 |
 |

ガンマ線は、X線よりも高いエネルギーを持つ光で、より高温の部分を見ることができ、ものを突き抜ける透過力も上です。また、熱く激しいところからだけではなく、巨大ブラックホールからのジェットのような「宇宙の巨大な加速器」で加速され、光の速度に近いスピードになった電子の運動、あるいは超新星爆発のように「宇宙の巨大な原子炉」で作られた不安定な原子核の崩壊、電子と陽電子の消滅反応などによっても放射されています。つまり、X線で見えるものとは異なる現象を捉えることができ、しかもそれは、宇宙で起きている物理現象の核心に迫る鍵ともいえるのです。
 |
 |

 |

高橋忠幸(JAXA宇宙科学研究本部 高エネルギー天文学研究系 教授)
ガンマ線は新発見をするための“光”です。
ガンマ線を精度よく観測できるようになれば、ブラックホールの中心付近や、今までは見えなかった天体を見ることができます。ですが、これまでは感度のよいガンマ線検出器を作るのが難しく、X線のように高精度の観測はできていません。
X線天文学は、X線の観測によって宇宙が熱く激しく変動するものだということを示し、「宇宙は静的なもの」という常識を覆すという、人類にとって大きな衝撃を与えた学問だったからこそ、ノーベル賞に値したのです。ガンマ線も人類に新たな驚きを与える発見ができるはずです。
誰も見たことがないものを見るためには、誰も持っていなかったようなカメラや観測装置を作り出さなくてはなりません。
Astro-EIIは、X線天文をさらに先へと押し進めるための検出装置であると同時に、日本初のガンマ線検出器も搭載されます。15年以上をかけて開発してきた、日本独自のアイデアの検出器によって、宇宙における日本のガンマ線天文学がひらかれることになります。
このAstro-EIIでX線と同時にガンマ線で宇宙を観測し、広い波長域を用いることによって、これまではできなかった宇宙の高エネルギー現象の謎を解明することが可能となるのです。
 |
|
|