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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第2章 航空宇宙活動の調整、国家航空宇宙理事会

第202条 [国家航空宇宙局]

(a) ここに国家航空宇宙局(以後「機関」という。)を設立する。機関は、民間人の中から上院の助言及び同意によって大統領が任命する長官が指揮する。長官は、大統領の監督及び指揮に基づき、機関のすべての権限の行使及び全ての義務の履行について責任を有し、機関のすべての職員及び活動に対して権限及び管理権を有する。
(b) 機関には、民間人の中から上院の助言及び同意によって大統領が任命する長官が定める義務を履行し、権限を行使する次官を置く。次官は、長官が不在中又は職務遂行が不可能な期間、長官の代理をし、その権限を行使する。
(c) 長官及び次官は、この勤務中には、他の事業、職業又は雇用に就いてはならないものとする。

第203条 [機関の機能]

(a) この法律の目的を実施するために、機関は次のことを行う。
(1) 航空宇宙活動を計画し、監督し、実施すること。
(2) 航空宇宙機の利用によって行われる科学的測量及び観測の立案にあたって科学界による参加の措置を執り、このような測量及び観測を実施し又はその実施の措置を執る。
(3) 自己の活動及びその成果に関する情報の可能な限り広範かつ適当な配布の措置を執る。
(4) 最大限可能な限度まで宇宙空間の最も完全な商業利用に努め、これを奨励する。
(5) 連邦政府の要件に適合する、商業的に供給された宇宙業務及びハードウエアの連邦政府による利用を奨励し、かつ、当該利用の措置を執る。
((b)省略)
(c) その任務の遂行にあたって、機関は次のことを行う権限を与えられる。
(1) 活動の方法及び法律によって与えられる権限の行使を規律する規定及び規則を作成し、公布し、廃止し、かつ改正すること。
((2)〜(4)省略)
(5) 合衆国法第31編第529条によって改正された改正法第3648条に関して、適当とみなす条件で、作業の実施にあたって必要な契約、賃貸、協力協定、その他の取引を州、領土、又は属領若しくはその一行政区分、又は人、企業、組合、団体若しくは教育機関と締結し、履行すること。当該契約、賃貸、協定その他の取引は、実行可能なかつこの法律の目的の達成に適合する最大限度で、機関の作業実施への小規模企業の公平かつ均衡な参加を可能にするように機関によって割り当てられる。
((6)〜(7)省略)
(8) この法律に基づく活動を他の公の及び民間の機関により行われる関連科学活動その他の活動との最大限可能な調整の措置を執るのに適当であるような部局及び手続を機関内に設けること。
((9)〜(12)省略)
(13)
(A) 本条(a)に規定された機関の任務の遂行に起因する身体の障害、死亡、不動産及び動産の損傷又は滅失について、合衆国に対する25,000ドル又はそれ以下の請求を考慮し、確認し、調整し、決定し、解決し、及び合衆国にその完全な賠償を支払うこと。当該請求は、請求が生ずる事故又は事件後2年以内に文書によって機関に提出される。
(B) 機関が、25,000ドルを越える請求が妥当であり、この規定により他の方法で支弁されるであろうと考える場合には、この事実及び状況を議会にその審議のために報告すること。

(第204条省略)

第205条 [国際協力]

機関は、大統領の外交政策指針に基づき、この法律に基づいて行われる作業のための国際協力計画並びに上院の助言と同意によって大統領が締結した協定に基づく当該計画の成果の平和的な応用に取り組むことができる。

第305条 [発明における所有権]

(a) 発明が、機関の契約に基づく作業の遂行にあたって行われた場合には、機関は次のことを決定する。
(1) 発明を行った者が研究、開発又は探査作業を行うために雇用され又は任命され、発明がこの者がそのために雇用され又は任命された作業に関連していること、又は発明が勤務時間中に行われたか若しくは政府の施設、装備、器具、割当資金、政府が所有権を有する情報若しくは勤務時間中の政府使用人の役務の使用からなる政府による寄与によって行われたかにかかわらず使用人の義務の範囲内であったこと。
(2) 発明を行った者が、研究、開発又は探査作業を行うために雇用されたのではないにもかかわらず、発明がこの者がそれを行うために雇用され又は任命された契約、作業又は義務に関連しており、勤務時間中若しくは(1)に定める種類の政府の寄与により行われたということ。この発明は、合衆国の独占的な資産であり、かつ、この発明が特許権を取ることができる場合には、機関が、本条(f)の規定に基づきこの発明に対する合衆国の権利の全部又は一部を放棄しない限り、長官が行う申請に基づき、特許は合衆国に対して与えられる。
(b) 長官が締結する作業の遂行のための当事者との各契約は、当該当事者が、長官に対して、当該作業の遂行にあたって行われる発明、発見、改良又は技術革新に関する十分かつ完全な技術情報を含む報告書を迅速に提供するための効果的な規定を含むものとする。
((c)〜(d)省略)
(f) 長官が定める本項に適合する規則に基づき、長官は、それが合衆国の利益に適うと決定する場合には、機関の契約によって必要とされる作業の遂行にあたっていずれかの人若しくはいずれかの部門の人が行った又は行い得る発明又は発明の部類に関して、本条の規定に基づく合衆国の権利の全部又は一部を放棄することができる。この放棄は、長官が合衆国の利益を保護するために必要であると決定する条件に基づき行うことができる。発明に関して行われた各放棄は、合衆国によって又は合衆国のために、若しくは合衆国との条約又は協定に基づき外国政府によって又は外国政府のために世界的規模で発明を実用化するための長官による変更不可能な、非独占的な、譲渡不可能な、使用料無料の特許権の留保に従うものとする。本項に基づく放棄についての各提案は、長官が機関内に設置する発明・貢献委員会に照会する。同委員会は、各関係当事者に聴聞の機会を与え、かつ長官に当該提案及び同提案に関して講ずべき措置についての勧告につき事実認定を送付する。
((g)省略)
(h) 長官は、長官が権利を有する発明又は発見を保護するためにすべての適当かつ必要な措置を講じ、かつ本条の規定に基づき発明又は発見に対する権利を保持する契約者又は人に対して長官が使用許可を有し又は取得することができる発明又は発見を保護するよう要求する権限を与えられる。
(j) 本条の規定の適用上、
(1) 「人」とは、個人、合名会社、株式会社、組合、公共機関その他の団体をいう。
(2) 「契約」とは、実際の又は提案が行われた契約、協定、了解その他の取決めをいい、これらに基づき実施された又は締結された割当、当事者の交替又は下請け契約を含む。
(3) 「行われた」とは、発明に関連して使用される場合には、当該発明の構想又は最初に現実に実施することをいう。
(k) 打上げが意図され、打ち上げられ、又は宇宙空間において組み立てられた物体は、合衆国法第35編第272条の適用上、宇宙機とみなすものとする。
(l) 合衆国政府以外の人のために合衆国政府が打ち上げた宇宙機に含まれる特許権を与えられた発明の使用又は製造は合衆国法第28編第1498条(a)の意味における合衆国による又は合衆国のための使用又は製造とみなさない。ただし、長官が当該使用又は製造に明示の許可又は同意を与える場合はこの限りではない。

第308条 [保険及び賠償]

(a) 機関は、適当とみなす条件と限度で、宇宙機の打上げ、運用又は回収に関連して行われる活動に起因する死亡、身体の障害、若しくは財産の滅失又は損傷についての第三者による請求の全部又は一部を保証するために、宇宙機の利用者のための責任保険を提供する権限を与えられる。機関が利用可能な予算が、当該保険を得るために利用される。ただし、その予算は、この法律(42U.S.C.§2473(c))の第203条(c)の規定に基づいて定められる償還方法に基づき、利用者によって実行可能な最大限度で償還される。
(b) 長官が損害保険の入手可能性、費用及び条件を考慮して定める本条の規定に基づく規則によって、機関及び宇宙機の利用者との間の協定は、宇宙機の打上げ、運用又は回収に関連して行われる活動に起因する死亡、身体の傷害又は財産の滅失若しくは損傷についての第三者による請求(訴訟又は和解に関する合理的な費用を含む。)に対して、当該請求が利用者の責任保険によって補償されない限度においてのみ、合衆国が利用者に対して補償する旨を規定することができる。ただし、この補償は、利用者の現実の不注意又は故意の違法行為以外のことに起因する請求に限られる。
(f) 本条の適用上、
(1) 「宇宙機」とは、スペースシャトル及び宇宙輸送システムの他の部分、並びに関連装備、機器、構成部分及び部品をいう。
(2) 「利用者」とは、宇宙機の全部又は一部の利用のために機関と協定を締結する者、宇宙機上に搭載する財産を所有し又は提供する者若しくは宇宙機上に搭乗する人を雇用している者をいう。
(3) 「第三者」とは、死亡、身体の傷害又は財産の滅失又は損傷について、利用者に対して請求を行う者をいう。


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