第1条 |
締約国は、宇宙船の乗員が、事故に遭遇し若しくは遭難した旨の又は自国の管轄の下にある領域、公海若しくはいずれの国の管轄の下にもないその他の地域において緊急の若しくは意図しない着陸をした旨の情報を入手した場合又はこれらの事実を知った場合には、直ちに、
(a) |
打上げ機関に通報するものとし、又は打上げ機関が不明である場合及び打上げ機関に直ちに連絡を取ることができない場合には、利用することができるすべての適当な通信手段により、これらの情報を公表する。 |
(b) |
国際連合事務総長に通報するものとし、また、同事務総長は、利用することができるすべての適当な通信手段により、遅滞なくこれらの情報を公表する。 |
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第2条 |
事故、遭難、緊急の又は意図しない着陸により宇宙船の乗員がいずれかの締約国の管轄の下にある領域に着陸した場合には、当該締約国は、直ちに、その乗員の救助のためにすべての可能な措置をとるものとし、すべての必要な援助を与える。当該締約国は、打上げ機関及び国際連合事務総長に対し、そのとっている措置及びその実施状況を通報する。打上げ機関による援助が迅速な救助を実施する上で役立つ場合又は当該援助が捜索救助活動の効果的な実施に実質的に寄与する場合には、打上げ機関は、捜索救助活動の効果的な実施のため、当該締約国に協力する。当該捜索救助活動は、当該締約国の指揮及び監督の下に実施するものとし、当該締約国は、打上げ機関との密接かつ継続的な協議の下に行動する。 |
第3条 |
宇宙船の乗員が公海又はいずれの国の管轄の下にもないその他の地域に着陸した旨の情報を入手した場合又はその事実を知った場合には、迅速に乗員を救助するために捜索救助活動に援助を与えることができる締約国は、必要があるときは、そのための援助を与える。援助を与える締約国は、打上げ機関及び国際連合事務総長に対し、現在とっている措置及びその実施状況を通報する。 |
第4条 |
宇宙船の乗員は、事故、遭難又は緊急の若しくは意図しない着陸によりいずれかの締約国の管轄の下にある領域、公海又はいずれの国の管轄の下にもないその他の地域に着陸した場合には、安全かつ迅速に打上げ機関の代表者に引き渡される。 |
第5条 |
1. |
各締約国は、宇宙物体又はその構成部分が自国の管轄の下にある領域、公海又はいずれの国の管轄の下にもないその他の地域に降下した旨の情報を入手した場合又はその事実を知った場合には、打上げ機関及び国際連合事務総長に対し、その旨を通報する。 |
2. |
宇宙物体又はその構成部分が発見された領域について管轄権を有する締約国は、打上げ機関の要請に応じ、また、必要な場合には打上げ機関の援助を受けて、当該宇宙物体又はその構成部分を回収するため、実行可能と認める措置をとる。 |
3. |
宇宙空間に打上げられた物体又はその構成部分であって打上げ機関の領域外で発見されたものは、打上げ機関の要請に応じ、打上げ機関の代表者に引き渡されるか、又はその処理に委ねられる。打上げ機関は、当該物体又はその構成部分の返還に先立ち、要請に応じ、当該物体又はその構成部分を識別するための資料を提供する。 |
4. |
2及び3の規定にかかわらず、締約国は、自国の管轄の下にある領域において発見し又はその他の場所において回収した宇宙物体若しくはその構成部分が、危険又は害をもたらすものであると信ずるに足りる理由がある場合には、打上げ機関にその旨を通知することができる。この場合において、打上げ機関は、発生するおそれのある危害を除去するため、当該締約国の指揮及び監督の下に、直ちに、効果的な措置をとる。 |
5. |
2及び3の規定により宇宙物体又はその構成部分を回収し及び返還する義務を履行するために要した費用は、打上げ機関が負担する。 |
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第6条 |
この協定の適用上、「打上げ機関」とは、打上げについて責任を有する国又は、国際的な政府間機関が打上げについて責任を有する場合には、当該政府間機関をいう。ただし、当該政府間機関がこの協定の定める権利及び義務の受諾を宣言し、かつ、当該政府間機関の加盟国の過半数がこの協定及び月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の締約国である場合に限る。 |
第7条 |
1. |
この協定は、署名のためすべての国に開放しておく。3の規定に基づくこの協定の効力の発生前にこの協定に署名しなかった国は、いつでもこの協定に加入することができる。 |
2. |
この協定は、署名国によって批准されなければならない。批准書及び加入書は、この協定により、寄託政府として指定されたグレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国、ソビエト社会主義共和国連邦並びにアメリカ合衆国の政府に寄託する。 |
3. |
この協定は、寄託政府として指定される政府を含む5の政府が批准書を寄託した時に効力を生ずる。 |
4. |
この協定は、その効力発生の後に批准書又は加入書を寄託する国については、その批准書又は加入書の寄託の日に効力を生ずる。 |
5. |
寄託政府は、すべての署名国及び加入国に対し、署名の日、この協定の批准書及び加入書の寄託の日、この協定の効力発生の日並びに他の事項をすみやかに通報する。 |
6. |
この協定は、寄託政府が国際連合憲章第102条の規定により登録する。 |
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第8条 |
この協定のいずれの締約国も、この協定の改正を提案することができる。改正は、この協定の締約国の過半数が受諾した時に、受諾した締約国ついて効力を生ずるものとし、その後に改正を受諾する他の締約国については、その受諾の日に効力を生ずる。 |
第9条 |
この協定のいずれの締約国も、この協定の効力発生の後1年を経過した後は、寄託政府にあてた文書により、この協定からの脱退を通告することができる。脱退は、脱退を通告する文書の受領の日から1年で効力を生ずる。 |
第10条 |
この協定は、英語、ロシア語、フランス語、スペイン語及び中国語をひとしく正文とするものとし、寄託政府に寄託される。この協定の認証謄本は、寄託政府が署名国及び加入国政府に送付する。 |