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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(2) 民事宇宙政策(米国、抄訳、1978年10月11日声明)

 大統領は、今日、今後10年間の合衆国の方針を定める宇宙政策の声明を出した。同政策は、1978年6月に大統領より要請された4カ月にわたる省庁間の再検討の成果である。アメリカの民事宇宙政策は三つの政策を中心とする。
 第一に、我々の宇宙政策は、次のような基本的に重要な要素を含む、応用、科学・技術開発の均衡のとれた戦略を反映する。
 地球資源、気候、気象、汚染及び農業に係る我々の知識に重要な利益をもたらす宇宙応用を重視し、かつ民間部門がリモートセンシングその他の応用において増大する責任を引き受けるように措置を講ずること。
 努力目標及び刺激を保持し及び国家がその宇宙技術基盤の活力を保持することを可能にし、条件により正当化される場合には、更に財政的制約を課すために短期的な柔軟性を与えるように宇宙科学及び探査を重視すること。
 国家の必要に適合するように、今後20年間に宇宙空間における運用経費を削減するためにスペース・シャトルの柔軟性を利用すること。
 国家宇宙計画の間のよりよい統合及び技術移転により、及び、適当な場合には、より多くの共同プロジェクトにより費された資源からの利益を増大し、それによって、1,000億ドルの宇宙投資に対するアメリカ人民の利益への償還率を増大すること。
 国家の安全保障及び福祉のための宇宙におけるアメリカの科学・技術上のリーダーシップを保持し、後の計画決定への基礎とするために必要な研究・開発(R&D)を継続すること。
 開発途上国並びに先進国にとり利益を有する開放的かつ創造的な方法での先端技術上の能力を実証すること。
 共同計画を実施することにより諸国との宇宙協力を強化すること。
 人類の利益のためのその安全及び平和的な利用を確保する宇宙法制度の継続的発展への我々の支援を確認すること。
 第二に、次第に、宇宙は作業の場所、即ち、我々の環境の延長部分になってきている。将来は、宇宙活動により国家目標を最も効率的に満たすことができることが明らかな場合には、様々な活動が宇宙空間で行われるだろう。
 第三に、現時点では、合衆国がアポロに比較し得る程高度に挑戦的な宇宙工学上のイニシアチブをとることを約束することはできないし、その必要もない。シャトル開発段階のための資源及び人材の要求が低下しているので、我々は、新たな宇宙応用及び探査に多大な注意を払える柔軟性を有し、現在の水準で計画を継続し、これらを契約するだろう。上記に定められた目標に適合するため連邦予算上適切な措置が執られるだろう…。
 民間部門―他の適切な機関に加えて、NASA及び商務省は、民事用リモートセンシングシステムへの民間部門の投資及び直接的な参加を促進する方法に関して行動計画を準備する。NASA及び商務省は、この問題に関して民間部門と連絡をとり、受領した提案を検討及び措置のために政策再検討委員会(宇宙部門)に提出する前に分析する。

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