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ミサイル迎撃ミサイル・システムの制限に関するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約
(抄訳、1972年5月26日署名、1972年10月3日発効) |
(前文省略)
第1条
1. |
各締約国は、ミサイル迎撃ミサイル・システム(ABM)を制限すること、及びこの条約の規定に従い、その他の措置を講ずることを約束する。 |
2. |
各締約国は、自国の領域の防衛のためにABMシステムを展開しないこと、この防衛のための基地を提供しないこと、及びこの条約の第3条に定められる場合を除いて、個々の地域の防衛のためにABMシステムを展開しないことを約束する。 |
第2条
1. |
この条約の適用上、ABMシステムとは、現在次のものからなる、飛行軌道上の戦略弾道ミサイル又はその要素を迎撃するためのシステムである。
(a) |
ABM用に建造され及び展開された又はABM様式で試験された種類の迎撃ミサイルであるABM迎撃ミサイル。 |
(b) |
ABM迎撃ミサイル発射用に建造され及び展開された発射基であるABM発射基。 |
(c) |
ABM用に建造され及び展開された又はABM様式で試験された種類のレーダーであるABMレーダー。 |
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2. |
本条の1に掲げるABMシステムの構成部分は次の段階のものを含む。
(a) |
運用中のもの。 |
(b) |
建造中のもの。 |
(c) |
試験中のもの。 |
(d) |
整備中、修理中又は改造中のもの。 |
(e) |
格納庫に収容中のもの。 |
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第3条
各締約国は、次の場合を除いて、ABMシステム又はその構成部分を展開しないことを約束する。
(a) |
1の締約国は、自国の首都を中心とする半径150kmの1のABMシステム展開地域内で、次のものを展開することができる。(1)発射基地において100以下のABM発射基及び100以下のABM迎撃ミサイル。及び(2)6カ所以下のABMレーダー施設内(ただし、各施設の区域は直径300km以下の円形とする。)にABMレーダー。及び |
(b) |
1の締約国は、ICBMのサイロ発射基を含む、半径150kmの1のABMシステム展開地域内で、次のものを展開することができる。(1)発射基地において100以下のABM発射基及び100以下のABM迎撃ミサイル。(2)ICBMのサイロ発射基を含む、ABMシステムの展開地域において、この条約の署名の日に運用中又は建造中の対応するABMレーダーに潜在的に比較し得る2基の大型位相段列配列アンテナのABMレーダー。及び(3)上記の2基の大型位相配列アンテナのABMレーダーのうちより小型のものの能力以下の能力を有する18基以下のABMレーダー。 |
第4条
第3条に定める制限は、開発若しくは実験用に使用されかつ既存の又は追加的に合意される実験場に配置されるABMシステム又はその構成部分には適用しない。各締約国は、実験場に総数15基以上のABM発射基を有してはならない。
第5条
1. |
各締約国は、海上発射式、空中発射式、宇宙発射式又は移動発射式のABMシステム若しくはその構成部分を開発し、実験し、又は展開しないことを約束する。 |
2. |
各締約国は、各発射基から一度に1以上のABM迎撃ミサイルを発射するためのABM発射基を開発し、実験し、又は展開しないこと、展開された発射機にこの能力を与えるために当該発射基を改良しないこと、ABM発射基の迅速な再装填用の自動式又は半自動式のその他の類似のシステムを開発し、実験し、又は展開しないことを約束する。 |
第6条
各締約国は、ABMシステム及びその構成部分に関する制限の実効性の確保を促進するために、次のことを約束する。
(a) |
ABM迎撃ミサイル、ABM発射基、又はABMレーダー以外のミサイル、発射基、又はレーダーに戦略弾道ミサイル又はその構成部分を迎撃する能力を与えないこと。及びそれらをABM様式において試験しないこと。 |
(b) |
自国の領域の周辺に沿って外部に向けて配置されたものを除き、戦略弾道ミサイル攻撃の早期警戒用のレーダーを将来的に展開しないこと。 |
第7条
この条約の規定に従い、ABMシステム又はその構成部分の近代化及び代替えを行うことができる。
第9条
締約国は、この条約の有効性と実効性を確保するために、この条約により制限されたABMシステムその他の構成部分を他の国に移転し又は自国の領域外に展開しないことを約束する。
第12条
1. |
各締約国は、この条約への適合を確保するために、国際法の一般的に認められた原則に合致する方法で、自国が有する国の技術的検証手段を使用するものとする。 |
2. |
各締約国は、本条1に従い運用する他の締約国の国の技術的検証手段を妨げないことを約束する。 |
3. |
各締約国は、この条約に適合する国の技術的検証手段による検証を妨げる故意の隠蔽手段を用いないことを約束する。この義務は、既存の建造、組立て、改造又は整備に係る慣行の変更を要求するものではない。 |
ミサイル迎撃ミサイル・システムの制限に関するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約に関する合意声明
[D]
両締約国は、この条約の第3条に定められた場合を除いて、ABMシステム及びその構成部分を展開しないという義務の履行を確保するために、他の物理的な原則に基づき、ABM迎撃ミサイル、ABM発射機、又はABMレーダーに代替し得る構成要素を含むABMシステムが将来的に創造される場合には、当該システム及びその構成部分に関する特別な制限がこの条約の第13条に従った討議及び第14条に従った合意に従う。
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