宇宙法 TOP
目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

付属書5 産業政策

第1条
1. 事務局長は、この条約第7条に定める産業政策の適用にあたっては、この附属書の規定及び理事会の指示に基づいて行動する。
2. 理事会は、機関の活動に応じて産業の潜在力及び構造、並びに、特に次のことを検討する。
(a) 産業の一般構造及び産業グループ。
(b) 産業における望ましい専門化の程度及びこれを達成する方法。
(c) 関連する国家産業政策の調整。
(d) 他の国際組織の関連産業政策との相互作用。
(e) 産業生産能力と市場の可能性との間の関係。
(f) 機関の産業政策に従うこと、かつ、適当な場合には、当該政策を適応させることを可能にするための産業界との対話の組織化。
第2条
1. 機関は、すべての契約の締結にあたって、加盟国の産業及び組織を優先する。ただし、条約の第5条1(b)に定める各選択的計画内では、参加国の産業及び組織を特に優先する。
2. 理事会は、機関が上記の優先条項に抵触することができるか及びどの程度抵触することができるかを決定する。
3. 企業の一の加盟国への所属は次の基準に照らして判断される。その本社、決定中枢及び研究所の所在地、及び作業が実施されなければならない領域。理事会は、疑わしい場合には、企業が一の加盟国に属するとみなすべきかどうか決定する。
第3条
1. 事務局長は、契約の割当に至る行動の当初の段階において、かつ入札に付す前に、次の契約について従うべき調達方針案を理事会による承認のために提出する。
(a) 見積額が産業政策に関する規則によって定められる、かつ、作業の性質に依存する若干の限度を超過する契約。
(b) 事務局長の見解では、産業政策に関する規則又は理事会が定める追加の指示によっては十分に規律されない契約、又は当該規則若しくは指示と抵触する可能性がある契約。
2. 理事会は、1に定めるような、事前に理事会に提出する必要がある分野を明確にするために役立つと判断する場合には、1(b)の規定に掲げる追加の指示を定期的に定める。
3. 事務局長は、次の場合を除いて、別段に理事会に提出することなく、機関の契約を直接に割り当てる。
(a) 事務局長が、請負見積書の算定から、その選択が、1の規定の適用によって、理事会により事前に与えられる指示又は第1条2に定める理事会の検討の結果として採択される産業政策に関する一般的な指示に反することになる契約者を推薦することになる場合。この場合、事務局長は、当該事例を決定するために理事会に提出する。その提出にあたって、事務局長は、適用除外が必要であると考える理由を述べ、また理事会の他の決定が、技術上、運用上その他の面で、勧告し得る選択方法であるかどうかを示すものとする。
(b) 特別な理由で、理事会が契約の割当の前に新たな検討を行うことを、決定した場合。
4. 事務局長は、理事会に機関の産業政策の実施を可能にするように、経過した期間中に割り当てられた契約並びに次の期間中に予定された契約の割当に至る行動に関して、指定された定期的な期間を置いて、理事会に報告する。
第4条 機関の契約全体の地理的配分は次の一般規則によって定める。
1. 加盟国の全体的な償還率は、加盟国全体において締結された契約総額に比して計算された、当該加盟国が得た契約率とその拠出額全体の比率との間の関係として定められる。ただし、この償還総額の比率の計算にあたって、次の計画の枠内で加盟国が締結した契約又は加盟国が支払った拠出金は考慮されない。
(a) 関連する取極がこの目的のための規定を有すること又はすべての参加国がその後全会一致で同意することを条件として、欧州宇宙研究機構設立条約第8条の規定に基づき開始された計画。
(b) 当初のすべての参加国が全会一致によって同意することを条件として、この条約の第5条1(b)の規定に基づき開始された計画。
2. 償還率の計算にあたって、各契約額は、その技術的利益に応じて調整される。調整要素は理事会が定める。その額が大きい場合には、いくつかの調整要素が同じ契約について適用される。
3. 機関によって締結された契約は、すべての償還率が1に等しくなる理想的な状態に近づかなければならない。
4. 償還率は3カ月毎に計算し、5に定める公式検討のために累積的に示すものとする。
5. 契約の地理的配分の状況の公式検討は3年毎に行う。
6. 各加盟国について、状況の公式検討の各々の間の契約の割当は、各公式検討の際の全体的な累積償還率が理想的な値にほぼ近いようなものでなければならない。最初の3年間については、累積償還率の下限を0.8に定める。理事会は、各公式検討の際に、次の3年間についてのこの下限の値を改正することができる。ただし、当該値は、決して0.8以下になってはならない。
7. 償還率とは別の見積が、理事会が定める契約の種類、特に先端研究・開発契約並びにプロジェクトに付随する技術に関する契約について行われ、理事会に通知される。事務局長は、定められるべき定期的な期間を置いて、不測の不均衡な状態を是正するために必要な措置を決定するために、当該見積を理事会と討議する。
第5条
1. 事務局長は、各3カ年について定める正式の検討の際に、加盟国の償還率が、第4条6に定める下限を下回る場合には、1年の期間内にこの状態を是正するための提案を理事会に提出する。これらの提案は契約の締結を定める機関の規則の枠内で行われる。
2. 事務局長は、この1年の期間の後に不均衡が残る場合には、当該状態を是正する必要が契約の締結を規律する機関の規則に優先する旨の提案を理事会に提出する。
第6条 産業政策を理由として行われる、特定の分野における、機関の契約の割当のために入札から加盟国の特定の企業又は機関を除外する目的を有する決定は、当該加盟国の同意を必要とする。

BACK English