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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(4) 静止軌道を律する一般原則案
(コロンビア、エクアドル、インドネシア及びケニアの1984年3月29日のCOPUOSの法律小委員会における作業文書A/AC.105/C.2/L.147)

 軌道面上にありかつその存在が地球が生じさせる重力現象との関係に主として依存する静止軌道は限られた天然資源であり、従って、その利用は合理的かつ衡平及び専ら全人類の利益のためであるべきことを確認し、
 静止軌道に関する宇宙科学及び技術の応用は、すべての国の人民、特に赤道諸国を含む開発途上国の人民の経済的、社会的及び文化的発展のために基本的に重要であることに留意し、
 静止軌道はもっぱら平和目的のために及び全人類のために利用されなければならないことを認識し、
 先進国及び開発途上国の間の宇宙科学及び技術の分野における格差を縮める緊急性に留意し、
 大気圏及び宇宙空間を律する既存の法制度を考慮して、その物理的特性及び技術的属性から生ずる静止軌道に適用可能な特別な法制度を確立する必要を認識し、
第1原則 静止軌道は専ら平和的目的のため及び全人類のために利用されるものとする。
第2原則 静止軌道は、開発途上国の必要性及び赤道諸国の権利を考慮して、すべての国の利益のために保護される限られた天然資源であり、この目的上、静止軌道は、特別な法制度によって規律される。
第3原則 赤道諸国は、すべての国家、特に開発途上国による軌道の適時なかつ適切な利用のために、自国の領域上の静止軌道の対応部分を保護するものとする。
第4原則 赤道諸国は自国の管轄下にある領域上の静止軌道部分に対する優先権を有するものとする。
第5原則 一の赤道国の上空の静止軌道部分に宇宙物体を配置することは当該国による事前の許可を必要とする。いずれかの宇宙物体による当該部分の平和的目的のための通過は認められる。
第6原則 すべての国は、地域的及び世界的に、直接に又は国際連合、その専門機関その他の管轄権を有する国際機関を通じて、静止軌道の有効かつ経済的な利用において協力するよう努めるものとする。
第7原則 先進国、国際組織並びに宇宙技術における能力を既に獲得した開発途上国は、他の開発途上国が自国の開発の目的に役立てるため静止軌道の利用能力を獲得するように、これらの国への宇宙科学及び技術の移転を容易にし及び促進するために必要な措置を講ずるべきである。
第8原則 静止軌道において宇宙物体を運用する国及び/又は国際組織は機能不全な又は利用されていない宇宙物体を軌道から取り除くために必要な措置を講ずるものとする。

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