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(4) 国際海事通信衛星業務の確立、所有権、運用及び政府による監督を規定するための法律
(米国、抄訳、1978年11月1日承認)

 1962年通信衛星法の最後に以下の新しい章を追加することによって改正することが合衆国議会によ って可決された。

第5章 国際海事衛星通信

略称

第501条 この法律を「国際海事衛星通信法」という。
 

政策及び目的の宣言

第502条
(a) 合衆国議会は、ここに、世界的規模の海事電気衛星通信システムを発達させかつ運用するため、国際海事衛星機構(以下「インマルサット」という。)への合衆国の参加の措置を執ることが合衆国の政策であることを宣言する。当該システムは、合衆国の及び外国の海商上及び海上の安全の必要に資する施設及び業務を有するものとする。
(b) この法律の目的は、インマルサットへの合衆国の参加が、利潤を追求する民間団体であり、連邦政府の一機関又は一施設ではない通信衛星会社によって行われることを規定することである。


指定運用団体

第503条
(a)
(1) 通信衛星会社は、国際海事衛星電気通信業務を提供する目的でインマルサットに参加するための合衆国の唯一の運用団体として指定される。
(2) 会社は、(b)の規定に基づく暫定的な運用取極によって、合衆国の海商上の必要及び海上の安全の必要に資するために、暫定的な基礎に基づき、他のいずれかの海事衛星電気通信システムに参加する権限を有する。
(3) 会社は、合衆国の唯一の指定運用団体として、インマルサットの運用協定その他の関連文書に参加することができ、かつ、その結果、署名する権限を与えられる。
(b)
(1) 会社は、(a)(2)の規定に基づき、次の場合にのみ海事衛星電気通信システムに参加することができる。
(A) 会社は、参加を開始する前に、インマルサットの運用協定に署名する。
(B) この参加は、インマルサットがその運用を開始するまでのみ効力を有する暫定的な運用取極の性質を有し、及び、
(C)
(i) 参加が条約又は行政協定に従うことによってのみ開始することができる場合、当該条約及び行政協定は有効であり、又は、
(ii) 参加がいかなる条約又は行政協定をも必要としない場合には、大統領は、会社が当該参加提案を大統領に通知した後60暦日の期間中は、当該参加を不承認とすることはない。
(2) 会社が本項に基づき海事衛星電気通信システムとの暫定的な運用取極に参加する場合には、インマルサットへの会社の参加に関するこの法律の規定はこの暫定参加についても適用するものとする。
(3) (1)(C)(ii)の規定に基づく大統領の不承認は、その不承認の日以後に実行可能な限りすみやかに連邦記録簿に公表されるものとする。
(c) 会社は、
(1) 合衆国内に衛星地球端末局を所有しかつ運用する。
(2) 委員会によって許可された、会社が所有権益を有する通信事業者その他の団体以外の合衆国の国内通信事業者及び国際通信事業者の施設及び業務を用いて衛星地球端末局及び同局によって提供された海事衛星電気通信を接続する。
(3) 民間通信システムの施設及び業務を用いて衛星地球端末局及び同局によって提供された海事衛星電気通信を接続する。ただし、この接続が公益に資することがないと委員会が認定する場合にはこの限りではない。
(4) 共有する国際的な宇宙部分及び関連付属施設の合衆国の持分を確立し、所有しかつ運用することができる。
(d) 会社は、運用協定その他の関連文書の署名当事者として自己に課せられた財政上の義務並びにインマルサットを設立する条約その他の文書の結果として会社に課されることのあるその他のいずれかの財政上の義務の履行について責任を有する。会社は、インマルサットの管理機関における合衆国の唯一の代表であるものとする。
(e)
(1) 衛星地球端末局が、専ら当該局の運用及び維持に関連する設備の使用にあたって又は海事衛星電気通信業務に関する実験の実施にあたって要員の訓練のために使用される場合には、連邦政府及びその機関を含むいずれの人も、(2)及び(3)の規定に基づき、衛星地球端末局唯一の所有権者又は運用者若しくはその双方となることを許可される。
(2) (1)に定める人が連邦政府又はその政府機関である場合には、衛星地球端末局は、その責任を委ねられた実施官庁によって運用を許可される。
(3) その他の場合は、衛星端末局は委員会によって許可される。
(f) 委員会は、会社以外の人による衛星地球端末局の追加所有が公益のための海事衛星業務の供給を向上させると決定する場合には、随時、当該所有を許可することができる。
(g) 委員会は運用取極を決定する。会社は、この取極に基づき、自社が所有権益を有する通信事業者、システムその他の団体、及び合衆国の国内その他の区域で海事衛星電気通信業務を拡大するために(c)(3)の規定に基づき許可された場合には民間通信システム以外の合衆国の国内通信事業者及び国際通信事業者と自己の衛星地球端末局の施設及び業務を接続する。運用措置の当初の決定は、この法律の施行の日から6カ月以内に委員会によって行われる。委員会は、その後直ちに、議会に当該決定に関する報告書を送付する。
(h) 会社の定款は、州法のいずれの規定にもかかわらず、他の方法では事業を行うのに必要とされる数の理事による迅速な会合を不可能とするような、大統領又はその代理人が決定することができる国家の非常事態の下で事業を行う会社の理事会の継続的な能力を規定するものとする。


政策の実施

第504条
(a) 商務長官は、
(1) (委員会以外の)電気通信分野において責任を有する連邦機関の活動が、この法律の規定に完全かつ効果的に適合することを確保するように調整する。
(2) 別個の電気通信システムが政府の固有の必要を満たすために必要な場合又は別段に国益のために必要とされる場合を除いて、一般的な政府の目的のためにインマルサットによって提供された海事衛星電気通信業務の利用可能性及び適切な利用を確保するためにすべての必要な措置を講ずる。
(3) 電磁スペクトル及び軌道空間の調整された、効率的な利用の達成及び合衆国及び外国における既存の通信施設と宇宙部分の技術的適合性の確保に努めるように自己の権限を行使する。及び、
(4) 海事衛星電気通信システムの最終利用者の利益及び必要を決定し、かつ利用及び利用者の必要に関する連邦政府の見解をインマルサットに通知するためすべての必要な措置を講ずる。
(b) 大統領は、外国政府、国際的な団体、及びインマルサットとの関係及び活動に関連して、当該関係及び活動が合衆国の国益並びに外交政策に一致することを確保するために必要な会社に対する監督と指示を行う。
(c) 委員会は、
(1) この法律の第503条の規定を実施するために必要な手続を設ける。
(2) 大統領が会社に対して指示を行うにあたって大統領を補佐するために勧告を行う。
(3) 1934年の通信法第2章及び3章の規定に基づき会社が次のことを行うことができるように必要な許可を与える。
(A) この法律の第503条(c)(2)の規定に従って、インマルサットから得た宇宙部分の通信チャンネルを公衆に提供すること。及び、
(B) 宇宙部分を充分に利用させるために必要な合衆国における衛星地球端末局を建設し、運用すること。
(4) 1934年の通信法第2章及び3章の規定に基づき、この法律の規定を実施するために必要な許可を与えること。
(5) 運用協定その他の関連文書の合衆国の署名当事者としての会社の電気通信活動の継続的な再検討の措置を講ずる手続を設けること。及び、
(6) この法律の規定を実施するために必要な規則を定めること。
(d) 委員会は、委員会の管轄権の範囲内の規制事項に関して会社に指示を行う権限を与えられる。委員会の指示が(b)の規定に基づく大統領の指示と抵触する場合には、大統領の指示が優先する。


通信衛星会社の構造及び活動の研究

第505条
(a) 委員会は、会社が効果的に義務を履行し、この法律及び1937年の通信法の規定に基づく任務を遂行することを確保するために何らかの変更が必要とされるかどうかに関して決定するために、会社の法人組織及び運用活動の研究を行うものとする。
(b) 委員会は、(a)の規定に基づき行う会社の研究に関して、この法律の施行の日の後18カ月以内に議会に報告書を送付する。当該報告書は、答申の詳細な陳述及び当該研究の結論、当該答申及び結論に関して委員会によって執られる行動、委員会が必要又は適当と考える立法上その他の措置についての勧告を含む。


公共海岸局の業務研究

第506条
(a) 委員会は、公海での業務に特に重点を置きながら、委員会の規則及び規定並びにこの法律の施行の日付で実施される免許状及び無線周波数の割当が最新の効果的な海事電気通信システムの供給についての体系的なアプローチを確立するために何らかの変更を必要とすべきかどうかを決定するために、公共海岸局の業務の研究を行うものとする。
(b) 委員会は、(a)に基づき行われる公共海岸局の業務の研究に関して、この法律の施行の日の後12カ月以内に議会に報告書を送付するものとする。この報告書は、当該研究の答申及び結論の詳細な陳述、当該答申及び結論に関連して委員会によって講じられる措置、及び委員会が必要と考える立法上その他の措置についての委員会の勧告を含む。


無線航行システムの研究

第507条
(a) 大統領は、政府の大規模な無線航行計画の展開によって影響を受ける又は影響を受ける可能性のある政府機関と共に、当該システムの拡散及び重複を減じる最も効果的な方法を決定するためにすべての政府の無線航行システムの研究を行うものとする。この研究は当該計画を発展させることを目的とする。
(b) 大統領は、(a)に基づき行う研究に関して、この法律の施行の日の後12カ月以内に議会に報告書を送付する。この報告書は、当該研究の答申及び結論の詳細な陳述、当該答申及び結論に関して大統領が講ずる措置、及び大統領が政府の大規模な無線航行計画の実施のために必要又は適当と考える立法上その他の措置についての大統領の勧告を含む。


定義

第508条 この法律の適用上、
(1) 「人」とは、個人、共同経営、組合、合資会社、企業合同、又は法人をいう。
(2) 「衛星地球端末局」とは、運用上一以上の地上通信システムに連結する宇宙部分への送受信を行うことができる陸上に位置する通信設備の複合体をいう。
(3) 「宇宙部分」とは、国際海事電気通信業務の提供のためにインマルサットの権限の下で保持される衛星(又は衛星の容量)並びに当該衛星の運用を支援するために必要な追跡、遠隔測定、指令、管制、監視施設及び設備並びに関連施設及び設備をいう。
(4) 「国家」とは、複数の国家、コロンビア特別区、プエルトリコ自治領等、グアム、バージン諸島、太平洋諸島信託統治領、及び合衆国の他の領域又は属領をいう。

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