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目次 巻頭言 凡例 第1章 第2章
第3章 第4章 後書き アペンディクス 索引

3-2 国際分野における法政策文書及び法文書

3-2-2 法 文 書

(9) 常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定(IGA)
(1988年9月29日にワシントンで調印、日本については1992年1月30日に発効)

 アメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」又は「合衆国」という。)、
 欧州宇宙機関の加盟国の政府であるベルギー王国、デンマーク王国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国、オランダ共和国、ノルウェー王国、スペイン王国及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の政府(以下「欧州諸国政府」又は「欧州参加主体」と総称する。)、
 日本国政府(以下「日本国」ともいう。)並びに
 カナダ政府(以下「カナダ」ともいう。)は、
 1984年1月25日の合衆国大統領の一般教書演説において、合衆国大統領が、平和、繁栄及び自由を促進するため、航空宇宙局(NASA)に対して、常時有人の宇宙基地を10年以内に開発し及び軌道に乗せるよう指示するとともに、合衆国の友好国及び同盟国に対して、同基地の開発及び利用に参加し、当該開発及び利用を共有するよう招請したことを想起し、並びに宇宙基地計画における国際協力についての合衆国の関心を再認識するNASA長官の書簡を想起し、
 1985年1月31日に、欧州宇宙機関(ESA)の閣僚理事会の会合において採択された決議の規定及び合衆国政府に対する同規定の伝達を想起し、並びにESAの枠組の範囲内で、かつ、ESAを設立する条約第2条に定めるESAの目的に従って、コロンバス計画により、常時有人の民生用宇宙基地の要素の開発が実施されてきたこと、及び実施されていくであろうことを想起し、
 1986年3月のケベックにおける合衆国大統領との首脳会談においてカナダ首相が前記の招請を受諾したこと、及び1986年3月のワシントンにおける首脳会談において両首脳が協力についての関心を相互に確認したことを想起し、
 1984年及び1985年におけるNASA長官の日本国訪問において明らかにされた日本国の宇宙基地計画についての関心を想起し、
 1985年6月3日に効力を生じた「常時有人の宇宙基地の開発、運用及び利用における一層の協力に向けての詳細定義及び予備設計の並行研究(B段階)」の実施のためのNASA長官とESAとの間の了解覚書及び詳細定義及び予備設計(B段階)に関する協力計画のためのNASAとカナダ科学技術省(MOSST)との間の了解覚書を考慮し、
 1980年5月1日に効力を生じた科学技術における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の下で締結され、1985年5月9日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の詳細定義及び予備設計の活動に関する協力計画のためのNASAと科学技術庁(STA)との間の了解覚書を考慮し、
 更に、これらの了解覚書が、詳細定義及び予備設計の活動の遂行におけるNASAとESAとの間、NASAとSTAとの間及びNASAとMOSSTとの間の協力を通じて成功裡に実施されてきたことに留意し、1967年10月10日に効力を生じた月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下「宇宙条約」という。)を想起し、
 1968年12月3日に効力を生じた宇宙飛行士の救助に関する協定(以下「救助協定」という。)を想起し、
 1972年9月1日に効力を生じた宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(以下「責任条約」という。)を想起し、
 1976年9月15日に効力を生じた宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(以下「登録条約」という。)を想起し、
 宇宙空間の探査及び平和利用における長期間の実りある相互協力が、広範な宇宙科学及び応用の分野における協力活動の成功裡の実施を通して行われてきたことを想起し、
 ESA及びカナダが、欧州による最初の有人宇宙実験室(スペースラブ)の開発及びカナダによる遠隔マンピュレーター・システムの開発を通じて合衆国宇宙輸送システムに参加してきたことを想起し、
 第一次材料実験を通じての日本国による合衆国の宇宙計画への参加を想起し、
 宇宙基地が、低重力の環境、宇宙のほぼ完全な真空状態並びに地球及び宇宙の他の部分を観測するために、有利な位置にあることによる可能性を利用することにより、宇宙科学技術における国際協力のための独特の機会を提供することを確信し、
 常時有人の民生用宇宙基地に関して共同して活動することにより、長期間の相互に有益な関係の確立を通ずる協力が更に拡大され並びに宇宙空間の探査及び平和的利用における協力が更に促進されることを確信し、
 この協定の政府間交渉に関連して、NASAとESAとの間、NASAと日本国政府との間、及びNASAとMOSSTとの間で、常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関する了解覚書が準備されたこと並びにこれらの了解覚書にこの協定の実施に関する詳細が規定されることを認識し、
 前記に照らして、合衆国政府、欧州諸国政府、日本国政府及びカナダ政府の間で宇宙基地の設計、開発、運用及び利用のための枠組を確立することが望ましいことを認識して、次のとおり協定した。

第1条 目的及び範囲
第2条 国際的な権利及び義務
第3条 定義
第4条 協力機関
第5条 登録、管轄権及び管理の権限
第6条 要素及び装置の所有権
第7条 運営
第8条 詳細設計及び開発
第9条 利用
第10条 運用
第11条 搭乗員
第12条 輸送
第13条 通信
第14条 発展
第15条 資金
第16条 責任に関する相互放棄
第17条 責任条約
第18条 関税及び出入国
第19条 データ及び物品の交換
第20条 移動中のデータ及び物品の取扱い
第21条 知的所有権
第22条 刑事裁判権
第23条 協議
第24条 宇宙基地協力の検討
第25条 効力発生
第26条 改正
第27条 脱退
附属書 参加主体が提供する宇宙基地の要素
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