該周期のための訓練を開始する。一又は二以上の特定の搭乗周期のための搭乗員は、一の特別の搭乗周期の準備のため、合意された教程及び特別の目的達成のための要求に従い一組として訓練することができる。MCOPは、搭乗員の健康状態及び訓練期間中の搭乗員の実績の検討結果に基づき、搭乗員の飛行の準備の完了を決定する。
4. GOJ、NASA及び他の参加機関は、搭乗員の健康に関する問題の調整及び監督を行うための多数者間医学方針委員会(MMPB)を設立する。GOJ及びNASAは、それぞれ、共通の医療支援システムを開発することに関連する問題をそれぞれのために解決する完全な責任を有する一人の医療支援のための連絡要員を提供する。MMPBは、GOJ、NASA及び他の参加機関が設立する多数者間宇宙医学委員会(MSMB)及び多数者間医療パネル(MMOP)の支援を受ける。この委員会及びパネルは、搭乗員の健康に関する問題(診療、医療基準、予防医学(その実施措置を含む。)及び環境の監視を含む。)の調整のための主要な作業部会である。MMOP及びMSMBは、コンセンサスの原則により活動する。MMOPは、医療基準、認証基準、飛行前、飛行中及び飛行後の医療上の要求、医療用機器の責任並びに医療実施手続について案を作成し、MSMBに対してその承認を得るためにこれらを勧告する。MSMBは、適当な場合には、MMPB及びMCOPに対してその検討及び同意のため、自己の決定及び所見を提示する。GOJ、NASA及び他の参加機関は、合意された基準に従ってそれぞれの搭乗員の医学的認証を行う責任を有するものとし、MSMBに対してその承認を得るために適当な文書を提示する。MSMBは、搭乗員の最終的な医学的認証を行い及び医療の実施を監督する責任を有する。
5. GOJ、NASA及び他の参加機関は、有人研究多数者間検討委員会(HRMRB)を設置する。この委員会は、宇宙における人体への影響に関する研究について、その手順が宇宙基地上の有人研究の対象者の健康、安全又は厚生を損なわないよう及び実験活動の倫理的な実施を確実にするよう確保する責任を有する。HRMRBは、参加機関が提案する宇宙基地のための有人研究の手順を、その実施に先立ち検討し、及び承認する。HRMRBは、コンセンサスの原則により活動する。
6. 宇宙基地搭乗員は、一人の指揮官の下で、一の統合された組として活動する。この統合された搭乗員の原則により、すべての搭乗員は、運用及び利用のすべての活動を実施するための一の予定表に従って活動する。搭乗員の指揮官は、宇宙基地において目的達成のための計画を実施し及び搭乗員の安全を確保する責任を有する。この統合された搭乗員の概念の具体的な詳細は、MCOPにおいて合意する。
7. NASAは、自己が提供する宇宙基地搭乗員に関するすべての報酬、医療費、地上の生活費及び訓練について資金上の責任を有する。GOJは、自己が提供する宇宙基地搭乗員に関するすべての報酬、医療費、地上の生活費及び訓練について資金上の責任を有する。GOJ及びNASAは、それぞれ、他方の宇宙基地搭乗員のための宇宙基地に関連する訓練についてそのための費用の徴収を放棄することに合意する。具体的には、GOJは、NASA又はNASAの契約者の施設におけるGOJの宇宙基地搭乗員のための宇宙基地に関連する訓練についてそのための経費を徴収されず、また、NASAは、GOJ又はGOJの契約者の施設におけるNASAの宇宙基地搭乗員のための宇宙基地に関連する訓練についてそのための経費を徴収されない。この放棄は、NASA若しくはNASAの契約者の施設又はGOJ若しくはGOJの契約者の施設において他のすべての参加機関の宇宙基地搭乗員のために行われる宇宙基地に関連するいかなる訓練についても適用する。この宇宙基地に関連する訓練については、MCOPが定める。この訓練のための経費には、講習、訓練用の資材及び装置、すべての必要な施設へのアクセス(NASA及びNASAの契約者の施設の間の移動並びにGOJ及びGOJの契約者の施設の間の移動を含む。)並びに3の宇宙基地搭乗員の認証の後に行われる訓練のために用いられる合意された計画及び教程のためのすべての経費を含む。すべての割り当てられた任務のため、合意された訓練が必要とされる。
8. 参加機関は、宇宙基地の行動規範を作成し、MCBに対してその承認を得るために提出する。各参加機関は、宇宙基地搭乗員を提供する前に宇宙基地の行動規範を承認しなければならない。宇宙基地の行動規範においては、特に、軌道上における明確な指揮系統、地上における運営と軌道上における運営との間の明確な関係及び運営上の階層を定め、宇宙における及び適当な場合には地上における作業及び活動のための基準を設定し、要素及び装置に関する責任を定め、規律上の規則を定め、物理的な安全及び情報の保全のための指針を定め、並びに宇宙基地指揮官に対し、すべての参加機関のために宇宙基地上で安全措置、物理的な安全及び情報の保全のための措置並びに搭乗員救助のための措置をとる適当な権限及び責任を付与する。

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