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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第21条 [発明及び技術情報]

(1) 機構は、自ら行い又は自己の費用で自己に代わって行われる作業に関し、発明及び技術情報に係わる権利を取得するものとする。ただし、これらの権利は、機構及び署名当事者としての資格における署名当事者の共通の利益に必要とされるものに限る。契約により作業が行われる場合には、取得されるこれらの権利は、独占的でないものとする。
(2) (1)の規定の適用上、機構は、その原則及び目的並びに一般に認められた産業上の慣行を考慮に入れて、重要な調査、研究又は開発を含む作業に関し、自己のために次の権利を確保するものとする。
(a) 当該作業から生ずるすべての発明及び技術情報を、自己に無償で開示される権利。
(b) インマルサット宇宙部分並びにこれに関連して運用される陸上、船舶上及び航空機上の地球局との関連において、(a)の発明及び技術情報を無償で、締約国、署名当事者及び締約国の管轄内にあるその他の者に対して開示し又は開示させ並びに自らそれらを使用し又はそれらの者がそれらを使用することを認め若しくは認めさせる権利。
(3) 契約によって行われる作業に関しては、契約に基づき生ずる発明及び技術情報の所有権は、契約者が保有するものとする。
(4) 機構は、又自己に代わって行われる作業の遂行にあたって、直接に利用された発明及び技術情報であって、(2)の規定が適用されないものを、公正かつ妥当な条件で使用し及び使用させる権利を自己のために確保するものとする。もっとも、かかる使用は、機構による支出を伴う契約に基づき実際に納入されたいずれかの製品の再生産又は改修に必要な限度において、かつ、当該作業を遂行した者が当該権利を許与する資格を有する限度において行われるものとする。
(5) 理事会は、個々の事例につき(2)(b)及び(4)に規定する方針に従うことにより、機構の利益を害することとなることが交渉の過程において理事会にとって明らかとなる場合には、当該方針からの逸脱を承認することができる。
(6) 理事会は、又個々の事例につき、例外的な事情により正当とされる場合において、次のすべての条件が満たされるときは、(3)に規定された方針からの逸脱を承認することができる。
(a) 当該方針に従う場合には、機構の利益を害することとなることが理事会にとって明らかとなること。
(b) 機構が、いずれの国においても特許の保護を確保することができると理事会が認定すること。
(c) 契約者が所要の期間内にこの特許権保護を確保することができず、又は確保する意志がないこと。
(7) 機構が権利を取得した((2)の規定に従って取得した場合を除く。)発明及び技術情報に関し、機構は要請に基づき、その有する権利の範囲内で次のことを行う。
(a) 当該発明及び技術情報を、締約国及び署名当事者に対して開示し又は開示させること。ただし、機構がこの開示の権利の行使に関して行い及び/又は要求される支払の償還を受けることを条件とする。
(b) 締約国及び署名当事者に対し、それらの発明及び技術情報を締約国の管轄権内にあるその他の者に対して開示し、又は開示させ並びにそれらを使用し又は当該その他の者がそれらを使用することを認め若しくは認めさせる権利を与えること。この場合において、
(i) インマルサット宇宙部分並びにこれらに関連して運用される陸上、船舶上及び航空機上の地球局に関しては無償とする。
(ii) その他の目的のためには、一方において、署名当事者又は締約国の管轄内にあるその他の者と、他方において機構、当該発明及び技術情報の所有者、又は当該発明及び技術情報に係わる財産権の持分を有することを認められたその他の事業体若しくは人との間で定める公正かつ妥当な条件に従う。ただし、機構が当該権利の行使に関して行い又は要求される支払の償還を受けることを条件とする。
(8) 機構が権利を取得したすべての発明及び技術情報の開示及び使用並びにそれらの開示及び使用の条件には、すべての署名当事者及び締約国の管轄権内にあるその他の者について差別を設けない。
(9) この条のいかなる規定も、技術情報の開示に関する国内法令に服する者と機構が契約を締結することが望ましい場合には、これを妨げるものではない。

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