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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

(8) アメリカ合衆国政府及び中華人民共和国政府の間の衛星打上げの責任に関する合意覚書
(1988年12月17日調印、1989年3月16日発効)

 アメリカ合衆国政府と中華人民共和国政府(以下「当事者」という。)は、
 1972年9月1日に効力を発生した宇宙物体により引き起こされる損害についての国際責任に関する条約(以下「損害賠償条約」という。)の締約国になるために直ちに手続を行うという中華人民共和国の意図に留意して、
 次のとおり協定した。
第1条 この合意覚書は、オーサット衛星及びアジアサット衛星並びに中華人民共和国によるこれらの打上げに適用する。
第2条 両当事者は、第4条に従い、両当事者間で、中華人民共和国政府が、損害賠償条約、1967年10月10日に効力を発生した、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約、その他の関連国際法に基づいてアメリカ合衆国政府が責任を有するどのような金額でも、全額を負担し、かつ、アメリカ合衆国政府に賠償するものとすることに同意する。
第3条 アメリカ合衆国政府は、第2条の範囲内の損害賠償請求が自国に対して提起された場合には、当該請求の通告を受理した後、実行可能な限り迅速に、中華人民共和国政府にこのことを通知するものとする。
第4条
1. アメリカ合衆国政府は、中華人民共和国政府との完全な協議を行うことなしに、当該請求者といかなる解決をも行ってはならない。
2. 中華人民共和国政府は、アメリカ合衆国政府と当該請求者との間の解決案の条件を拒否する場合には、当該請求に関してアメリカ合衆国政府に賠償する義務はない。ただし、アメリカ合衆国政府が最初に損害賠償条約に定める請求委員会に当該請求を提出する場合、又は、アメリカ合衆国政府に対して提起された請求が損害賠償条約に基づかない場合に、その手続が損害賠償条約第14条から第20条までの手続に適合する請求委員会に当該請求を提出する場合を除く。この場合には、中華人民共和国政府は、当該請求の解決につき請求委員会により勧告される金額までアメリカ合衆国政府に賠償するものとする。委員会の委員選出の失敗に関する損害賠償条約第15、16、及び17条の規定に従い、アメリカ合衆国政府による委員の選出は、中華人民共和国政府との事前の協議及び当該政府の承認を必要とする。
第5条 中華人民共和国政府は、アメリカ合衆国政府の要請により、当該政府に対する請求に係る弁護のために必要なすべての情報を当該政府に提供し及び協力するものとする。
第6条 この合意覚書の解釈及び適用に関する紛争は、当事者間の協議又は当事者により同意されたその他の手段により解決しなければならない。
第7条 この合意覚書は、中華人民共和国における打上げのための同国へのアジアサット衛星又はオーサット衛星の輸出免許状が承認された旨のアメリカ合衆国政府による中華人民共和国政府に対する通告により効力を生ずるものとする。
 以上の証拠として、各々の政府により正当に委任を受けた下名は、この合意覚書に署名した。
 1988年12月17日、ワシントン市で英語及び中国語を等しく正文とする本書2通を作成した。
(署名省略)

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