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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

民事宇宙部門の指針

はじめに 他の機関とともに、国家航空宇宙局(以下「NASA」という。)は、研究、技術、開発及び関連運用活動の実施を通じて、宇宙の科学、探査及び適切な応用を促進するため、連邦政府部内での主導的役割を継続する。同様に、海洋大気庁(NOAA)は、地球環境についてデータを収集し、研究を実施し、予測を行う。運輸省は、民事部門を支援する商業打上げ運用を許可し、かつ促進する。
宇宙科学:NASAは、他の適切な機関との協力により、次の事項の理解を拡張するため、科学的研究、探査及び実験を支援する均衡のとれた計画を実施する。
(1) 天体物理現象並びに宇宙の起源及び進化
(2) 地球、地球環境及び地球と太陽との動態的関係
(3) 太陽系の起源及び進化
(4) 宇宙での基本的な物理的・化学的及び生物学的プロセス
(5) 人間に対する宇宙環境の影響、及び
(6) 宇宙における生命の起源及び伝播を律する諸要素
宇宙探査:太陽系の内外の現象と物体を調査するために、NASAは、有人及び無人探査の均衡のとれた計画を実施する。
有人探査:地球軌道を越えて太陽系に人類の存在及び人類の活動を拡張するという長期目標を達成するために、NASAは、将来の一連の有人ミッションを可能にし、それを支援するために必要な技術の体系的開発を継続する。この技術開発計画「パス・ファインダー」は、太陽系の有人探査に焦点を当てた計画に関する大統領決定を目指している。
無人探査:NASAは、特に国家宇宙目的を最も効率的かつ効果的に満足させ得る次の場合に、無人探査計画を継続して遂行する。
(i) 人間の存在が望ましくない又は不必要なところで科学的目標を達成すること。
(ii) 危険又は生命維持の費用が容認できないような領域を探査すること。
(iii) 将来の有人ミッション達成を支援するために不可欠なデータを提供すること。
恒久的な人の定着:NASAは、1990年代中期までに恒久的な有人運用能力を達成するため宇宙ステーションを開発する。宇宙ステーション「フリーダム」は次の事項を行う。
(1) 有人宇宙飛行の重要な局面での合衆国の卓越性に貢献すること。
(2) 科学的及び技術的調査に対し支援と安定性を提供すること。
(3) 特に材料及び生命科学において近い将来に利益を提供すること。
(4) 自立した商業活動に先立って民間部門の実験を促進すること。
(5) ステーション利用者の必要及び合衆国の長期目標と一致した進展を可能にすること。
(6) 商業部門の参加の機会を提供すること。
(7) 地球軌道を越えて太陽系に人間の存在と活動を拡張するという長期目標に貢献すること。
有人宇宙飛行の卓越性:宇宙輸送システム(以下「STS」という。)を改良し、それを安全に運用する努力、宇宙ステーションを開発し、展開し、利用するための努力のような承認された計画は、有人宇宙飛行の重要な局面での合衆国の卓越性の確保を意図している。
宇宙応用:NASAその他の機関は、その活動から生ずる適切な応用の確認及び開発を遂行する。各機関は、民間部門による応用の開発及び達成を促進することに努める。
このような応用は、長期的科学観測を含む継続的活動に係る新たな能力を創出し又はその質若しくは効率を改良する。
NASAは、宇宙空間への保証されたアクセス、軌道上への予備機の配置、先端オートメーション技術、重複度、その他の適当な措置の適切な組合せを通して、選定された重要なミッションを実施するため、その能力を確保するよう務める。
各機関は、合衆国政府の宇宙目標に合致した関連先端技術の向上に努める企業との間に、宇宙応用に関する研究開発協力協定を締結することができる。
合衆国の民事運用リモートセンシングの管理は商務省の責任である。商務省は次のことを行う。
(a) 民間部門又は連邦政府によって充足される民事運用リモートセンシング製品に対する連邦の要望を統合すること。
(b) 必要な民事運用システムの研究開発目的を確認すること。
(c) 他の省庁と調整して民間部門運用リモートセンシングの規制措置を講ずること。
民事政府宇宙輸送:宇宙空間への有人アクセスを提供する独特な宇宙輸送システム(STS)の能力は、有人宇宙飛行の重要な局面で合衆国の卓越性に貢献することを含む、最大の国家的利益をもたらす分野で活用される。STS船隊は、国家としての能力を維持し、かつ、人の存在その他の独特なSTS能力を必要とする重要な計画の支援に利用される。国家宇宙輸送目標の支援に関し、NASAは、政府の宇宙計画の企画、予算策定の措置を講ずるため、維持可能なSTSの飛行頻度を設定する。NASAは、国家及び利用者の必要が定めるところに従って、STSの運用能力、上段部、及び宇宙機の展開、役務提供、及び回収に係るシステムに関し適切な性能向上を追及する。
国際協力:合衆国は、その民事宇宙計画及び宇宙関連計画への相互に利益となる国際的な参加を求めることにより、民事宇宙活動における国際協力を増進させる。国家宇宙評議会は、ソビエト連邦との民事宇宙協力の監督の責任を有する。このような協力活動は、省庁間の審査が終了するまで着手しない。国際民事宇宙活動における合衆国の協力は、次の事項により実施される。
国際宇宙事業への合衆国の参加は、公的なものであれ私的なものであれ、合衆国の技術移転関係法、規則、行政命令及び大統領命令と合致しなければならない。
連邦の民事システムから外国地上局へのデータ公開に関して非差別的な、直接の読み取りを支援すること及び特定条件の下で外国の利用者にデータを提供すること。
連邦の支援により開発された知的所有権の商業的価値を保護するように実施されること。このような協力は、国家安全保障又は公共の安全により必要とされる場合を除き、合衆国の民間部門による商業宇宙活動を排除し又は妨げることはない。

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