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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(10) 常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関する日本国政府と合衆国航空宇宙局との間の了解覚書(MOU)(1989年3月14日署名、発効、抄訳)

第5条 計画の主要な里程標
2. 宇宙基地のための目標となる主要な里程標は、次のとおりとする。

NASAのC/D段階の開始 1987年
GOJ(訳者注:日本政府)のC/D段階の開始 1989年
第一回の要素打上げ 1995年
NASA提供の実験棟の打上げ 1995年
常時有人の能力 1996年
JEM(日本の実験棟)の第一回打上げ分 1997年
JEMの第二回打上げ分 1997年
有人本体の組立ての完了 1998年
NASAのC/D段階の完了及びE段階の開始 1999年
 

第7条 主として詳細設計及び開発に関連する宇宙基地計画の運営面
1  運営及び検討
1.a NASA及びGOJは、このMOUの規定に従い、それぞれのC/D段階の宇宙基地活動を運営する責任を有する。この条には、宇宙基地の設計及び開発(組立て及び検証を含む。)のためのNASA及びGOJのそれぞれの活動を調整し、適用のある要求を設定し、安全な運用を確保し、宇宙基地の要素の間のインターフェースを確立し、決定を検討し、日程を設定し、活動の現状を検討し、進捗状況を報告し並びに問題(技術上の問題を含む。)をこれが生ずる毎に解決するための運営の仕組みを定める。…
1.d NASAが議長を務める宇宙基地管理会議(SSCB)は、宇宙基地の要求、コンフィギュレーション、運用用の資源の設計上の配分及び要素間のインターフェースを管理し、宇宙基地の組立て及びその初期の運用上の検証を行う活動を管理し並びにその他の宇宙基地のコンフィギュレーション管理活動を管理する。STA(訳者注:科学技術庁)の計画室長は、SSCB及び合意によりその下部の会議の構成員となるものとし、これらの会議が、GOJ提供の要素に対して、NASA提供の要素とGOJ提供の要素との間のインターフェースに対して、GOJ提供の要素と他の参加機関提供の要素との間のインターフェースに対して又は次条に規定する複合利用計画及び複合運用計画の実施可能性に対して影響を及ぼす問題を検討するときは、これらの会議に出席し、及び参加する。SSCB議長による決定については、PCCに異議を申立てることができる。もっとも、GOJによるPCCへの問題の付託が行われることなくGOJとの意見の一致が得られるようあらゆる努力を払うことが、SSCB議長の義務である。異議の申立ては、速やかに行い、及び処理する。GOJは、異議の申立てについての解決が得られるまでの間、自己が提供する要素に関する限り、SSCBの決定を実施する必要はない。この場合において、NASAは、自己が提供する要素に関する限り、SSCBの決定を実施することができる。NASAは、GOJの管理会議及び合意によりその下部の会議の構成員となり、適当な場合には、これらの会議に出席し、及び参加する。…
第8条 主として運用及び利用に関連する宇宙基地計画の運営面
  1.b 多数者間調整委員会(MCB)は、NASAのC/D段階の開始の後可能な限り早期に設立し、宇宙基地の運用及び利用に関連する参加機関の活動の調整を確保するため、宇宙基地計画が存続する間を通じて定期的に、又はいずれかの参加機関の要請により速やかに、会合する。このMOUの当事者及び他の参加機関は、このMOUに別段の定めがある場合を除くほか、MCBを通じて、安全で効率的かつ効果的な宇宙基地の運用及び利用に影響を及ぼす活動を計画し、及び調整する。MCBは、NASAの宇宙基地局長、STAの研究開発局長、ESAの宇宙基地・プラットフォーム局長及びMOSST(訳者注:カナダ科学技術省)の宇宙政策担当次官補によって構成される。MCBは、NASAの宇宙基地局長が議長を務める。当事者は、MCBのすべての決定を意見の一致によって行うべきことに合意する。ただし、所定の時間内にMCBの権限内のいずれかの問題について意見の一致が得られない場合には、議長は、決定を行うことができる。…
  1.c MCBは、宇宙基地の運用及び利用の長期計画レベルの調整を行う責任を有するパネルとして、システム運用パネル及び利用者運用パネルを設立する。MCBは、これらのパネルの組織上の関係及び責任並びにこれらのパネルとこの条に規定する詳細計画及び実施レベルの機関との間の組織上の関係について定める設立規則を作成する。設立規則に対するいかなる修正も、MCBが承認する。MCBは、毎年、これらのパネルが作成する年間複合運用計画及び年間複合利用計画に基づく宇宙基地のための統合運用・利用計画(COUP)を承認する。…
  2.a …MCBは、その設立後3カ月以内に、 1.Cに規定する長期計画レベルの運用活動及び運用計画立案活動を調整するシステム運用パネル(SOP)を設立する。…
  2.b SOPは、NASA、GOJ及び他の参加機関からの各1人の構成員からなる。構成員は、その指名に係る代理をSOPの会合に出席させることができる。更に、各構成員は、SOPの活動を支援するために必要な関連の専門家の援助を得ることができる。SOPは、意見の一致によって決定を行う。いずれかの問題について意見の一致が得られない場合には、その問題は、解決のためにMCBに付託する。…
3  利用
  3.a 有人本体
3.a.1 NASA及びMOSSTは、有人本体の組立て、保守及び運用並びに有人本体に対する役務の提供を行うため、宇宙基地の有人本体の基盤要素を提供する。NASA及びMOSSTは、又、3.a.2に定めるところにより、基盤要素から得られる資源を他の参加機関に提供する。GOJは、自己の利用要素における利用用の利用単位の51%について利用権を保持する。NASAは、自己の利用要素における利用用の利用単位の97%について利用権を保持する。NASA及びGOJは、それぞれ自己の利用要素における利用用の利用単位の3%をMOSSTに提供する。GOJは、自己の利用要素における残余の利用用の利用単位をNASAに提供する。NASA、GOJ及びMOSSTは、それぞれ、自己に配分された利用用の利用単位の利用者の選択を管理する。その管理は、複合利用計画の作成のためにこのMOU及びNASAとMOSSTとの間のMOUで定める手続によって行う。…
3.a.2 有人本体の資源の参加機関における配分は、次の方式に従って行う。すべての要素が必要とし及び 1.d.1の規定により提供される運用用の資源は、別にする。利用用の資源は、次のように配分する。利用用の資源の20%は、取付型搭載物の装着設備のためにNASAに配分する。利用用の資源の3%は、MOSSTに配分する。残余の利用用の資源は、三の実験棟に等しく割り当てる。GOJは、GOJ提供のJEMに割り当てられた利用用の資源の50%を配分され、ESA(訳者注:欧州宇宙機関)は、ESA提供のAPM(訳者注:取付型与圧棟)に割り当てられた利用用の資源の50%を配分される。NASAは、NASA提供の実験棟に割り当てられた利用用の資源の100%、GOJ提供のJEMに割り当てられた利用用の資源の残余である50%及びESA提供のAPMに割り当てられた利用用の資源の残余である50%を配分される。…
3.c.1 ESAは、自己が提供するMTFF(訳者注:有人支援型フリーフライヤー)の全利用権を保持する。
3.c.2 3.c.1の規定にかかわらず、NASAは、毎年、MTFFの利用の25%までについて、ESAが同等のものに通常課する価格で購入又は交換を行う選択権を有する。…
3.c.3 MTFFに対する有人本体における役務の提供のために必要なすべての利用単位及び資源は、3.c.2の規定に基づいて行われることのある取極に関連してNASA及びESAが別段の合意をしない限り、3.aに規定するAPMについてのESAに対する配分によりまかなう。…
第18条 協議及び紛争の解決
2  このMOUの実施を困難にする事態が生じた場合には、問題はまず、解決のためにNASAの宇宙基地局長及びSTAの研究開発局長に付託する。…
3  2の規定に従って解決することができなかったこのMOUの実施を困難にするいかなる問題も、解決のためにNASA長官及び科学技術庁長官に付託する。…
4  この条の規定に基づく協議を通じて満足すべき解決が得られなかった問題でこのMOUから生ずるいかなるものも、政府間協定の関連規定に従って処理することができる。

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