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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第7条 主として詳細設計及び開発に関連する宇宙基地計画の運営面

1 運営及び検討

1.a GOJ及びNASAは、このMOUに従い、それぞれの宇宙基地の詳細設計及び開発の活動を運営する責任を有する。この条には、宇宙基地の詳細設計及び開発のためのGOJ及びNASAのそれぞれの活動を調整し、適用のある要求を設定し、安全な運用を確保し、宇宙基地の要素の間のインタフェースを確立し、決定を検討し、日程を設定し、活動の現状を検討し、進捗状況を報告し並びに問題(技術上の問題を含む。)をこれが生ずるごとに解決するための運営の仕組みを定める。
1.b GOJ及びNASAの指名された代表が共同で議長を務めるGOJとNASAとの間の計画調整委員会(PCC)は、各当事者の詳細設計及び開発の活動を検討するため、宇宙基地計画が存続する間を通じて定期的に、又は一方の当事者の要請により速やかに、会合する。共同議長は、当事者が提供する宇宙基地の飛行要素及び宇宙基地専用の地上要素に関連する詳細設計及び開発の協力活動(適当な場合には、本格的な運用及び利用における当事者の飛行要素の設計の変更に関連する協力活動を含む。)の実施を確保するために必要な決定を共同で行う。GOJとNASAとの間のPCCは、詳細設計及び開発に関する決定を行うに当たり、運用及び利用に対する影響を考慮し、また、次条1.bの多数者間調整委員会による詳細設計及び開発に関する勧告を考慮する。もっとも、運用及び利用の活動に関する決定は、次条の規定に従って行う。共同議長は、PCCの委員をそれぞれ指名し、及びその会合の場所を決定する。共同議長が詳細設計及び開発に関する特定の問題又は決定には他の参加機関によるPCCレベルでの検討が必要であることに合意する場合には、GOJとNASAとの間のPCCは、NASAとESAとの間のPCC、NASAとCSAとの間のPCC又はNASAとRSAとの間のPCCと合同で会合することができる。
1.c 二者間又は多数者間の計画検討会議は、必要に応じて開催するものとし、GOJ、NASA及び適当な場合には他の参加機関の指名された代表が進捗状況を報告し、並びにそれぞれの詳細設計及び開発の計画の活動の現状について討議する。二者間計再検討会議は、相互の合意により開催し、GOJ及びNASAが共同で議長を務める。多数者間計画検討会議は、いずれかの参加機関の要請により必要に応じて開催し、NASAによって組織される。準公式の現状検討会議及び技術会合は、必要に応じて開催し、参加機関の代表がこれらの検討会議及び会合に出席する。
1.d NASAが議長を務める宇宙基地管理会議(SSCB)は、宇宙基地の組立て及びその初期の運用上の検証が完了するための間において、宇宙基地の要求、コンフィギュレーション(組立て手順を含む。)、輸送についての統合的な計画立案、運用用の資源の設計上の配分及び要素間のインタフェースの定義を管理し、並びに宇宙基地のコンフィギュレーションに関連する活動を管理する。GOJは、SSCB及び合意によりその下部の会議の構成員となるものとし、GOJが適当であると決定するとき並びにこれらの会議が、GOJ提供の要素に対して、GOJ提供の要素とNASA提供の要素との間のインタフェースに対して、GOJ提供の要素とスペース・シャトルとの間のインタフェースに対して、GOJ提供の要素と他の参加機関提供の要素との間のインタフェースに対して又は次条に規定する複合利用計画及び複合運用計画の実施可能性に対して影響を及ぼす問題を検討するときは、これらの会議に出席し、及び参加する。SSCB議長による決定については、GOJとNASAとの間のPCCに異議を申し立てることができる。もっとも、PCCレベルへの問題の付託が行われることなくGOJ及び他の参加機関との間でコンセンサスに達するようあらゆる努力を払うことが、SSCB議長の義務である。異議の申立ては、速やかに行い、及び処理する。GOJは、異議の申立てについての解決が得られるまでの間、自己が提供する要素に関する限り、SSCBの決定を実施する必要はない。この場合において、NASAは、自己が提供する要素に関する限り、SSCBの決定を実施することができる。GOJとNASAとの間のPCCへの異議の申立てに関する追加的な詳細は、この条に規定する共同計画要綱(JPP)に定める。NASAは、GOJが議長を務めるGOJの宇宙基地会議又はこれと同等の会議及び合意によりその下部の会議の構成員となり、適当な場合には、これらの会議に出席し、及び参加する。
1.e GOJは、2.bに規定する共同運営計画(JMP)で定める宇宙基地の要求、アーキテクチャー及びインタフェースに関する特定のNASAの審査に参加する。これらの審査は、関連する計画文書に従って宇宙基地計画が進捗することを確保する計画レベルのものとする。同様に、NASAは、JMPに定める特定のGOJの審査に参加するものとし、他の参加機関は、適当な場合には、これに参加する。
1.f GOJ及びNASAは、運営の仕組みへの参加を通じ、第10条の規定に従って設定する宇宙基地の全体的な安全要求上必要とされる宇宙基地に関する共通性を達成することに合意する。GOJ及びNASAは、また、宇宙基地の常時取付型与圧実験室の利用者のために必要な場合には、標準インタフェースを設定するように運営の仕組みを通じて努力することに合意する。共通性についての例外は、GOJとNASAとの間で案件毎に合意することができる。更に、GOJ及びNASAは、効率的かつ効果的な宇宙基地の運用(宇宙基地補給システムに対する負担を軽減することを含む。)を促進するため、交換可能なハードウエア及びソフトウエアの利用に関して案件ごとに合意が得られるよう、この条に定める運営の仕組みを通じて努力する。


2 計画文書

2.a 設計及び開発のためのJPP(GOJ及びNASAの指名された代表が署名する。)は、GOJの計画と全体的な計画との間の相互関係、GOJとNASAとの間の最上位の要求(日程を含む。)、運営関係、GOJとNASAとの間の宇宙基地の組織構造及びGOJとNASAとの間のPCCへの異議の申立てに関する追加的な詳細について定める。JPPのいかなる修正も、PCCが承認する。
2.b JMPは、GOJ及びNASAが宇宙基地の設計、開発及び実施のすべての活動のために利用する計画面及び技術面の調整手続並びに共同作成文書を定義する。JMP及びその変更は、GOJ及びNASAの指名された代表が共同で署名する。
2.c 運用・利用概念(COU)文書は、宇宙基地がどのように機能し及び運用されるかを規定する情報源とする。この文書は、参加機関が実施し又は立案する任務及び生産し又は準備する物品に沿った内容のものとする。この文書は、宇宙基地計画の詳細設計及び開発の段階においては、SSCBが管理する。ただし、運用及び利用の活動に関する決定は、次条の規定に従って行われる。
2.d NASAは、他の参加機関と共に、すべての参加機関が提供する情報に基づいて宇宙基地全体のシステム仕様書(宇宙基地の飛行要素及び地上施設のハードウエア及びソフトウエアに関する性能要求及び設計要求を含み、並びに宇宙基地の詳細設計及び開発の活動の全体的な実施のための技術的な基礎を提供する。)を作成する。SSCBによって承認されるシステム仕様書には、すべての参加機関の要素に関連する要求を含む。システム仕様書のいかなる修正も、SSCBが承認する。システム仕様書には、また、GOJ及びNASAの共同の要求を含む。この部分は、GOJ及びNASAの指名された代表が共同で署名する。
2.e GOJ及びNASAは、システム仕様書の要求を満たすJEM仕様書(GOJ及びNASAの指名された代表が共同で署名する。)を作成する。GOJは、自己のハードウエア及びソフトウエアのための要素仕様書を作成する。この仕様書は、システム仕様書及び共同で署名するJEM仕様書の要求を満たすものとする。
2.f インタフェース管理文書(ICD)は、次条1.dに規定する基盤要素である飛行要素と利用要素である飛行要素との間のインタフェース及び基盤要素である飛行要素の相互の間のインタフェースを管理し、並びに、適当な場合には、これらのインタフェースを除く飛行要素の相互の間のインタフェース、飛行要素と地上要素との間のインタフェース又は地上要素の相互の間のインタフェースを管理する。ICDのいかなる修正又は追加も、SSCBによる承認手続を通じて行う。NASAは、また、宇宙基地のコンフィギュレーションを反映する参考文書となる基本コンフィギュレーション文書(BCD)を、すべての参加機関が提供する情報に基づいて作成する。


3 連絡

STAの研究開発局及びNASAの宇宙基地計画局は、GOJとNASAとの間の連絡活動を行う責任を有する。GOJは、ワシントンにあるNASA本部に人員を派遣することができるものとし、また、NASAは、東京にあるSTAに人員を派遣することができるものとする。STAの研究開発局とNASAの宇宙基地計画局との間の作業上の関係を円滑にするため、GOJは、NASAの宇宙基地計画局に自己の連絡員を派遣し、NASAは、これを受け入れる。同様に、NASAは、STAの研究開発局に自己の連絡員を派遣し、GOJは、これを受け入れる。更に、相互の合意により、GOJは、宇宙基地計画に関係するNASAのセンターに自己の連絡員を派遣することができるものとし、NASAは、これを受け入れる。また、相互の合意により、NASAは、GOJの宇宙基地計画を支援する他の場所に連絡員を派遣することができるものとし、GOJは、これを受け入れる。これらの連絡関係に関連するすべての条件を定める取決めは、GOJとNASAとの間のPCCの共同議長が合意し、及び共同で署名する。

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