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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

第9条 利用

1. 合衆国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供する有人本体の利用要素の利用権を保持する。合衆国は、有人本体を運用し及び利用するために自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を、他の参加主体に提供する。合衆国が欧州参加主体及び日本国に対して当該資源を提供することと引き換えに、欧州参加主体及び日本国は、それぞれ取付型与圧棟(以下「APM」という。)及び日本実験棟(以下「JEM」という。)の利用権の一定割合を合衆国に提供する。
2. 欧州参加主体は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自己が提供するMTFF及びAPMの利用権を保持する。
3. 合衆国及び欧州参加共同体は、均衡のとれた相互主義に基づき、相互の極軌道プラットフォームの利用権の一部を有する。
4. 日本国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供するJEMの利用権を保持する。
5. カナダは、有人本体を運用し及び利用するために、自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を他の参加主体に提供する。カナダが宇宙基地の基盤施設の不可欠な一部を提供することと引き換えに、すべての他の参加主体は、有人本体のすべての利用要素及び極軌道プラットフォームの利用権の一定割合をカナダに提供する。
6. 1から5までの規定は、宇宙基地の利用要素の利用権及び宇宙基地の基盤施設から得られる資源の参加主体間における配分について定める。参加主体間における具体的な配分は、了解覚書及び実施取極で定める。MTFFに役務を提供するための有人本体の資源は、NASAとESAとの間の了解覚書及び実施取極に定めるところに従って使用することができる。
7. 参加主体は、自己の配分のいかなる部分についても、交換又は売却を行う権利を有する。合衆国は、NASAとESAとの間の了解覚書に定めるところに従い、MTFFの利用権の一定割合について購入又は交換を行う選択権を有する。交換又は売却の条件は、取引の当事者が案件ごとに決定する。
8. 各参加主体は、この協定の目的並びに了解覚書及び実施取極の協定に合致するいかなる目的のためにも、自己の配分を利用し及びその利用者を選択することができる。ただし、次のことを条件とする。
(a) 参加主体以外の国又はその管轄下にある民間主体に、利用要素を利用させる場合には、すべての参加主体に対してその協力機関を通じて事前の通知を行い、かつ、当該要素を提供している参加主体の同意及び、当該要素が有人本体の要素又は有人本体に合体している要素である場合には、合衆国の同意を得ることを必要とする。
(b) 要素の企図されている利用が平和的目的のためのものであるかないかについては、当該要素を提供している参加主体が決定する。もっとも、このbの規定は、宇宙基地の基盤施設から得られる資源のいずれかの参加主体による利用を妨げるために援用されてはならない。
9. 各参加主体は、その協力機関を通じ、宇宙基地を利用するにあたり、他の参加主体による宇宙基地の利用に重大な悪影響を及ぼすことを避けるよう、了解覚書の定める仕組みを通じて努力する。
10. 各参加主体は、宇宙基地の自己の要素について、他の参加主体のそれぞれの配分に応じて、当該他の参加主体による利用及びその可能性を確保する。
11. この条の規定の適用上、合衆国によるこの協定への署名の時にESAの加盟国であったESAの国は、「参加主体以外の国」としない。

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