<事 件>
ウエスターン・ユニオン電信会社は、自己の所有する衛星ウエスター6号をスペースシャトルから静止軌道に配置するためにまず静止軌道と交錯する軌道に投入しようとして、マクドネル・ダグラス社から購入した上段ロケットを使用したが、このロケットの不調で、当該衛星が通信には不適当な軌道に残されてしまったというものである。ウエスターン・ユニオン社の保険会社は、同社に対し1億500万ドルを支払った。保険会社のうち5社(Appalachian保険会社、Commonwealth保険会社、Industrial Indemnity,Mutual Marine Office,Inc.及びNorthbrook Excess & S.urplus保険会社、以後これらを「アパラチアン社」という。)は、マクドネル・ダグラス社とその下請け会社のMorton Thiokol社及びHitco社を過失と厳格製造物責任で提訴した。予審法廷は、当初、アパラチアン社に対して、その厳格責任に基づく訴えを退ける略式裁決を行い、その後ウエスターン・ユニオン社とマクドネル・ダグラス社との間の契約に含まれる提訴を禁じる免訴条項(exculpatory clause)に基づき被告に有利な略式判決を下した。原告はこれを不服として上訴した。
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